涙のベストバウト!僕が号泣した試合を5つ紹介します
喜怒哀楽。全ての感情が溢れ出してくるのがプロレス。
新日本プロレスの興行は最初から最後まで“喜び”が詰まっている。時には、ヒールレスラーの暴走に“怒り”、全ての試合が終わったことに“哀しみ”を感じつつ、次の大会が“楽しみ”でしょうがなくなる。
プロレスが他のコンテンツと比較して、特異な点は「泣ける」ということだろう。凄まじいほどのぶつかり合い、先輩を超えるための戦い。パートナーとの絆。その物語の終着点である試合を見ていると涙が止まらなくなる時がある。
ここでは僕が選んだ2014年以降の泣ける試合5選をお届けする。内藤哲也選手、オカダ・カズチカ選手。そして、中邑真輔選手、棚橋弘至選手、柴田勝頼選手。全ての試合に泣ける要素がある中で、僕が選んだのは以下の試合だ。
念のため、泣きポイントを書いてしまうと、未視聴の方の楽しみを奪ってしまう可能性があるので、背景は語りつつ涙が流れてしまった箇所についてはある程度伏せておく。ぜひ、新日本プロレスワールドに加入の上、お目通しいただきたい。
新日本プロレスの年内興行が終了し、イッテンヨン『バンドリ! ガールズバンドパーティ! presents WRESTLE KINGDOM 13 in 東京ドーム』までプロレスロスが続く。この機会に過去の素晴らしい試合を見ることで、より一層今の新日本プロレスを楽しむ準備をしてみるのもいいだろう。
ここでは、涙のベストバウト!僕が号泣した試合を5つ紹介する。
- 世界に中邑真輔をぶつけてきます!
- オレ、ずっとこんなプロレスがやりたかった。オレも。
- これが俺たちのスーパージュニアだ!
- 棚橋程度にならなくてよかった
- 「またやりましょうよ」って約束をここでしますので、しっかり守ってくださいよと言いたいですね
- 【番外編】オカダ・カズチカに1秒で泣かされた日
世界に中邑真輔をぶつけてきます!
あれからもう3年が経とうとしている。『ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン』旋風やケニー・オメガ選手がスターダムに上り詰める以前のお話。
新日本プロレスで唯一無二の輝きを放つ「キング・オブ・ストロングスタイル」中邑真輔選手が2016年のイッテンヨン レッスルキングダム後の1月25日。新日本プロレスを退団することを発表したのだ。
いつもの後楽園がいつもの後楽園ホールじゃなくなった2016年1月30日。そのメインイベントは「中邑真輔 壮行試合」と銘打ち、豪華な対戦カードが組まれた。
中邑真輔選手と同じコーナーには、IWGPヘビー級王者として大きく成長したオカダ・カズ選手。現在の“名勝負製造機”石井智宏選手が選ばれた。
対角線上には因縁しかない3人が立った。失敗に終わってしまった新・闘魂三銃士(棚橋弘至選手、中邑真輔選手、柴田勝頼選手)の2人。同期の後藤洋央紀選手。
試合前、試合中。そして試合後。その全てに感動がある好勝負である。
オレ、ずっとこんなプロレスがやりたかった。オレも。
桑名工業高校の同級生。高校時代からのライバル。少年漫画よりも少年漫画な人生を歩んでいるのが、後藤洋央紀選手と柴田勝頼選手である。
2012年の8月「ケンカ、売りに来ました」という言葉と共に新日本プロレスへと帰ってきた柴田勝頼選手。同級生の帰還は後藤洋央紀選手に火を点けることになる。だが、すぐには触れ合おうとしなかった。だが、タッグマッチを経て、シングルマッチへ。後藤洋央紀選手と柴田勝頼選手はG1クライマックスで同グループに組み込まれたが、この試合は後藤洋央紀選手の負傷欠場により流れてしまう。そして、後藤洋央紀選手の復帰戦は東京ドーム。相手は同級生であり盟友の柴田勝頼選手。
名勝負数え歌全てが好勝負だが、その終着駅となったこの試合は、漢の美しさを証明するような試合となった。
これが俺たちのスーパージュニアだ!
