新日本プロレス2019年の旗揚げ記念日には夢があった
2019年3月6日、新日本プロレスの旗揚げを記念した興行には、豪華な顔ぶれが揃った。
メインイベントはジェイ・ホワイト選手とウィル・オスプレイ選手のスペシャルシングルマッチや本隊&CHAOSVSロス・インゴ ベルナブレス・デ・ハポンのヘビー級対決。
石森太二選手と獣神・サンダーライガー選手の「IWGPジュニアヘビー級選手権試合」、ロッポンギ3K対鷹木信悟選手&BUSHI選手。
これまでに無い対戦カードから絶対に負けられない対決。
目の離せない試合の連発は大きな期待を生み、チケットは完売。満員御礼札止めの4000人を記録した。
僕は“パレハ”と食事に行く予定があったため、リアルタイムで試合を追うことは叶わなかったがしっかりと新日本プロレスワールドで色々と目にした。
実況席には野上アナや吉野アナも登場し、豪華だな、楽しいなという動画で観戦する喜びがあった。
そして、SHO選手&YOH選手の変化、石森太二選手の新展開。そして、「ニュージャパンカップ2019」へ向けた各レスラーの心境が表面化した。
決戦の日が訪れる前に今日のエピソードをまとめておきたい。
ロッポンギ3Kの変化
序盤はNJPW FUNが特に応援している(いいねをいただいたから)SHO選手と鷹木信悟選手のパワー対決からスタート。
開始から数分で2人同時のノータッチトペコンヒーローが炸裂。田口隆祐選手とリコシェ選手のファンキー・フューチャーを下した時と同じ展開で、一気に主導権を握った。
3分経過。うん。やっぱり全然違う。
いつものロッポンギ3Kと全然違う。昨年末頃からパリピ路線は卒業していたが、試合の展開や表情が大きく変化することはなかった。
僕は今、リアルタイムで試合を見ながらこの文章を書いているのだが、これまでのロッポンギ3Kの試合で一番好きかもしれない。
目の色が違う。それぞれの個性が際立っている。
これは違うという意見があってしかるべきなのだが、ヤングライオン時代の2人には明確に差があった。
YOH選手の方が学年が上でプロレスが上手い。そんなイメージである。
ただ、メキシコ、アメリカでの武者修行を終え帰ってきたSHO選手はブラジリアン柔術やMMAの技術を取り入れ、KUSHIDA選手のようなファイトスタイルへと変化していた。
バチバチの展開で観客を驚かせるのがSHO選手。
一方で、YOH選手。棚橋弘至選手のようなオールドスクールなスタイルがベースにある。
華やかさはあるものの、ヤングライオンという個性がなくなったことで、逆に少し埋もれてしまった印象もあった。
だが、この日はYOH選手が特に素晴らしい。
「そのまさかだ〜!!!」
と言った時は、吹っ切れたか何なのかと思っていたが、明らかに何かが違っている。
あぁ、そうか。
KUSHIDA選手がいないんだ。
新日本プロレスのジュニアは誰が盛り上げなくちゃいけないのか。
昨年のジュニア4強は完全に不在。
髙橋ヒロム選手は欠場中。ウィル・オスプレイ選手はヘビー級転向。マーティ・スカル選手はROH新ユニットを結成に集中。
そして、KUSHIDA選手は退団。
石森太二選手が「新日本プロレスジュニアをリボーンしてやるよ」と公言し、リング内外で躍動している中、タッグ戦線は俺たちが完全にNEXTでいい風吹かせると言わんばかりに感情を見せたアファイトを見せている。
いい試合だ。と、物思いにふけっていたらSHO選手に毒霧が炸裂。そして、合体技のリベリオンが炸裂。
あぁ、これは惜しかったなぁ。勝って欲しかった。
と、思ったら毒霧を受け、視界が塞がれたSHO選手がBUSHI選手を抱え上げる。そして、YOH選手が2人に向かって飛び込んだ。
「絶対に来る」
がむしゃらさ。必死さ。
あぁ、そうだ。今の新日本プロレスに居ないピースだ。
ヤングライオンを経て帰国したなお、とにかくひたむきに勝利を掴もうとする意思。ヤングライオン時代の延長線上にいるキャラクター。
オカダ・カズチカ選手やEVIL選手、髙橋ヒロム選手みたいにはなれない。
ヤングライオン時代に持っていた個性とこれまでに積み重ねた経験を組み合わせたスタイル。
そう、パリピとして華やかなイメージを演出しようとしていた時よりも、言葉は悪いかもしれないが、この試合の方がとことん輝いて見えた。
おめでとう。ロッポンギ3K。2人の試合で泣いたのは、Xとして両国国技館に現れた日以来だ。
石森太二VSドラゴン・リー
「MSGで試合がタイトルマッチがしたい。ROH出てこい!」
この言葉に呼応するように姿を現したのはドラゴン・リー選手だった。
スペイン語での挑戦表明を行うと、石森太二選手もスペイン語で応戦。
「楽しもうぜ!イッツリボーン」
これは上手い。石森太二選手の魅力が描かれる流れが美しい。
東京ドームで長年新日本プロレスジュニアを牽引したKUSHIDA選手を倒しチャンピオンへ。
次の相手は田口隆祐選手。石森太二選手の過去であるセーラーボーイズを表面化させ、パーソナルな魅力を発信した。
そして、生きる伝説を超えた先に、原点であるメキシコのトップルチャドーラーが現れた。
石森太二選手が2018年に新日本プロレスに来てから「試合が凄いレスラー」という印象が強かった。
パーソナルな魅力が発信されたことで、ヒールとは言え、明るい側面の魅力が溢れ出してきた。
まだまだ石森太二選手による新日本プロレスジュニアのリボーンは続きそうだ。
6人の揃い踏み
これこそが、今の新日本プロレスを牽引するトップ選手6人による試合だ。
うん。やっぱり後藤洋央紀選手について書きたい。
後藤式でSANADA選手から3カウントを奪った。この技はやっぱり凄まじい。固め技と丸め込みの融合。流石のSANADA選手もこれにはなすすべもなかった。
そして、セミファイナル終了後、3人がマイクを手に取った。
「ニュージャパンカップ優勝させていただきます」
「まてまてまて!ニュージャパンカップで俺が復活します。ちょっくら優勝してきます」
「先輩!すいません!ニュージャパンカップは大本命のオカダ・カズチカが優勝します!」
その光景を見つめる内藤哲也選手、解説席で僕が優勝しますと言い切った飯伏幸太選手。
「ニュージャパンカップ2019」に向けたそれぞれの決意表明は完璧だ。