新日本プロレスのクラウドファンディングについて
新日本プロレスのクラウドファンディングについて書く。
やっぱりこうなってしまった。クラウドファンディングは一般発売と違い、支援してくださる方へ適切な情報発信をしなければならない。
2022年2月25日の6時半時点で200万円弱。過去にクラウドファンディングを経験した身としては、ある程度の達成金額が1日目終了時点で予想できる。このままのペースでは500万円〜700万円で支援期間は終了するだろう。
敢えて書く。テコ入れしないと目標金額到達はかなり厳しい、と。
新日本プロレスが「シンニチイズム」のクラウドファンディングを開催すると聞いて、「むむ?」と嫌な予感が走った。
いや、クラウドファンディングが悪いという訳ではない。そもそも今の新日本プロレスはもっと早いタイミングでクラウドファンディングを実施すべきだと思っていた。
ただ、クラウドファンディングには相性がある。
クラウドファンディングを数回経験している身からすると、あれは事前準備(情報解禁やコンセプト設計)とスタートダッシュ、ラストスパートがものを言う。
いや、正確には準備と開催日の盛り上がりが最も重要かもしれない。
その点を新日本プロレスはどう考えているのだろうか、と。
クラウドファンディングはキチンと丁寧に設計して実施して、はじめて目標金額を達成できる。
今回の情報解禁から開催スタート、宣伝施策を見ているとあまりにもったいないと感じたので、クラウドファンディングの戦い方についてここに書き残しておく。
【本日開始】
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) 2022年2月24日
レスラーからの提言。そして何よりファンの皆様の多大なご支持・・・
その感謝の想いと新日本プロレスの全てを凝縮した “シンニチイズム”を日本全国にお届けするため、クラウドファンディングを開始致します。
詳細はこちらhttps://t.co/Nmy3ioY1OE#シンニチイズム全国展開 #njpw50th pic.twitter.com/ooCm58Tg2D
テーマ作りと空気作り
まずは、テーマ作りから。「シンニチイズム」の全国展開...。いや、この時点であまりいい企画だとは正直言って言えない。
なぜならば、恐らく「シンニチイズム」開催時点からクラウドファンディングの実施は視野に入っていたはず。関係各所を巻き込んで開催するので、数ヶ月前からプロジェクトは走りはじめる。
やるんだったら「シンニチイズム」の開催記念したをクラウドファンディングをやるべきだったと僕は思う。支援を募る理由は以下。
- 全国各地で展開し、日本中のファンで50周年を盛り上げたい
現在の新日本プロレスがプロレス人気と同等にプロレスラー人気に支えられている。つまり、新日本プロレスではなくレスラーの稼働をどれだけ実施できるかが肝なのだ。
特にグッズ売上の上位5選手。彼らの言葉やメッセージがモノを言うのである。
クラウドファンディングの開催をリツイートしてるくらいではファンはお金を出さない。気持ちの入ってない告知で財布の紐が緩むことはないのだ。
後はタイミングの問題。
正直、既に開催されて現地に行った方からすると支援する気はそんなに起きないだろう。理由は「もう満足した」ためだ。
現地で展示も見たし、グッズも買った。この状況でもう一度、全国展開のために「お金出してね?」と言われても乗り気になれない。ただ、開催前であれば色々とやりようはあった。まずはここがネック。
※本当に急遽クラウドファンディングを開催したのであればそれもそれでNG。準備不足はクラウドファンディングにとってもっともネガティブな要素となるためだ。
情報解禁の大切さ
これは多くの企業がやりがちだ。
クラウドファンディング開催発表から支援開始までのスケジュールが甘すぎる。
今回、新日本プロレスは前日にTwitterで予告し、翌日に詳細を発表すると告知した。
そして、翌日の発表と同時に17時から支援がスタートした。※17時という時間も微妙。
僕からすると結構ダメなケース。クラウドファンディングの担当者はこうならないように関係各位を調整しなければならない。
