レヴェルの違う新時代を築くフィクサー・外道選手が撃ち抜く、新日本プロレスの未来
新日本プロレスで今最も注目を集めているのは、この男かもしれない。
元・レインテイカー。人の道を外れた男・外道選手だ。
ジェイ・ホワイト選手とCHAOSから脱退して以降、外道選手の笑顔は輝いている。いや、笑顔だけではない水を得た魚とはまさにこのこと。徹底的に『バレットクラブ OG』でヒールを楽しんでいるように思える。
オカダ・カズチカ選手のマネージャーを務めていた時代とは、まるで別人だ。恍惚な表情を浮かべて悪事を働く姿はデビュー30周年を迎えた今、さらに円熟味が溢れ出ている。
ここでは、レヴェルの違う新時代を築くフィクサー・外道選手について。そして、あの哀愁が漂ったオカダ・カズチカ選手への椅子攻撃について考えてみたい。
外道選手とオカダ・カズチカ選手。マネージャーと選手。先輩と後輩。親と子。複雑な感情が入り乱れる愛憎劇に迫りたい。
ただ、これだけは言える。『バレットクラブ OG』に弾丸が揃った今、これからはじまるのは、レヴェルの違う新時代を築くフィクサー・外道選手が撃ち抜く、新日本プロレスの未来だ。
裏切りの理由
外道選手がCHAOSを裏切り、オカダ・カズチカ選手を襲撃したあの日に時計の針を戻そう。
棚橋弘至選手の前に約4年ぶりの敗北を喫したオカダ・カズチカ選手。そこにジェイ・ホワイト選手が襲来するところまでは予想の範囲内だった。
救済に現れたYOSHI-HASHI選手の不慮の事故が発生後、姿を現したのは外道選手。
G1クライマックス28を最後にマネージャーとしての関係は終わっていたが、リング上での立ち居振る舞いにはオカダ・カズチカ選手を守りにきたという空気が漲っていた。
この時、僕の脳裏に浮かんだストーリーはこうだ。
「おいおい。レインメーカーに何したんだよ?ふざけんなよ?お坊ちゃん。G1で一度レインメーカーに勝ったくらいで態度デカすぎやしないか?マグレってことを教えてやる。両国でシングルやるぞ」
という具合。この試合を経てオカダ・カズチカ選手と外道選手は復縁。改めて、IWGPヘビーを戴冠する物語が始まる(0.2秒)と、予想したのもつかの間、悲劇は起こった。
棚橋が“権利証マッチ”でオカダに劇的勝利!
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) September 23, 2018
試合後に衝撃の大波乱!なんとジェイ&外道がオカダと完全決別…!!
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外道選手がオカダ・カズチカ選手を背後から強襲。オカダ・カズチカ選手はまさかの展開に崩れ落ちた。
あの時のパイプ椅子で思い出したこと
外道選手の椅子攻撃には、人間の心と身体のアンバランスさが詰まっていた。次に進む、物事に見切りをつけたと心では思っていても、身体はまだ受け入れていない時がある。
ここで大きく話を脱線する。プロレスや外道選手、『BULLET CLUB OG』とは全く関係のない話なので、興味の無い方は次の章まで飛ばすことを推奨する。
僕には以前、同棲していた女性がいた。それなり幸せな暮らしをしていたわけだが、ふとしたことから関係が悪化した。
会話もしたくないし、顔も見たくない。家に帰る時間は彼女が寝た後になり、彼女よりも先に家を出ることが増えた。
そんな生活に不満が出ない訳がない。彼女は別れを切り出してきた。僕も納得し、やっと1人の時間が増えると安堵した。
その日以降、彼女は実家に戻った。荷物を全て引き上げる日の調整だけが僕たちの会話だった。
当日、彼女は予定が付かなかったらしく、姿を現さなかった。再びの日程調整は5日後に決まった。
その2日後、仕事を終えて帰宅すると、何か違和感があった。彼女の靴がない。部屋にあったものが減っていることに気付くと、僕は膝から崩れ落ちた。
僕は彼女ともう会いたくなかった。はずだった。なのに、目からは涙が溢れて、足に力が入らなくなった。
現状を確認すると、テーブルの上に手紙があった。怖くて読めないから彼女に電話をかけた。
彼女の声は一層冷たく感じた。たまたまスケジュールが空いたから荷物を先に引き上げたと語る彼女。僕は喉まで出た言葉を飲み込んだ。
「僕が悪かった。戻ってきてください」
心には浮かんだが言葉が声にならなかった。あそこまで酷い対応をして、どの面下げて戻ってきてと言うのだろうか。
僕はあの日、自分に嘘を付いた。素直になればよかった。
その後、彼女は結婚。子宝にも恵まれ幸せそうだ。僕はまだ1人。一歩踏み出すことができていない。
そんなあの日の自分とオカダ・カズチカ選手の背中を襲った外道選手が重なって見えた。
心と身体が一緒になっていない感覚。レヴェルの違う男の隣にいた男にしか分からない葛藤があのシーンにはあった。
人の道を外れた男だとしても
自身がジェイ・ホワイト選手、邪道選手と決めたことだし、『BULLET CLUB OG』に行くことが、自分にとっての幸せだと頭では分かっている。ただ、身体が動かなかったように見えた。
4分5秒頃をご確認いただきたい
ヒールレスラーとして多くの団体を渡り歩いて来たレジェンドレスラー外道選手。その攻撃にしてはあまりに違和感があった。悪事の限りを尽くすのであれば、後頭部を叩いても良かったはずである。ただ、そうしなかった。いや、できなかった。人の道を外れたとしても、人は人なのだ。
