飯伏幸太が新日本プロレスで生きるということ。

新日本プロレスの「THE NEW BEGINNING in OSAKA」に登場した飯伏幸太選手は、神妙な面持ちで花道を歩き、リングのど真ん中でファンが最も欲していた言葉を言い放った。

「僕はどこにも行きません。ここで、新日本プロレスで全力を尽くしていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします!」

「飯伏プロレス研究所」の代表であり、フリーのプロレスラーとして新日本プロレスのみならず、様々なマットで価値を発揮していた飯伏幸太選手。

キックボクシングスタイルとハイフライヤーのハイブリッドに加えて、クラシックなスタイルも好む。新日本プロレスのエース棚橋弘至選手からも寵愛を受けるほどの才能が、いよいよ花開こうとしているのかもしれない。

ただ、一つ疑問も残る。

なぜ、飯伏幸太は新日本プロレスで生きることを選んだのか、ということである。

ここからは僕の完全な持論と妄想に入っていく。少しでも違和感を抱いた方は読むのをストップして欲しい。

では、まずこの話から。

僕は今回の「ゴールデン☆ラヴァーズ」の2人が距離を置いたことに対して肯定的に捉えている。

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飯伏ケニーになるために

まずはケニー・オメガ選手と飯伏幸太選手の見られ方について伝えたい。

2013年、飯伏幸太選手は新日本プロレスとDDTのW所属を経て、2016年にフリーの道を歩んだ。

一方で、ケニー・オメガ選手は2016年に新日本プロレスと契約を結び「バレットクラブ」へと加入。2016年にAJスタイルズ選手を追放し、リーダーの地位を手に入れ躍進した。

みんなから愛される陽気なスタイルから一転、「ザ・クリーナー」へ。ヘビー級転向をはたした後、新日本マットを席巻する道を歩むことに成功した。

だが、現代の新日本プロレスで“ガイジン”ヒールのままではファンの絶対的支持を得ることはそう容易いことではない。

そこで、クレバーなケニー・オメガ選手はいくつかの仕掛けを用意した。

まずは日本語の解禁、次に「ゴールデン☆ラヴァーズ」復活である。

外国人初優勝という快挙を成し遂げた「G1クライマックス」で日本語を解禁。その翌年は内藤哲也選手に敗れたものの、試合後、飯伏幸太選手と接点が生まれた。

ケニー・オメガ選手にとって「ゴールデン☆ラヴァーズ」は新日本プロレスのトップに立つために最も必要なファクターである。

いつ解禁するのか。このタイミングが重要だった。

そして、2018年2月「何かが起きる雪の札幌」で物語は動いた。

ここでケニー・オメガ選手はスターダムに登り詰めたのだ。

彼が紡いだジャパニーズ・ドリームに頭が下がる。よくぞここまで短期間で上昇したものだと思う。他の選手が何年掛かってもたどり着けない頂きは、「Change the World」を感じさせるものだった

では、飯伏幸太選手の目線で見てみよう。彼にとって「ゴールデン☆ラヴァーズ」復活はどんなメリットがあったのか。

 

全てが変わった

飯伏幸太選手とケニー・オメガ選手がジュニア戦線でApollo 55とベストバウトを受賞した時、注目を集めるのは飯伏幸太選手だった。

飯伏ケニー。飯伏幸太選手の隣にいる“ガイジン”レスラー。これが当たり前だった。だが、ケニー・オメガ選手が日本語を解禁し、民衆の支持を集めるダークヒーローという立場で並び立った時、2人の見え方は逆転していた。

