棚橋弘至VSケニー・オメガの論争を超サイヤ人で解説してみる

新日本プロレスの2018年を締めくくったのは、ケニー・オメガ選手のマイクだった。

「自分も棚橋も間違ってるのかもしれない。一番大切なことは今日のような試合をすることだと思う」

多くの人の胸を打ったメッセージ。恋人たちに降り注ぐ雪。後楽園ホールが大劇場と化したような瞬間だった。だが、時期早々とも言える発言に様々な憶測が飛び交ったのも事実としてある。

そんな後楽園ホール大会から数日後、ケニー・オメガ選手と棚橋弘至選手がそれぞれ同じメディアで受けたインタビューが公開された。

棚橋弘至選手とケニー・オメガ選手が考える未来。そして、それぞれの胸中に秘めるイデオロギー。同誌を見つつ、『ドラゴンボール超 ブロリー』を見に映画館へ足を運びたいと考えいた僕は、ある考えに至った。

これは『ドラゴンボール』の超サイヤ人(スーパーサイヤ人)的に解説ができないか?と。少々暴論になる可能性も高いがお付き合いいただきたい。

オカダ・カズチカ選手は2017年5月に「プロレスラーは超人です!」と言い放った。人を超えた存在たちの胸中は常人の僕には理解する事ができないののかもしれない。ただ、妄想することはできる。

では、棚橋弘至VSケニー・オメガの論争を超サイヤ人で解説してみよう。

 

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超サイヤ人とは

孫悟空やベジータ、トランクス、孫悟飯、孫悟天、ブロリーなど高い戦闘力を持ったサイヤ人が金髪、青眼に変身した姿を超サイヤ人という。

現在の『ドラゴンボール超』では、超サイヤ人ブルー(超サイヤ人ゴッド超サイヤ人)という領域にまで達しているが、今回の記事では原作の32巻〜35巻で紡がれたセルゲーム編を元に考えてみたい。

ベジータとトランクスの変身

『ドラゴンボール』を全く知らない方には申し訳ないが、ある程度知識がある全体で筆を進める。

圧倒的な力を持つ人造人間群。そして、アナゴさんと声が似ている謎の敵 セル。

このピンチに対して、ベジータとトランクス。孫悟空と孫悟飯は「精神と時の部屋」という外と中で時間の流れが違う場所に入り修行をしていた。

ここで掴んだのが『超サイヤ人』の進化形態である。

いわゆる『超サイヤ人第2形態』。簡単に説明すると、ベジータとトランクスがマッチョになった姿である。

 

棚橋弘至の言い分

ここで話を棚橋弘至選手とケニー・オメガ選手へ戻そう。

以前から棚橋弘至選手は「プロレスに品がない」と語っていた。

これはどちからがプロレスラーとして上か下かではなく、右か左かという意味合いである。

現在のケニー・オメガ選手は『IWGPヘビー級王者』である。つまりは団体の顔。彼のプロレスが今の新日本プロレスで最も選ばれているという証なのだ。

そのことをV11を記録した元・チャンピオンは深く理解している。だからこそ、未来への警告として、ケニー・オメガ選手のプロレスについて言及し続けてきた。

一方でケニー・オメガ選手の言い分はこうだ。「自分は最先端のゲーム機でありファミコンの棚橋弘至には理解できない」

この2つを要約すると、「あなたのやっていることは一時的な成果は出るけれど、長期的な損益を見ていくと、3年で売上は頭打ちになるよ?」というマネジメントレイヤーの意見。

「このサービスは革新的なんだ!世界を変えるんだ!ジオングには足なんていらないのです!上の方はそれが分からないんですよ!」というスタートアップ経営者や有名メカニックの意見。

真っ向からぶつかる理由は明確だ。それぞれ未来について語っているが、未来はどうなるのか誰にも分からないものである。

失敗した時に初めて間違っていたと気付くし、敢えて小さな失敗で経験を積ませるという教育もある。

棚橋弘至選手とケニー・オメガ選手の論争。ここからが超サイヤ人の出番だ。

ケトルVOL.46

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  • 作者: ケニー・オメガ,棚橋弘至,獣神サンダー・ライガー,飯伏幸太,内藤哲也,鈴木みのる,永田裕志,KUSHIDA,鷹木信悟,タイチ,オカダ・カズチカ,うえむらのぶこ
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超ベジータはあの瞬間最強だった

「精神と時の部屋」から出てきたベジータはムキムキの“超ベジータ”へと返信し、セルを圧倒した。

この時のセルは人造人間17号(ラズリ)を吸収し、完全体へと迫りつつあった。

神様と融合したピッコロ。真の力を発揮した人造人間16号が破れる中で、彼は姿を現し、その実力を遺憾なく発揮した。

あの瞬間、読者の多くが“超ベジータ”に歓喜したはずである。

超サイヤ人の限界を超えた。その瞬間の彼は確かに最強だった。

たが、この第2形態には問題があったのだ。大きな膨れた筋肉ではスピードが出ない。

完全体へとなったセルはこのムキムキになる変身をしていたベジータ、トランクスを蹂躙し、セルゲームの開催を宣言したのである。

話を飛ばそう。“超サイヤ人2”となった孫悟飯の手によってセルは破れた。

 

