高橋ヒロムが引き出したYOHの“現在型ベビーフェイス性”

高橋ヒロムが引き出したYOHの“現在型ベビーフェイス”性について書きたい。

「届かなかった」

「超えられなかった」

「もう一歩、あと半歩の差だった」

悔しさに顔を歪め、試合後に涙を流す。この経験が

野上慎平アナウンサーは「カッコ良くないところがカッコいい」と今日のYOH選手について表現した。

飄々として、クールで器用でオシャレ。性別に関係なく、カッコいい人の対象になるキャラクター性を持つYOH選手だが、その枠組みに限界が来ていた。

本当にカッコいいって何ですか。

永遠とも言えるテーマが「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア28」優勝決定戦に詰まっていた。

高橋ヒロム選手は言う。

「YOH、気持ちを出すことがカッコ悪いこと、そう思ってるなら、間違いだぜ。人間は気持ちを表に出して輝くんだ。輝けるんだ」

実際は気持ちを出すことと気持ちを表現することは違う。

僕は気持ちを表現することの根底に「気持ちを出す」ことがあると思っている。

本来はヤングライオン時代に身に付けることでもあるのだが、“イケメンヤングライオン”として活躍していたYOH選手は、気持ちを出すから気持ちを表現する日々を過ごすことの方が多かったのだろう。

高橋ヒロム選手が向き合い、YOH選手の本当の姿が引きずり出された。

そこで出てきたものは、圧倒的なベビーフェイス性だった。

なぜ、YOH選手がベビーフェイスでSHO選手がヒールだったのか。

その答えが優勝決定戦にあった。

 

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ギリギリまで追い詰めたれた時

今回の試合は過保護とも言えるほどに高橋ヒロム選手がYOH選手を引き出そうとしていた。

極論、勝敗以上に新しいライバルの誕生を意識していたように思う。

徹底的に追い詰める。まずは痛み。凱旋帰国時に高橋ヒロム選手とYOH選手が試合をした時にも同じようなことがあった。

逆水平チョップで胸を打ち続ける。白い肌と真っ白なコスチュームが真っ赤に染まる胸をさらに引立たせる。

言葉でも攻める。何度も声を荒げながら、YOH選手を煽る。

「気持ちを見せるんだろ!」

全てはYOH選手の中に眠る才能を引き出すこと。次のシリーズ以降で自分のライバルとなる人物を作るべく、試合を通じて向き合い続けた。

そうして目を覚ましたのが、YOH選手の本当の魅力だった。

滅びの美学。

YOH選手は「受け」が似合うのだ。

“ロッポンギ3K”解散直前、SHO選手が攻め、YOH選手が受けと役割が分かりやすくなっていた。

当時はシングル戦線でもパワーと機動力を武器に戦うSHO選手を引立たせるものかと思っていたが、実態は違った。

YOH選手は「受け」がハマるレスラーなのだ。

普段クールな彼の顔が苦痛に歪む度、「頑張れ!」と思わず言葉が出る。

ただ単にボコボコにされているだけでは、お客はあそこまでヒートアップしない。

YOH選手の「受け」にファンが痺れたのだ。

高橋ヒロム選手の技を何発食らっても立ち上がり、勝利を掴もうとする姿勢と「ダメージを受ければ受けるほど蒼く光る眼」に魅了されたのである。

SHO選手の乱入騒動後、本当のYOH選手が現れた。

高橋ヒロム選手のTIME BOMB、Dの悪夢、そしてTIME BOMBⅡを受けたことで、何かが弾けた。

新日本プロレスに現代型ベビーフェイスが生まれた瞬間だった。

 