おそらく、現在で飯伏ケニーというイメージを持っている方は少数派のはずだ。ケニー飯伏。これが現実的な印象だろう。

ケニー・オメガ選手は飯伏幸太選手に並び、超えた。

ただ、横にいる飯伏幸太選手の目から見たときに本当に一度も違和感がなかったのか。

プロレスラーとはナンバーワンであり、オンリーワンを目指すものである。

そういった過程の中で、飯伏幸太選手の胸中にはどんな思いが浮かんでいたのだろうか。

2017年に発売されたこの雑誌を読み返して欲しい。

 ここに元々、飯伏幸太選手が持っていたケニー・オメガ選手への心象が書いてある。

販売されている雑誌なので、詳細には触れない。だが、決していいものではなかったとだけ記載しておく。

その時の気持ちが蘇ってきたのではないだろうか。

自分とケニー・オメガ。このままだと、一生ケニーの後ろにいるプロレスラーになる。

それがプロレスラー飯伏幸太の未来でいいのか。

そういった自問自答が、今回再び袂を別つ結果につながったのではないかと予想する。

事実、バレンタインデーにケニー・オメガ選手がTwitterで発信した内容に飯伏幸太選手はリアクションを取っていない。

明らかに距離を置きたい。今は距離置くべき。そんな気持ちがそこにはあるのではないだろうか。

何故ならば、次に会うときがあるとするならば、ケニー・オメガ選手とは同じコーナーには立たないのだがら。

正解はひとつじゃない

ケニー・オメガ選手はクレバーだ。先日海外メディアで公開されたインタビューでは、新日本プロレスについて批判にも取れる内容を語っていた。

それからすぐに飯伏幸太選手への愛のメッセージを発信した。

いい言い方をすれば、「記念日に素直な気持ちを伝えるケニたん可愛い!」だが、タイミングなどを俯瞰して見てみると、ファンに変わらない自分をアピールしたという見かたもできる。

AEWの旗揚げが迫った今、日本のファンから自分への気持ちを離したくない。であれば、飯伏幸太選手の名前や画像を使うのが最善策だ。

これは決して「悪い」という話でも「否定」をしたわけでもない。

僕は、ただただ凄いと思っている。

ここまでのセルフブランディングができる人材は世界広しと言えど、そう多くはないだろう。

ケニー・オメガ選手はやはり超一流のプロレスラーである。

ゴールデン・スターの本領発揮

飯伏幸太選手は2019年の「ニュージャパンカップ」で新日本プロレスに復帰を果たす。

ここで優勝できればMSGへの切符を手に入れることができるという、超豪華な特典が付いた大会だけに、これまで以上に熱のある戦いが期待される。

この先にも「G1クライマックス」や「ワールドタッグリーグ」も控えている。

シングル、タッグ。どちらでも輝きを放つことができるのが「ゴールデン・スター」の所以である。

色々な大会でその実力を遺憾なく発揮して欲しい。

 

3つの可能性

では、飯伏幸太選手は一体どのユニットに所属するのか。という話に入りたい。

候補は「新日本本隊」と「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」、「鈴木軍」この3つだと予想する。

「CHAOS」の可能性は薄い。オカダ・カズチカ選手がいる以上、「IWGPベビー級ベルト」が一番狙いにくいユニットであるためだ。

次に「バレットクラブ」だが、ここには高橋裕二郎選手やチェーズ・オーエンズ選手など、少し気心の知れた選手も多い。

ただし、「ジ・エリート」がいた時代とは異なり、極悪な存在になりつつある。

タマ・トンガ選手が“Good Guy”のままであれば可能性はあったのだが、おそらくゼロだろう。

大本命は本隊

先日Twitterで投稿された新日本本隊とフロント陣のお食事会に飯伏幸太選手の姿があった。

新日本本体がおそらく最有力候補になるのは間違いない。

「CHAOS」との越境タッグも実現可能なため、オカダ・カズチカ選手、後藤洋央紀選手、石井智宏選手、天敵・矢野通選手とタッグを組むこともできる。その結果、非常に魅力的なタッグチームが出来上がる可能性は高い。

ただ、別のユニットに属するあるいは色々なユニットに局地的に参戦するスタイルも面白いと思う。

例えば、「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」。鷹木信悟選手の加入以降、拡大するというメッセージを言い放っている。

もしも、飯伏幸太選手が加入するのであれば、圧倒的な存在感を放つことができる。ただし、内藤哲也選手という大きすぎる同級生の存在がそうさせない可能性はあるが。

「鈴木軍」についてはどちらかというと単純に加入するというよりも、別の可能性を感じている。

天龍革命の天龍源一郎さんと阿修羅・原さんのように飯伏幸太選手とタイチ選手で新ユニットを組むのだ。

「一歩踏み出す勇気」にも繋がりつつ、何かを起こしてくれる期待も高まる。選択肢の一つとしてお互いを利用するのはアリなのかもしれない。

飯伏幸太選手と新日本 プロレス。これからが更に楽しみになる展開が待ち受けているのは間違いない。

飯伏幸太選手が新日本プロレスを席巻し、その価値が膨れ上がった瞬間。これが、「ゴールデン☆ラヴァーズ」の時計の針が動き出す時なのかもしれない。

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