飯伏幸太の「しょっぱかった」発言に王者の才を見る

飯伏幸太の「しょっぱかった」に王者の才を見た。

いよいよ本日、3月4日に新日本プロレスの旗揚げ記念興行が開催される。

2018年からの流れをそのままにメインイベントは「IWGPヘビー級チャンピオン」と「IWGPジュニアヘビー級チャンピオン」の一騎打ち。

ただ、例年と異なり、スペシャルシングルマッチではない。

「IWGPヘビー級&IWGPインターコンチネンタルW選手権試合」となっている。

2020年から続いた「二冠戦」の最終戦がこの2人の決着を持って幕を閉じる形となるのだ。

ヘビーの二冠王とジュニアの二冠王の直接対決であり、この試合の勝者が初の「IWGP世界ヘビー級王者」となる。

そういった状況を抜きにすると、エル・デスペラード選手と飯伏幸太選手の試合は、エモーショナル成分が強めになるはずだったと僕は思っている。

内藤哲也選手を倒した飯伏幸太選手が待つリングにならず者が現れたあの瞬間。

ギターと花束を抱えたエル・デスペラード選手が、新日本プロレスにはじめて姿を現した時まで時計の針が遡った。

あの時のリベンジ。ヘビーVSジュニアの代理戦争。色々なことが頭をよぎった中で、飯伏幸太選手はハッキリとこう言った。

飯伏「8年前だよ。覚えてないのかい?『俺はいつでもいいよ』って、いつも言ってるから。いつでもどこでも誰でも挑戦受けますよ(※拍手)。素晴らしいじゃないですか。今日、初戴冠して久しぶりにシングルマッチできるの、俺は覚えてるよ、あの時のことを。忘れないよ、しょっぱかったオマエのことを」

出典:新日本プロレス公式

この「しょっぱかった」という言葉が、この対決の意味を一気に変えた。ヘビーVSジュニアや二冠戦以上に飯伏幸太選手VSエル・デスペラード選手という意味に塗り替わったと僕は思っている。

 

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ブチ切れた瞬間

恐らくエル・デスペラード選手のファンはその瞬間にブチ切れたはず。「は!?ふざけんなよ!?」と瞬間湯沸かし器並みに感情が即沸騰したと思う。

僕もそうだ。一気に感情が動いた。

そして、この発言の上手さ(妙技)は、エル・デスペラード選手が否定できない点にある。

確かに今は違う。ただ、あの時は本当に「しょっぱかった」本人が認めてしまっている。

事実、バックステージでも「(その発言自体は事実)怒らない」と発していた。

ただ、それは理屈の面だ。

感情面は全然違う。実際のところムカついてしょうがないと思う。

立場が人を作る

飯伏幸太選手はジュニア時代から実績を残しまくっていた、いわばエリート。生まれはインディーズだとしても、今や事実上新日本プロレスのトップである(エースはやはり棚橋弘至選手しかいない)。

生え抜き云々の話はもういい加減にいいとしても、エル・デスペラード選手の遥か先を走り続けてきた。

ただ、ここで点と点が混じり合った。

今のエル・デスペラード選手に対して“対角線に立つレスラー”でこういったことを言えるレスラーは少ない。

KUSHIDA選手は海を渡り、獣神サンダー・ライガー選手は引退した。

ジュニア出身でジュニアのウエイトのま“本物の神”に転生した天才。

あの時のあの発言があったからこそ、ここまでエモーショナルではなく、ヒートさせられたと僕は思っている。

立場が人を作る。飯伏幸太選手が「IWGPヘビー級」のベルトを取って今日で2ヶ月。彼にとっては全てが変わっているに違いない。

 

 

失意と進撃の初対決

運命と因縁のメインイベントが控える旗揚げ記念日。

セミファイナルに絶対見逃せない試合が組まれていた。

内藤哲也選手VSグレート-O-カーン選手。

敢えて言おう。ここは番狂わせ(グレート-O-カーン的には当然)があると思う。

まず、内藤哲也選手は確実にモチベーションが下がっている。

プロレスラーは“超人”だが、人間だ。

絶対に勝たなければいけない試合で負けた。そのショックが数日で立ち直るかと言えばそんな簡単な話ではないと思う。

「IWGPヘビー級王座」を守りたかった。次のテーマがないまま「ニュージャパンカップ2021」を迎えてしまう。

ここに例え優勝したとしても...という考え方もある。

一方でグレート-O-カーン選手は違う。棚橋弘至選手に2連敗したものの、即座に開き直った。失うものは何もない。

もしも、内藤哲也選手を倒せば値千金の大金星。

“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”の総大将の首を取ったとあれば、今後の進軍に大きな弾みになる。

失意の内藤哲也選手か。それとも進撃のグレート-O-カーン選手か。

メインイベントの前から目が離せない対決となるのは間違いない。

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