高橋ヒロムからの言葉

現代型のベビーフェイスとは何か。

昭和、平成、令和と時代が移り変わるにつれて、求められるキャラクター像も変化している。

熱血漢で元気いっぱい。真っ直ぐで素直。

熱い男がギリギリまで追い詰められて、大逆転するカタルシスがそこにはあった。

現代型はこうだ。

何を考えているのか分からないレスラーが発する生の感情。追い詰められなければ見れない世界。

クールな男がスマートに勝つのではなく、クールな男が泥臭く勝つ。腕のサポーターがずれてシワシワになってるのなんてカッコいいわけがない。

真っ白のコスチュームが汚れていく様子なんて、美しいわけがない。

なのに、ただただYOH選手がかっこよく、美しく見えた。

日常生活では絶対に見れないモノを見ているような感覚。美しいモノが壊れていく。狂気的で刹那的なカタルシス。

これこそがYOH選手が秘めていた最大の魅力だったのだ。

YOH選手はヒールではなく、ベビーフェイスだった。そのことが改めてハッキリと分かった試合となった。

──この大会中、「ジュニアは俺やデスペラードだけじゃない」ということで戦い続けてきたと思いますが、改めて今日のYOH選手はどう感じましたか?
ヒロム「みんな見た通りだよ。俺の知ってるYOHじゃなかった。初日で当たったYOHとは別人かな? あれだけできるんだよ。あれだけ気持ちを出せるんだ。YOH、気持ちを出すことがカッコ悪いこと、そう思ってるなら、間違いだぜ。人間は気持ちを表に出して輝くんだ。輝けるんだ。恥ずかしいこと? そんなのは、言ってれば、吐き出してれば、カッコよくなるんだよ。いつの間にか、心がスッキリするんだ。恥ずかしいことほどカッコいいんだ。俺はそういう人間、そういうプロレスが大好きだ。YOH、俺は今日のオマエのプロレス、大好きだぜ」
──改めて、この大会を通じて、新日ジュニアがレベルアップしていく、世界にアピールしていくということは、達成されたと思いますか?
ヒロム「俺は元から世界一だと思ってる。新日本プロレスのジュニアは、“世界トップクラス”じゃなく、世界一だと思ってる。でも、それを証明することって、残念ながらできないんだよ。たぶん、全団体の全人間が、『俺の団体が世界一だ』と思って、誇りを持ってやってるから、それを証明なんてできないんだ。今日勝ちました、明日負けました、明後日勝ちました、しあさって負けました。そんなことの繰り返し。ずっと勝ち続けるっていう、それができるなら、証明できるかもしれないけどね。なかなかそういうこともできないから。でも俺は自信を持って世界一だと思ってるし、世界一だと思ってるから、俺はこの新日本プロレスにいる。
この『BEST OF THE SUPER Jr』が始まる前、さんざんいろいろあったよ。ドームの問題、オスプレイの2冠。1・8のノアの問題。いろいろ話題があった。でも、今となってはそんなこと、ホントにどうだっていい。このジュニアが面白かった。ジュニアが楽しかった。全てのお客さんが楽しんでる。俺はそう感じた。ただ一人、SHOだけは違ったのかな。でもアレがアイツのやり方なんだろ。俺じゃねぇ。そいつを止めるのは、元友達のYOHだと思ってる。俺には関係ない。

いろいろあったけど、『BEST OF THE SUPER Jr.』が楽しかった。『WORLD TAG LEAGUE』が楽しかった。それが全て。次は東京ドーム。ひとつずつ、進んでいこうぜ。
自信を持って言う。新日ジュニアは最高だ。新日本プロレスは最高だ。みんな、見続けろ!

出典:新日本プロレス

もう1人の功労者、野上慎平

自宅でのプロレス観戦は実況者によって変わる。やはり野上慎平アナウンサーはレベルが違った。

高橋ヒロム選手とYOH選手の試合が(僕の中で年間)ベストバウトとなったのは、野上慎平アナウンサーの力も大きい。

これは明日しっかりと書くのでお楽しみに。

 

仲間たちからの声

最後にジュニアの仲間たちからの声をピックアップして終わりにしたい。

最高の試合をした勢いのまま普段YOH選手とぶつかることになったYOH選手。

現在は一勝一敗のイーブン。ここで完全決着をつけて、最高の2022年シーズンを走って欲しいと願う。

★2021年12月17日新着記事★

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