タイガーマスク、石森太二が鷹木信悟に伝えたかったこと

タイガーマスク、石森太二が鷹木信悟に伝えたかったこと。その答えをファンに伝えたのが「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」の優勝決定戦で争うこととなったウィル・オスプレイ選手だった。

この日、岡山・ジップアリーナ岡山で“メインイベントで無敗男”田口隆祐選手と対峙したウィル・オスプレイ選手。

オープンウエイトを表明して以降、スーパーヘビー級のレスラーとしのぎを削ることも珍しくなくなったためか、今大会でもBブロックを圧倒的な結果で駆け抜けていった。

彼相手に勝利を収めたのは、初戦のエル・ファンタズモ選手とライバル・ロビー・イーグルス選手のみ。

「バレットクラブ」と「CHAOS」の争いが激化する際にどういった形でこの2敗が響いて来るのかも気になる所である。

この日、田口隆祐選手を直接対決で下した後、リングへ向かってAリーグを全勝で突破したジャイアンこと「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」“ザ・ドラゴン”鷹木信悟選手が現れた。

リングでの強さとファンに響く言葉を併せ持った両選手。ただ、ウィル・オズプレイ選手が持っていて(正確には引き継いでいて)、鷹木信悟選手が持ち合わせていないものがあったのだ。

そう、それは現在欠場中であり、新日本プロレスジュニアの絶対的スター髙橋ヒロム選手が常に意識し、常に実践してきたことで、ファンから愛される存在になった考え方である。

「自分がどうこうという個よりも、新日本プロレスジュニアの価値をどう高めるのか。『ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア』を全選手で成功させること」

その結果生まれたのが、2018年に石森太二選手を破った後に繰り出した言葉だった。

「これが“俺たち”のスーパージュニアだ!」

獣神サンダー・ライガー選手が勇退して初の「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」で髙橋ヒロム選手は、自分にとっての居場所が新日本プロレスであり、新日本プロレスジュニアの価値を上げることだと、繰り返し繰り返し言い続けた。

もっと!もっと!もっと!もっと!もっと!楽しむ姿勢を思い出すと同時に大会中タイガーマスク選手が鷹木信悟選手に贈っていたアドバイスはこういうことだったのかと気付かされた。

新日本プロレスの生え抜きではないタイガーマスク選手が鷹木信悟選手に伝えたかったのは、新日本プロレスへの愛情を持つことだったように思うのだ。

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認める部分と足りない点

「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」で鷹木信悟選手とタイガーマスク選手が激突した後、こんなコメントがあった。

それは実力は認めているものの、鷹木信悟選手が本当の意味で新日本プロレスを席巻するためには「足りないもの」があると語っていた。

パワー、スピード、テクニック。シンプルにプロレスラーとしての強さを認めた上で鷹木信悟選手には何が足りないと言うのだろうか。

アントニオ猪木さんが提唱した「ストロングスタイル」とは少々形でが異なるものの、強さを全面に押し出し、相手をなぎ倒していくスタイルは個人的に嫌いではない。

ただ、新日本プロレスで長年戦い抜いてきた男たちからすれば、何かが足りていないのである。

パワーは凄い。それは認める。パワーが凄いのは認めるけど、それ以外はあいつにこの新日本で足りないものがまだあると思う。ただそれを手に入れた時はあいつはヘビーでも通用するだろうし、素晴らしい素質は持っていると思う。あいつが試合前に言っていた、あいつがドラゴン? 俺がタイガーで龍虎対決って、そんなもん俺に当てはめないでくれ。それは俺には関係ない。お前はお前の道を行けばいい。この新日本に来た以上はお前の進む道を行け。別に俺のことなんてどうでもいい。ただ、パワーはあるし素晴らしいレスラーであることは認める。ただあいつに足りないものはあると思う。それは自分で確かめろ。この新日本に来てどれぐらいなのか俺はわからないし、あいつの経歴なんて知らないし、知る由もない。そんな余裕もないし。ただ、あいつが新日本で何かを残すならもっともっと経験を積んで自分で掴め。それしか言えない。同じ外から来た人間としてそれしか言えない。(※去り際に)ただ、パワーは認める。素晴らしい 
出典:新日本プロレス