笑顔 外道スマイル
ジェイ・ホワイト選手とタッグを組み、セコンドに付く外道選手の姿は悪の輝きを放っている。
笑顔や目線、目つき、試合への介入、リアクション。その全てが特一級のヒールだ。
オカダ・カズチカ選手のマネージャーだった頃の外道選手は金の雨を降らせることを目的として来た。だが今は、新時代を作ることを主眼に起き嵐を巻き起こしている。
「NEW ERA」
そのためになら最高の笑顔で悪の道を突き進むということだ。
オカダ選手との対峙
棚橋弘至選手VSジェイ・ホワイト選手の一戦後、判定に納得のいかないジェイ・ホワイト選手は棚橋弘至選手にストンピングを重ねた。
そこに現れたのは本隊の仲間たちではなく、CHAOSのオカダ・カズチカ選手だ。ジェイ・ホワイト選手を一蹴し、外道選手と対峙するオカダ・カズチカ選手。その目には決意の炎があった。
「裏切ったな。あんた」と。
ここでの外道選手は言い訳をしているように見えた。
「違うんだレインメーカー。俺のことを信じてくれよ?」
するとそこに外道選手の兄弟邪道選手が登場した。Tシャツはオカダ・カズチカ選手の新作Tシャツ。
「俺はお前(オカダ)の味方だ。兄弟を説得しに来た」
そう見えた。が、『BULLET CLUB OG』が騒動に参加すると、“ガイジン”レスラーたちに混じり、邪道選手もオカダ・カズチカ選手への攻撃に加担した。
その後のバックステージがこれだ。
まさに邪道外道。石森太二選手に笑顔が戻ったことは微笑ましい事実でもある。
邪道外道の歩む道に繁栄あり
『To Be The 外道 "レヴェルが違う!"生き残り術』。この本を読んだことはあるだろうか。
外道選手の半生が詰まった本。これを読めば、何故『BULLET CLUB OG』に進んだのか。その答えも見えてくる。
アメリカのプロレスに憧れた少年時代。多くの団体を渡り歩き、メジャー団体新日本プロレスにたどり着くも、待ち受けていたのは、暗黒時代。
暗闇を抜け見つけた絶対的な才能の持ち主。そして、外道選手がオカダ・カズチカ選手の次に認めていた選手。
全てのピースが複雑に絡み合うパズル。外道選手はオカダ・カズチカ選手と別れたことは、ある意味で必然だったのかもしれない。
そして、この本を読むとあることが分かる。邪道外道の歩む道に間違いは存在しないことが。
親子として、ライバルとして
『バレットクラブ OG』ジェイ・ホワイト選手、外道選手についてはこちらのランキングに入っている人気ブログでも言及されているので、ぜひチェックいただきたいところだ。
そして、僕はこうも思う。
外道選手は心の何処かで、自分が最も認めた才能を持つ、オカダ・カズチカ選手のライバルを生み出したいのではないか、と。
ジェイ・ホワイト選手は素晴らしい選手だ。ヤングライオン時代、彼がここまでのブーイングを浴びる才能を秘めているとは思いもよらなかった。
鈴木みのる選手を筆頭に新日本プロレスには一級品のヒールレスラーが揃っている。ただ、その大半がファン層の変化や様々な要因からブーイング以上に声援を集めるに至った。
そんな中、万雷のようなブーイングを涼しい顔で浴びているのがジェイ・ホワイト選手だ。
ただし、支持率が低いのかと言えばそうではない。
10月8日の両国大会であることに気付いた。普段は『ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン』グッズに染まる会場の中で、ジェイ・ホワイト選手のSwitch Blade Tシャツを見かける機会が明らかに増えていたのだ。これまでの会場では見ることのできなかった景色に僕は変化の兆しを見ていた。
フィクサー・外道選手が見つけたのは、オカダ・カズチカ選手のライバルに至る新しい才能だ。
そして、『BULLET CLUB OG』を新天地に選んだ3つ目の理由がある気がしてならない。
This plan was set in motion 4yrs ago when .@FinnBalor introduced me to @JayWhiteNZ in London 2014#bulletClub pic.twitter.com/FCZ90L3bKf
— TheUnderboss (@TOKSFALE) October 8, 2018
- ジェイ・ホワイト選手とバットラック・ファレ選手の関係
- オカダ・カズチカ選手を超える存在と歩む新時代
ここに更なるピースがハマった時、新日本プロレスの世界侵略。そして、見たことのない景色が始まる。
そのはじまりは、『九州三国志 presents Road to POWER STRUGGLE ~SUPER Jr. TAG LEAGUE 2018~』だ。
最後に。
Welcome to #BulletClub @JayWhiteNZ pic.twitter.com/y6xSuuLAk9
— 'Bad Boy' Tama Tonga (@Tama_Tonga) October 8, 2018
集った弾丸を撃つには、“機関銃”が必要ではないか。そう、“ザ・マシンガン”が。
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