レインメーカーショックとキープオンジャーニー。新たな始まりの前に過去を清算する意義
いよいよ今日、2019年2月11日に、『THE NEW BEGINNING in OSAKA』が開催される。
この決戦の結果で、2019年上半期の新日本プロレスが大きく変わる。
オカダ・カズチカ選手とバットラック・ファレ 選手の一戦も気になるところだが、目玉は大きく2つある。
まずは、『IWGPジュニアヘビー級選手権試合』石森太二選手VS田口隆祐選手。次に『IWGPヘビー級選手権試合』棚橋弘至選手VSジェイ・ホワイト選手だ。
2019年初頭から始まった、新日本本隊とバレットクラブの対立抗争は一体どんなエンディングを迎えるのか。
ここでは4選手が紡いできた物語について振り返りつつ、レインメーカーショックとキープオンジャーニー。新たな始まりの前に過去を清算する瞬間について考えてみたい。
ケニー・オメガを倒した男たち
まず、棚橋弘至選手とジェイ・ホワイト選手にはある共通点がある。
両選手共にタイトルマッチで、ケニー・オメガ選手を下している点だ。
ジェイ・ホワイト選手は『IWGP USヘビー級』で、棚橋弘至選手は『IWGPヘビー級』で勝利を掴みその後の運命を大きく変えた。
そんな2人がいよいよ新日本プロレスの至宝を懸けて激突する。
ジェイ・ホワイト選手は最近の新日本プロレスではあまり見ないパターンで棚橋弘至選手に挑戦表明を行った。
シーンは異なるが、正確には7年振りのアクションになる。
イッテンヨン『レッスルキングダム』メインイベント後にタイトルマッチを標榜する。
オカダ・カズチカ選手は試合終了後のリングに現れ大ブーイングを浴びた。
ジェイ・ホワイト選手はバックステージで棚橋弘至選手の目の前に立った。そのため、静かなるスタートだったと言える。
インパクトはオカダ・カズチカ選手の方が大きかったが、ジェイ・ホワイト選手は違った形で衝撃を残した。
KUSHIDA選手とのスペシャルシングルマッチの後に姿を現し感動ムードに包まれた後楽園ホールの空気をぶち壊した。
世紀の大ヒールは空気を読まない。今、自分が成し遂げることは何か。この点を徹底追及し、行動してきたのである。
前哨戦でも棚橋弘至選手の膝を徹底攻撃。ダメージが蓄積し、動きのキレが若干下がってきた。
おそらくタイトルマッチでも膝を徹底的に狙ってくるだろう。
流れはジェイ・ホワイト選手にあると僕は見ている。
もしも、『IWGPヘビー級ベルト』を戴冠することになれば、新日本プロレスの勢力図は大きく書き換わる。
NEW ERAの幕開けか。棚橋弘至黄金時代の始まりか。
何が起こっても不思議ではない。
ジュニアのシングル戦線
石森太二選手が新日本プロレスジュニアの至宝を手に入れた後、目の前に立ったのは門番・田口隆祐選手だった。
KUSHIDA選手が旅立ち、ウィル・オスプレイ選手はヘビー級に転向。そして、髙橋ヒロム選手は欠場中。
BUSHI選手、鷹木信悟選手、金丸義信選手、エル・デスペラード選手、SHO選手、YOH選手はタッグ戦線で競い合っている。
マーティー・スカル選手を除けば、2014年以降でジュニアのシングルベルトを巻いた経験があるのは田口隆祐選手のみという状況なのだ。
タッグ戦線の変化がなければ、シングル戦線は手薄という状況になった時、田口ジャパン監督が立ち上がった。
セーラーボーイズという口撃
田口隆祐選手は今回のタイトルマッチに向けて、石森太二選手の黒歴史を引き合いに出してきた。
セーラーボーイズにキープオンジャーニー。
「タイジ・イシモリ!イッツリボーン」
こう言い切った男に対して、あまりにキツイ仕打ちだった。
YouTubeに始まり、振り付けをマスター。試合中に踊り始めては石森太二選手は顔を手で覆っている。
他人から見ればそう思わないことでも、本人にしてみれば思い出したくない過去がある。
デリケートな精神を持つボーンソルジャーをファンキーウエポンは徹底的に精神的に追い込んでいる。
ただ、石森太二選手もこのまま終わるとは思えない。セーラーボーイズのメンバーである2人の兄弟を招集し、開き直るという手が残っている。
もしも、もしもだ。
石森太二選手が兄弟を引き連れ、セミファイナル開始前にキープオンジャーニーを踊ったらどうなるだろう。
田口隆祐選手の精神攻撃は無効化し、石森太二選手は一気に支持を得る結果になる。
ただし、ヒールレスラーとしての威厳はどうなる?という問題はあるのだが。
過去と現在と未来
今回のタイトルマッチは双方過去の因縁や出来事がストーリーに色濃く絡んでいる。
レインメーカーショックとセーラーボーイズ。
2つの過去が起因して熱を生んでいる今回の2大タイトルマッチ。
かなり誇張しているようにも思うが、ギリギリセーフの範疇だろう。
新日本プロレスの新たな始まりは一体どの方向に向かうのか。新日本プロレスワールドでしっかりと見届けたい。