まず、最低でもクラウドファンディングの発表から支援開始日までは一週間はバッファを持たなければいけない。理由はこんな感じ。
- 1日では情報が届ききらない
- いろいろなことを想像する(贅沢な)時間がないためファンが乗れない
- 急な出費に対して心の準備ができない
情報解禁日を2022年2月23日に置いた場合、僕であれば最低でも2月28日の19時あるいは20時にクラウドファンディングを開始する。
どんな想いでこのプロジェクトを実施するのか。各レスラー、関係者からのコメントをYouTubeやTwitterなどで連日投稿。
また、YouTubeチャンネルを持っている高橋ヒロム選手、矢野通選手、真壁刀義選手は告知協力マスト。開催日までに徹底的に盛り上がっている空気を作る。
また、クラウドファンディング開催日の夜には、棚橋弘至選手を中心にクラウドファンディングへの気持ちを改めて伝えるライブ配信を実施する。
クラウドファンディングは、ファンへ想い出を届けるという意味合いもある。あなたのおかげでこのプロジェクトは実施されるのだと感謝の気持ちをキチンと伝える必要があるのだ。それができて初めて支援していただけるのだ。
どうやって巻き返すか
新日本プロレスはここから達成を目指すために、クラウドファンディングのテコ入れをしなくてはならない。クラウドファンディングは諸刃の剣。達成しなければネガティブなイメージがついてしまう。
まずは返礼品。
一番低価格のリターンが5000円は高い。まずそこから変えなくてはならない。
担当者の方は原価計算よりも先に、ユーザーの目線に立ってみて欲しい。
5000円は高い。めちゃくちゃ高い。5000円はハードルめちゃ高い。
5000円を一人に支援していただくよりも、2980円を二人(合計金額では6000円になるのだが)の方がハードルが低いと思えるほどに5000円は高い。まず、そこを理解して欲しい。
手元に残るのはクリアファイルと社長からの動画のみ。これで5000円は普通に考えて高い。
なのでまずは、2980年で新日本プロレスからの感謝状を追加(社長から感謝のメッセージでは企画が弱い。ブランディングしたいのかもしれないがここじゃない。大張社長にはブログが向いている。絶対にだ。人気出したいならそこを早急にやるべきだ)。
感謝状のデザインはちゃんとした賞状で。新日本プロレス50周年を盛り上げる企画に参加してくれたことを讃える賞状。これは飾りたくなるだろう。
次に50周年ということで復刻モデルのTシャツを大量出品する(例えば、友情タッグTシャツが復刻販売されたら絶対買うわ)。
ノスタルジックな気持ちを保存できるもの。クラウドファンディングに支援するのはモノを買うためではなく、想い出を買うためでもあるのだ。
事前にここまでやっていたら、恐らく当日で1000万円は集められた自信がある。
開催時間を19〜20時としたのも“数量限定の返礼品を仕事が理由で買い逃す方が出ないようにするため”だ。
17時は普通に皆さん仕事中だろう。それで買い逃しましたってテンション下がるじゃないか。
スケジュールが甘いのをプロレス的に例えるのであれば、前哨戦なしでタイトルマッチを行うようなものだ。機運を高める時間が絶対的に大切なのである。
また、この一文も中々ユーザー目線で見るとエグい。
リターンにつきましては制限個数の追加、新たなコースの追加の可能性がございます。また、既にご支援いただいたコースから別のコースに変更することはできませんので、ご了承ください。
これは、いつ支援すればいいのか分からなくなるためだ。
いろいろな制約など知らないので好き勝手に書いたが、次回以降新日本プロレスがクラウドファンディングを実施する時はこういったことを参考にして欲しい。
ちなみに“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”の自主興行クラウドファンディングを開催するのであれば1億は余裕でいくと思う。
最後に。
明日、「シンニチイズム」に行ってきます。楽しみです。クラウドファンディングの達成も心より応援しています。
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