世界最先端のプロレスが生まれる瞬間

孫悟飯が変身した“超サイヤ人2”は初登場時、ネーミングがなかった。通常の“超サイヤ人”よりもソリッドな雰囲気になり、身体の周りをスパークが走っている。どう見ても強そうな雰囲気である。これが孫悟飯特有のものなのか、汎用性があるのかすら当時は判断できなかった。

ここで大切なのは“ムキムキの超サイヤ人”も“超サイヤ人2”も超サイヤ人にとっての未来だったということである。

ケニー・オメガ選手のプロレスがどちらの進化形態なのか、僕には言及する権利も知識もない。

ただ、棚橋弘至選手はケニー・オメガ選手のプロレスについて警告している。

『超サイヤ人』で例えるとこうなる。

「オレはケニーを2じゃなくて、ムキムキだと思うよ」と。

そう、ケニー・オメガ選手の激しいプロレスは棚橋弘至選手の目線から見ると、理想のプロレスではないのである。

一方で、2年連続東京スポーツのプロレス大賞でベストバウト賞を受賞したケニー・オメガ選手からすると、これが最先端のプロレスであり、アップデートした姿なのだという話になる。

それぞれの言い分に答えはない。だが、勝ったほうが正義というのが人類の歴史であり、未来の方向性は決まっていく。

歴史は勝者の歴史なのだ。

もしも、超ベジータが余裕を見せずにセルを倒していたら、マッチョが正史になっていたかもしれない。孫悟飯が“超サイヤ人2”に変身するその後の歴史が改変されるためだ。 

未来は誰にも分からない

3年後、ケニー・オメガ選手、飯伏幸太選手、ウィル・オスプレイ選手のような、アスリートのプロレスがトレンドになっている可能性もある。

一方で、孫悟空が日常生活を超サイヤ人で過ごし、体の負担を減らすことで、ベストパフォーマンスを出すという選択をしたように、棚橋弘至選手が大切にしている歴史と伝統のプロレスが主流になっている可能性もある。

そして、第3の選択肢もある。新日本プロレスにあらゆる才能が集まり、それぞれの個性をリングで発揮する世界もありえるのだ。

1972年に旗揚げされた新日本プロレス。当然、多くの変化があった。

くりぃむしちゅーの上田晋也さん(燃える闘魂の鉢巻を巻き、しゃもじを手に持ち、会場に足を運んでいた熱狂的昭和プロレスファン)が「世界で最も進化したのがプロレスかもしれない」という名言を語ったように、これからもプロレスはアップデートされ続けるだろう。

誰もできないと思っていたものを誰かが成し遂げた時、世界記録は次々と塗り替えられるようになった。これはオリンピックの記録を見れば明らかである。

歴史と伝統、物語を感じさせつつ、ひと目で見ただけでファンを魅了し、熱狂させる。棚橋弘至選手とケニー・オメガ選手の試合がスイングした時、世界最先端のプロレスが生まれるのかもしれない。

未来を作りたい気持ちと未来を守りたい気持ち

最後に僕の勝敗予想を書きたいと思う。おそらくケニー・オメガ選手のインタビューを見ていると、ヒールつまり『ザ・クリーナー』で姿を現す可能性が高い。

『ベストバウトマシン』以降見ることがなくなったラフファイトも厭わない姿。彼がスターダムに駆け上がったスタイルだ。

次に、棚橋弘至選手はベビーにもヒールになれることは以前、矢野通選手との戦いでも照明済みである。

2人ともベビーフェイスであり、ヒールでもある。ヒール2.0(ダークヒーロー)でもあり、ヒーローなのだ。

また、メインイベントには多くの選手がセコンドに付く可能性もあると思っている。新日本本隊、CHAOS、ジ・エリート。そして、柴田勝頼選手。

今回、更新となったKUSHIDAのナイショ話で棚橋弘至選手はこう語っていた。

「昔の新日本プロレスって若手、中堅がすごい数でセコンドについてましたけど、あれってなんだったんですかね?」

もしかすると、とんでもない豪華なことが起こるかもしれない。

僕は未来を作りたい気持ちと守りたい気持ちが衝突した時、過去に例がない結果が生まれると思っている。それは、東京ドームメインイベントでの引き分けだ。

ちなみにイッテンヨン『レッスルキングダム』の歴史において、1試合たりとも引き分けとなった試合は存在しない。

平成最後の東京ドーム大会。そのクライマックスで待ち受ける感動に刮目したい。

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