明らかに強さを認めつつ、何かが足りていないことを釘指すタイガーマスク選手。

その答えがウィル・オスプレイ選手のコメントで浮かび上がってきた。

 

新日本プロレスを愛するということ

棚橋弘至選手がはじめて「愛してます」とリングの中心で叫んだ時、会場からは失笑が起こった。

従来のファンから見れば突然何を言っているんだ?という感覚だったのだろう。

ただし、時は流れ現在ではキチンと自分の口で自分の思いを伝えることこそに価値がある時代となった。

「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」のメインイベントでこれまで負け知らずだった田口隆祐選手が「大好きで〜す」と叫び続けてきたように、ファンへの思い。新日本プロレスへの思いがどれだけ強いのか。この点も大切なポイントになってきたのだ。

ここで鷹木信悟選手である。

田口隆祐選手をウィル・オズプレイ選手が破った後のマイクで提言したテーマは2つである。

まず、「自分は新日本プロレスに来てから無敗」であること。次に「今は誰にも負ける気がしない」ということである。

今の鷹木信悟選手には背負うものがある。「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」で戦い、破ってきた9人の想いは決して軽いものではない。

ただし、これまでの鷹木信悟選手のコメントを拾っていくと「なるほど」と思う結果にたどり着いたのも事実としてある。

ウィル・オスプレイ選手のコメントは以下だ。最後に僕の感想を残しておく。

綺麗なジャイアン

石森太二選手が鷹木信悟選手をジャイアンと呼び、「綺麗なジャイアンにリボーンしてやるよ!」と言い放った時、僕は思わず爆笑してしまった。

だが、その本質は少し異なるものだとようやく気付くことができたのだ。

鷹木信悟選手のコメントは大半が自分に向いているのだ。決して悪いことではない。むしろ、健全なことだと思う。

ただし、新日本プロレスを新日本プロレスジュニアを背負うレスラーになるのであれば、ファンに贈るメッセージは変わってくるのではないか。

新日本プロレスの価値を上げる。これこそがトップ選手に必要な考え方なのだ。

 

チョットマッテクダサイ。日本語でしゃべってくれたのはいいけど、ワカリマセン。だけど、お前は英語がわかるよな。スコシ、俺にもしゃべらせてくれ。お前に向かってな。なあシンゴ、お前、ちょっと俺のことを見くびってやしないか? 俺が恐れてるのことはひとつだけ。多くのファイターに先を越されてしまうこと。アイ・ラブ・ニュージャパンプロレス。俺は常に冷静で謙虚でいる。シンゴ、お前もたまにはそうかもしれないけど、俺は毎日毎日、そう努めてるんだ。俺の人生訓のようなものだ。リングに上がるたびに、そうであるべきだってね。気持ちを落ち着かせてコントロールしている。俺が勝利を重ねられているのは、その賜物だ。多くのファンに対して、そういう姿を見せているんだ。そして逆に、俺はみんなからそれを教えられた。シンゴ、お前は何を慌てているのか知らないけど、闘う時は決まったんだ。俺とお前で。でも、ここは俺のホーム。お前の気持ちは受け止めた。俺は闘う。そう、ここで闘うまでだ。そして、お前を倒す。俺は英国を代表する男。ジュニアヘビー級、ヘビー級に関係なく。そして俺こそが、お前を最初に倒す男だ。お前に思い知らせてやる。俺はエアリアル・アサシン、ソラノオーサマ、ウィル・オスプレイ、そしてお前を倒す男だ、シンゴ。俺がドラゴンを成敗する

出典:新日本プロレス

 

さらなる飛躍を

既に人気も実力も申し分ない鷹木信悟選手だからこそ、今回の「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」で新日本プロレスそのものへ愛着を持つことが必要だったのだ。

既に9人のレスラーから気持ちは受け取っている。後は、この団体で上り詰めること。その後は先陣を切って団体を盛り上げることである。

もともと以前に所属していた団体ではPRのためにテレビに出演する、クライアントを回る、飲食店に足を運ぶなど試合以外でも盛り上がる力を持っていることは証明済みである。

ウィル・オスプレイ選手との試合を通じて、鷹木信悟選手の中にある新日本プロレス愛がどこまで大きくなるのか。単純に試合の面白さは保証済みの対戦カードだけにここにも注目していきたいと思う。

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