2016年10月に凱旋帰国を果たし、2017年のイッテンヨンで『IWGPジュニアヘビー級ベルト』を戴冠。
『IWGPジュニアのベルト』が取れるほど強くなったら帰ってくるという公言通りの結果を残したのが、髙橋ヒロム選手だ。
2017年以降は新日本プロレスジュニアの中心人物としたて活躍を続けている。
レジェンドである獣神サンダー・ライガー選手が勇退後初開催となった『ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア』では『G1クライマックス』よりも盛り上げると声を挙げた。
公約通り決勝戦へ駒を進めた彼を待っていたのは、「世界進出」を語った上で生まれ変わった『新生・ボーンソルジャー』石森太二選手だった。
日本のプロレスマット界を代表する実力派と対峙した髙橋ヒロム選手は後楽園ホールをダッシュしてジョンウーをぶちかます。
足の速さでは新日本プロレス1という自身のルーツを曝け出すなど、お互いに譲らない試合が続く。
そして、運命の瞬間後が訪れ髙橋ヒロム選手は高らかに叫んだ。
その瞬間に涙を流した方も少なくないと思う。
棚橋程度にならなくてよかった
「棚橋になれなかった男、内藤!東京ドームで勝負しろ」
東京ドームメインイベント出場記録が続いていた棚橋弘至選手は焦っていた。
直接試合をしていないにも関わらず、会場の空気は内藤哲也一色。新日本プロレスのエースにブーイングが飛び交うなど、新日本プロレスの景色が塗り替えられた瞬間がそこにはあった。
もともと内藤哲也選手は武藤敬司選手の大ファンだった。その武藤敬司選手が全日本プロレスに移籍した際、黒パンツ、黒髪のヤングライオンがやけに輝いて見えた。
「絶対、将来のスターになるな」
5歳からのプロレス少年が持つ肥えた目は正しかった。
棚橋弘至選手は新日本プロレスの絶対的エースとして君臨。自身が新日本プロレスに入団して以降も抗争を繰り広げてきた。
内藤哲也選手は次期エースだと言われていた。棚橋弘至選手のバトンを引き継ぐのは内藤哲也選手だとファンの多くが期待していた。
だが、それは叶わぬ夢となった。
オカダ・カズチカ選手の台頭である。“スターダスト・ジーニアス”のままでは、これ以上プロレスラーとして成長することができない。
何かを変えなければならない。
第2の故郷で掴んだのは、リング上で表現すべき本来の姿と運命の瞬間を掴み取るための必殺技だった。2015年の『G1クライマックス』で新技・デスティーノは初披露された。
繰り出した相手は棚橋弘至選手。「内藤!ここまで上がってこい!」という言葉を交わしてから4年後の出来事だった。
“制御不能”と化した内藤哲也選手は『ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン』を結成し、新日本マットを席巻していく。
その過程で手に入れたのが『IWGPインターコンチネンタルベルト』だった。
この試合は試合前後が非常に素晴らしく見応えのある展開となっている。
試合後、あなたを待つのは男としてのケジメだ。
「またやりましょうよ」って約束をここでしますので、しっかり守ってくださいよと言いたいですね
『ニュージャパンカップ』を制した柴田勝頼選手。『NEVER無差別級』へのリベンジを予想されつつも「約束したやつがいる」という言葉からオカダ・カズチカ選手の持つ『IWGPヘビー級王座』への挑戦を表明した。
水と油。昭和と平成。根性とレベル。
全てが交わらない2人であり、ここまでほぼ触れていなかったトップレスラーが対峙する瞬間は大きな期待に包まれた。
口撃を含めた前哨戦はオカダ・カズチカ選手としては非常に珍しい。
我関せず、レベルが違う。試合すれば分かる。絶対的な自信を持つからこその姿勢は、チャンピオンに相応しい器だと言える。
棚橋弘至選手は戦い続けることで、新日本プロレスのトップに立つことの意義を伝えた。
中邑真輔選手は隣に立つことで、トップレスラーに必要な独創性を伝えた。
新・闘魂三銃士最後の一人、柴田勝頼選手は何を伝え、勝利を掴もうとしたのだろうか。
殴り合い、蹴り合い、エルボーをぶつけ合う。レインメイカー式張り手までが飛び出す試合はまさに激闘。これが2018年12月現在、柴田勝頼選手最後のせん
【番外編】オカダ・カズチカに1秒で泣かされた日
柴田勝頼選手との死闘の後に待っていたのはバットラック・ファレ選手の乱入劇だった。
オカダ・カズチカ選手に対して、掟破りのツームストン・パイルドライバーを繰り出し、『ニュージャパンカップ2017』準優勝の力を見せつけた。
だが、この試合最大のドラマは試合後に待っていた。
みっつ! ………特にありません(※大歓声)。と、言いたいところだけど、今日は言わして下さい。IWGPの闘いはキツいです。みんなが、全レスラーが、このベルトを目指すからこそ、闘いも激しくなります(※大拍手)。激しくなるからこそ、みんなが、全力で闘うからこそ、ケガをする人も出ます。でも! プロレスラーは超人です!(※大拍手) どんな技を食らっても立ち上がります! 最後まで諦めないのが! プロレスラーです(※大拍手)。これからも! 全力で闘って! 皆さんに! 素晴らしい闘いを見せてくからな!! また!! このプロレス界に!! カネの雨が降るぞ!!!!(※大歓声)
自身の試合以降、長期欠場となった柴田勝頼選手へのメッセージ。「危険すぎる」という声もあった新日本プロレスのトップレスラーから出た超人宣言。
この言葉の裏にある柴田勝頼選手への思いを感じ取った時に、僕は1秒で涙が出た。