飯伏幸太の統一プランとアントニオ猪木のIWGP構想

飯伏幸太の統一プランとアントニオ猪木のIWGP構想について書きたい。

2021年2月23日、飯伏幸太選手は新日本プロレスワールドのインタビューに応じ、自身が掲げる「IWGPヘビー級&IWGPインターコンチネンタル」のベルト統一について語った。

僕の感想から言うと...。想像していたよりも圧倒的に説得力があり、そういう価値観のもと統一をするのであれば、アリだと思った。

まず、僕の認識が甘かった。

神とは何だ。この言葉に対しての理解力が低すぎたのだ。

飯伏幸太選手が棚橋弘至選手と中邑真輔選手を神だと崇めている。その2人に自らが並んだと、自分の中で解釈したことで「神になった!」と宣言したと思っていた。

実際はもう一つ隠し階段があった。

時計の針を棚橋弘至選手が「俺は!このリングで!プロレスを!やります!」と言ったあの日まで戻そう。

2002年2月1日。今から19年前。蝶野正洋選手はリングの上でこう叫んだ。

「おい!新日本!!よく聞けよ! 俺に納得出来る説明出来る奴いるのか!! おい!お前らに教えといてやる!新日本プロレスこのリング! 我々の上に1人神がいる!ミスター猪木!!」

「おい!新日本!! よく聞けよ! 俺に納得出来る説明出来る奴いるのか!! おい!お前らに教えといてやる!新日本プロレスこのリング! 我々の上に1人“神”がいる!! ミスター猪木!!!」

蝶野正洋選手が“神”と呼んだのは新日本プロレスの創始者であるアントニオ猪木さんだった。

“神”飯伏幸太選手の統一プランとは、アントニオ猪木さんが掲げた「IWGP(インターナショナルレスリンググランプリ)構想」を現代式にしたものだったのだ。

 

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両方のベルトの魅力が半減している

飯伏幸太選手は“二冠”についてこう自論を述べている。「両方のベルトの魅力が半減している」と。

実際、内藤哲也選手との「IWGPインターコンチネンタル選手権試合」が決定するまで、2020年〜2021年は一度もタイトルを分けた試合は行われなかった。

また、以前に僕は“キング・オブ・ダークネス”EVIL選手が“二冠王”になった際、これは“二冠王”なのであって「IWGPヘビー級」のベルトを巻いた(つまり、長年の夢が叶った印象だったり、新日本プロレスの頂点に立った感じが薄い)と書いたことがある。

あくまでも僕の中でにはなるが、「二冠王」は2019年以降に生まれた新しい価値観で、歴史が浅い印象すら受けてしまうのだ。

つまり、早々に“2本のベルトを保持する”時代を終わらせることが飯伏幸太選手の狙いだろう。

また、単なる分離では「あの時代は何だったのか?」と思われてしまう。

僕が感じている「二冠王」のイメージとは真逆で、本来であれば2本のベルトを持ったレスラーが生まれた以上、今後1本を争っていても、いつかまた二冠の時が訪れるような気もする。

飯伏幸太選手の統一プランにはこの問題をクリアする2つの提案があった。

 

歴史を残す

「IWGP」統一プランの中で飯伏幸太選手は両方のベルトの歴史を残すと何度も口にしている。

それぞれの歴史を残したまま、一本のベルトに新調する、と。

内藤哲也選手についてはベルト破壊までしていたにも関わらず、今更守るって違うんじゃないのか?とピシャリ。確かに正論である。(内藤哲也選手の「二冠王時代」については、本当に難しい状況(世界的に)ではあったので、一概に指摘しにくい点もある)

ここから続く内容に関しては全て飯伏幸太選手に賛同したものになるため、1点だけ理解が及ばなかったことを書きたい。正確には動画の編集でカットになっているため、イマイチに伝わらなかった。

歴史を残すというところだけピンとこなかった。多分、ニュアンスの問題だとは思うのだが、全日本プロレスの三冠ヘビー(PWFヘビー級王座、インターナショナル・ヘビー級王座、ユナイテッド・ナショナル・ヘビー級王座)と同じ概念なのだろうか。

IWGPヘビーは73代目、IWGPインターコンチネンタルは27代目でベルトの歴史がストップ。ここからは統一された新タイトルのみが更新されていくのではなく、IWGPヘビーは74代目、IWGPインターコンチネンタルは28代目が生まれていくのか。

そのあたりのニュアンスを改めて詳しく知りたい(動画では74代という言葉が出ているが編集の都合で唐突になっていた)と思った。

 

IWGPとは何か。

「IWGP」と言えば...プロレスファンにとっては池袋ウエストゲートパークを指すものではない。

「インターナショナルレスリンググランプリ」を指す。

そもそも、「IWGP」とはアントニオ猪木さんが「プロレス界における世界最強の男を決める」というテーマから生まれた構想である。

この構想を理解するためには、まず『NWA』という言葉も勉強しなければならない。

端折って書くので、詳細が知りたい方はググって欲しい。

「NWA」とは新日本プロレスの旗揚げ当時、世界最高峰のプロレス団体であり、最高の権威を持つと言われていた存在だった。

NWAに加盟することで、NWAの世界王者を招聘することができる。

あくまで伝わりやすいようにだけ例えると、IWGPに加盟した団体は『IWGPヘビー級』の選手権試合を自らの団体で開催できるようになる。

自団体のトップ選手と今で言えば飯伏幸太選手のタイトルマッチが組まれる。自分が日頃応援している団体のトップ選手が『IWGP』のトップと試合をする。当時はストリーミング配信などもない時代だ。その試合を見るためのチケットは...これ以上の説明は不要だろう。

このプランに目をつけた(正確にはNWAとのパイプがジャイアント馬場さんに握られていた)アントニオ猪木さんが新間寿さんともっと凄いものを作ってやろう!と構想したのが『IWGP』だったのだ。

※2017年9月30日をもってNWAは加盟団体制度を終了している(その後も形を変えてNWAは継続している)。

つまり、本来の『IWGP』とは全世界をツアーとして回りながら、世界最強の男を決めるというプランだった。各地のプロモーターから賛同を得られなかったため、当初のプランが立ち消えとなってしまった。

そこで新日本プロレスは『IWGPリーグ戦』を開催(当初は年に1回のリーグ戦だったのだ)。そこで生まれた有名なエピソードが猪木失神事件である。

 

破壊神であり、再生の立役者となるか

飯伏幸太選手はプロレスを広げると何度も何度も言い続けている。

おそらく彼の狙いは統一された『IWGP』の価値を持って、世界に打って出ること。AEWなど外の団体に所属している選手とのタイトルマッチを望んでいる。

これがプロレスを広げることにつながる、と。

神は従来の新日本プロレスの概念を壊す、破壊神でもあったのだ。

ただ、破壊の後にしか再生はない。色々な状況下で厳しい現実を打破するには、これくらいのビッグプランが必要だとも考えられる。

飯伏幸太選手の狙いは想像を遥かに超えて壮大だった。

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