ケニー・オメガVSマイケル・エルガンのラダーマッチにあった狙いとは?

ケニー・オメガVSマイケル・エルガンのラダーマッチにあった狙いとは?

この2人が新日本プロレスのリングからすでに離れ、距離を置いていると当時は思いもよらなかった。

2016年6月19日。大阪城ホールで行われた「IWGPインターコンチネンタル選手権試合」は普段の新日本プロレスとは異なる特殊なルールをもって実現した。

ラダーマッチ。端的に言えば天井に吊るされたモノ(フックに掛けられるモノは様々)を取った方が勝ちになる。ただ、ベルトはジャンプしても届かぬ程の高さにあるため、ラダー(梯子)を色々と活用しつつ、勝利を目指すというもの。

3カウントもギブアップもなし。今回は高さ4メートルほどのところに吊るされた「IWGPインターコンチネンタルベルト」を取った方が勝利者となる。

新日本プロレスの歴史において史上初となったケニー・オメガ選手とマイケル・エルガン選手によるラダーマッチ。

※2度目は2019年4月6日の「G1 SUPERCARD」MSGで行われたROH世界選手権試合3WAYラダーマッチ。

改めて見てみると、今の新日本プロレスとは大きく違う景色が広がっていたように思う。

 

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鬼に金棒、エルガンにラダー

このタイトルマッチは本来、棚橋弘至選手がケニー・オメガ選手と戦うはずだった。

だが、棚橋弘至選手が前哨戦中に全治2ヶ月の負傷を負ったことで事態は一転。同年4月に福岡で敗れたマイケル・エルガン選手がリマッチに名乗りを上げる形となった。

“トモダチ”棚橋弘至選手のために立ち上がったマイケル・エルガン選手は自身初となるラダーマッチへ臨む。

一方で、相手は“カナダの路上王”を名乗るケニー・オメガ選手だ。高橋裕二郎選手、ハングマン・ペイジ選手を引き連れて“ザ・クリーナー”ケニー・オメガ選手が入場を果たすと、ブーイングが鳴り響く。ヒールとして輝いていたことがよく伝わってくるよう。

試合開始早々からお互いがラダーを活用しつつ、プロレス技以外の攻撃を繰り出し続ける。

ラダーをぶつける。ラダーにぶつける。更には、ラダーの上からブレーンバスターで叩き落とす。

カナダ産の最高級筋肉が生み出すパワーは何とベンチプレス250キロ。スピードと機動力と閃きで戦うケニー・オメガ選手とは分かりやすくファイトスタイルが異なるため、それぞれの個性が色濃く出た試合だったように思う。

 

介入による介入

試合後半、マイケル・エルガン選手が手錠にかけられる。すると、キャプテン・ニュージャパンさんやヨシタツ選手、マット・サイダル選手、リコシェ選手らが続いて登場。

「バレットクラブ」と新日本本隊による総力戦へと変貌する。

そして、“トモダチ”のためにも負けられないマイケル・エルガン選手が手錠を引きちぎる形で脱出。

最後はラダーの頂上で手を伸ばしていたケニー・オメガ選手を突き落とし、自らがラダーの天辺に立ち勝利のベルトを掴み取った。

 

中邑真輔の色

2012年から2016年1月まで「IWGPインターコンチネンタル王座」は中邑真輔選手の所有物だった。

「IWGPヘビー級ベルト」と同等、さらに上を目指し、“キング・オブ・ストロングスタイル”は躍動していた。

桜庭和志選手やダニエル・グレイシー選手がタイトルマッチを行ったといえばどれだけの意味を持たせていたベルトなのだろうと正直思う。

日本はプロレスから派生する形で総合格闘技が誕生した。その歴史においてグレイシーという名前が持つ意味はあまりにも重い。

そんな中邑真輔選手のイメージを払拭すること。これが中邑真輔選手が返上したことだ、空位となっていた「IWGPインターコンチネンタル王座」についたケニー・オメガ選手の狙いだったのかもしれない。

中邑真輔選手が魅せていた総合格闘技へのリベンジではなく、アメリカナイズされた明るくド派手なプロレス。

今では制御不能となった内藤哲也選手のイメージが強いベルトだが、今後はどんな景色が広がっていくのだろうか。

もしも仮にラダーマッチが再びあるとして、「IWGP USヘビー」で行われる可能性が高い。

制御不能かゴールデン☆スターか。はたまた棚橋弘至選手の返り咲きか。

中邑真輔選手のイメージを一新したラダーだマッチから早くも4年。これからの展開が楽しみである。

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