「RIZIN.28」朝倉未来の煽りVTRで思ったこと
2021年6月13日に開催された「RIZIN.28」。
その中でマッチメークされている「那須川天心VS3人スペシャルマッチが話題を呼んだ。
この日の東京ドームは元々は那須川天心選手と武尊選手の一戦が想定されていたらしい。
ただ、アクシデントもあり試合が流れた結果、なんともプロレス的な展開になっている。
那須川天心選手が3人の選手と1人3分ずつ戦う変則ルール。3人目となるXは当日発表。
まさに平成のプロレス的な要素が詰まったマッチマークに少し興味が湧いたので調べてみることにした。
まず、1人目の相手となるのは大崎孔稀選手。30戦24勝の実績を持つキックボクサーだ。身長は165センチ、体重は53キロ。
続く2人目はHIROYA選手。WMFアマチュアムエタイ世界選手権ジュニア部門ピン級金メダリスト。身長は168センチ、体重は65キロ。
那須川天心選手とHOROYA選手は身長こそ3センチ差だが、ウエイト的には10キロ以上の違いがある。
実際の試合を見た。3VS1というのはそもそもで全くフェアな戦いではない。
それでもこういった試合を戦うのは、格闘技の楽しさ、素晴らしさを多くの人々に届けたいという気持ちの現れだろう。実際、プロレス的に当日発表のXを持ってきたりなど、エンターテイメント性の高い試合として注目を集めていた。
僕が一番心に引っかかったのはこの後だ。
朝倉未来選手。正確には彼ではなく、煽りVTRを見て、時代は変わっているのだろうなと思った。
練習は1日1時間
煽りVTRで朝倉未来選手はこう説明された。
- 練習は1日1時間
- 他の時間はYouTubeの撮影とビジネス
- 30歳で引退して、ビジネスを手掛けたい
僕は人の価値観や信念、目指しているものに対して意見を言える立場ではないし、この魅せ方についても否定的な立場という訳でもない。
今から15年前。サッカー日本代表の中田英寿選手が30歳の若さで現役を引退した。
確実にまだプレイヤーとしての寿命はあったはず。それでも彼はサッカーを辞めて、世界中を回る旅人となった。
その選択を「まだできるのに勿体ない」と思うのも「サッカー以外の人生を謳歌して欲しい」と応援するのも個人の自由だ。
恐らくだが、朝倉未来選手は思春期の時に中田英寿選手の引退を目の当たりにしている(テレビを見ない、興味がないなどの可能性はある)はず。
自分が活躍できるステージを見つけて、大金と大金以上に価値のある「人気」を掴み、次のステージへと進む。
人生とは旅である。
その過程の中の一つに格闘技がある。そんなメッセージが込められた煽りVTRであるように感じた。
競技であること
少し想像してみた。
未来の「IWGP世界ヘビー級王者」が28歳、練習は一日1時間、YouTube撮影とビジネスをやっていると煽りVTRで流れたとする。
僕はそのレスラーを応援するだろうか。
それとも対戦相手に「頑張れ!」と熱視線を送るのだろうか。
現役選手にとっても最もセンシティブな話題である引退。それを敢えてライトに使っていた朝倉未来選手の煽りVTRを見て色々考えさせられた。
20年前。プロレスラーがキャリアを懸けて一世一代の勝負を行なった異種格闘技の時代から総合格闘技という競技は生まれた。
あの頃に存在した“何か”。あの何かをもう一度体験するには“何が”必要なのだろうか。
最後に。
タップしなかったことを「心が強い」と言った解説席だけは現代的ではないのでいかががなものかと思う。
あれを聞いた子どもたちがタップをしないことを美徳だと思ったら問題だ。この点だけは解説席からも否定の声が出てほしかったと思う。
命や後遺症など危険と隣り合わせで選手はリングに上がっている。
タップは己を守るための防衛手段だ。それをしないことが美徳になってはならないと思う。
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