BUSHIの乱入行為はどう捉えればいいのか

BUSHIの乱入行為はどう捉えればいいのか。まさに寝耳に水、藪から棒だ。僕がプロレスをキチンと見始めた2017年からの約3年間で初の出来事であり、いくら想像の範囲内ではあったとは言え、本当にやるとは思わなかった。

だって、それは今の新日本プロレスにおいて大切な“ユニット”の関係性や構造を打ち壊すものなのだから。

「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」BUSHI選手が「CHAOS」の“バーズオブプレイ(BoP)”ウィル・オスプレイ選手&ロビー・イーグルス選手と金丸義信選手&エル・デスペラードの試合に乱入した。

この結果を受けてウィル・オスプレイ選手とロビー・イーグルス選手は「スーパージュニアタッグリーグ2019」で予選落ちが決定。“BoP”にとって苦い思い出の季節となった。

ウィル・オスプレイ選手は怒り狂った。それもそうだ。第三者の介入はある程度予想できても、まさか試合に関係の無いユニットから介入を受けるとは思いもよらなかっただろう。

確かにあの行為は制御不能すら逸脱した「いささかやり過ぎ」とも感じた。

その理由をまとめていきたい。BUSHI選手が新日本プロレスの公式スマホサイトで公開した最新の日記は加味しない(家庭の事情があったから試合ぶち壊していいとは思わない)。そして、「スーパージュニアタッグリーグ」の権威にも泥をかけた。

タイチ選手が「G1クライマックス」にエントリーされず暴れ回っていた時期とは違う。あの時は圧倒的にファンからの支持があった。パートナー不在でエントリーできない状況とは訳が違うのだ。

また、同じユニットを助けに入ったタイチ選手の乱入とも違う。まずは、棚橋弘至選手の言葉から振り返っていこう。

 

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新日本コンクルソ

新日本プロレスのエース“100年に1人の逸材”棚橋弘至選手は自身のポッドキャスト「棚橋弘至のPODCAST OFF!! 」で“新日本コンクルソ”構想を何度もぶち上げ、いよいよ実現の機運が高まってきた。

だが、どうしてもメキシコCMLLではオッケーでも、新日本プロレスではナシという雰囲気がある。

元々CMLLでは時折、テクニコ(ベビーフェイス)とルード(ヒール)が協力する展開がある。メキシコ人のレスラーVS多国籍軍など。

それに対して、新日本プロレスは敵対しているユニットと同じリングに立つのは試合と記者会見のみ。抗争が激化しているケースあり、取っ組み合いになることも珍しく無い。これがプロレスラーなのだ。

だからこそ棚橋弘至選手は開催を強行できないのだ。「バレットクラブ」“ボーン・ソルジャー”石森太二選手のように、レスラー個人では「参加」することに前向きでもいい。

ただ、ユニットが絡んだ瞬間にそう簡単にいかないのだ。何故ならば、ユニット抗争の文脈を見れば「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」と「鈴木軍」は完全に敵対しているためだ。

 

2つの抗争

今、「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」と「鈴木軍」の中で、2つの抗争が巻き起こっている。

二冠を狙う男・内藤哲也選手とタイチ選手そして、。“プロレス王”鈴木みのる選手が次に選んだ標的はヘビー級へ転向した鷹木信悟選手だった。

「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」のリーダーと元タッグチームの相棒。BUSHI選手はそんな2人が敵対しているユニットに加担して、決勝進出へ貢献したのだ。

確かに、新日本プロレスはヒプノシスマイクのようにディビジョンバトルがメインという状況ではない。

ユニットVSユニットが煽られることもあるが、それはあくまでも個人闘争が主軸にある。それは理解している。が、BUSHI選手が第三者の試合に介入したというのが僕は少し納得が出来なかった。

ここには理由がある。後藤洋央紀選手がジェイ・ホワイト選手を倒した時のようなストーリーがない。なぜ、このタイミングで「IWGPジュニアヘビー級王者」を狙ったのか背景が見えてこない。

敢えて感じたことを書く

第三者の試合に介入して、チャンピオンがキレたから挑戦決定。これでは「IWGPジュニアヘビー級ベルト」の価値が下がっているのでは無いか。

2014年。オカダ・カズチカ選手は年後藤洋央紀選手を破った後に己への敵意を向けた柴田勝頼選手へ「ニュージャパンカップ優勝してから来い。俺と向き合えば挑戦できる?そんなに甘かくねぇ」と語った。

それだけ「IWGPヘビー級ベルト」は重く、そうやすやすと挑戦できるものではないのだ。

ただし、「IWGPジュニアヘビー級ベルト」はBUSHI選手の行動により、今後も挑戦したければ、何やってもいいという前例が“令和”の時代に生まれてしまったのだ。

 

ブーイングか声援か

2019年11月3日、「保険見直し本舗 Presents POWERSTRUGGLE ~SUPER Jr. TAGLEAGUE 2019~」は現在5試合が決定しており、この日に「IWGPジュニアヘビー級選手権試合」も執り行われる。

2019年の新日本プロレスで「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」はもはや反則介入を行うユニットではなくなった。

そんな状況で試合をぶち壊し、“BoP”の歴史に泥を塗った。普通に考えればBUSHI選手にブーイングが飛ぶはずである。100対0でもおかしくない。

近年最も暴れ回ったタマ・トンガ選手らが中心の「バレットクラブ OG」ですら、ここまでの行為は働いてない。

そして、今の「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」で考えた時に今回の行動をSANADA選手、EVIL選手、鷹木信悟選手が称賛するイメージが全く湧かない。もしも敗れた場合、ジェイ・リーサル選手以来のユニット追放の可能性すらあるのかもしれない。

BUSHI選手にとって今回のチャンスは諸刃の剣だ。

ただ、勝つことで今回の挑戦について語ることができる。「どうしても挑戦したかった理由」を語ることが許されるのである。

つまり、勝つしかない。背水の陣で戦う時、BUSHI選手はKUSHIDA選手とぶつかり合っていた輝きを放つことがある。

BUSHI選手による大一番が始まる。

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