新日本プロレス メイ社長コラムの感想。僕が海外戦略を応援する理由

新日本プロレス株式会社CEO ハロルド・ジョージ・メイ氏は社長就任後、定期的にコラムを配信している。

初投稿は、2018年6月12日。11月12日の更新で26回を迎えたということは、月に約4本のペース、毎週1本のコラムを書き下ろしていることになる。

一般的な企業のCEO職のコラムとしてはかなり多い。いや、僕の所感だが無料のコラムをこのペースで書き下ろし、ファンにメッセージを届けているCEOは他で見当たらない(僕の情報収集の中では)。

つまり、僕の中で日本一自分の声で会社について語り続けている社長はメイ社長なのだ。

これまでも様々なメッセージを届けてきた中で、今回の更新分についてはある種の使命感を感じた。

今回は、メイ社長コラム『ハロルドの部屋』 第26回を読んだ感想について書いていきたい。

 

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メイ社長への期待

ブシロード木谷オーナーがメイ社長を招集した理由は明白だ。V字回復を遂げたものの、日本国内での売上(利益)について頭打ちになる日が近い。正確に言えば、プロレス興行会社としての売上に限界があるということだ。

多くの会場が満員近い状態で、チケット売上を向上させるのは値上げしか選択肢はない。ただし、チケット代を上げてしまうとグッズの売上に影響が出る可能性がある。1人あたりのファンの資源は無限ではないのだ。

 

ブームを敢えて作らない

爆発的にファンが増えるエンタメは稀だ。一方でひとたびブームとして取り上げられれば、一瞬で去ってしまう可能性すらある。

ブームを一過性で終わらせないために必要なのは、継続的な固定ファンを掴むことだろう。

一例として、プロ野球の観客動員数は1980年以降、安定的な右肩上がりを続けてきた。

一度文化として根付いてしまえば、「カープ女子」などのブームが到来しても怖くはない。ブームをキッカケに新規ファンの枠を獲得し、定着させればいいのだ。

新日本プロレスの課題

ただし、新日本プロレスは暗黒期という時期があった。そして、プロレスはあくまでも日本国内ではマイノリティに位置している。

新日本プロレスとしては限られたリソースを3軸に注ぐ必要がある。

  1. 海外戦略
  2. 日本の新規ファン開拓
  3. 日本の既存ファン満足度向上

ちなみに僕が思うリソースを注ぐ順番で並べてみた。

海外戦略は今後の売上を伸ばす上で、最重要なミッションである。そして、この難問を成し遂げるためにメイ社長は招集された。この話は後ほど行いたい。

大々的なSP広告が起こる日

次に日本国内での新規ファン開拓。最近は新日本プロレスのSP広告(交通広告)を見る機会が減った。一方で棚橋弘至選手、オカダ・カズチカ選手、内藤哲也選手が地上波のドキュメンタリー番組に出演するなど、違ったメディア戦略を取っている。

SP広告はWeb広告と異なり、効果測定ができない。費用対効果で考えると投資効果は高いとは言えない。

だが、ブランディングという意味になると大きく意味が変わってくる。

少し話しは逸れるが僕は数日前までジャニーズの新人アーティスト『SixTONES』のことを知らなかった。

ジャニーズ事務所のWeb戦略を担っているユニットに位置しているが、僕には届いていなかったのだ。僕はSP広告で彼等の存在を知った。

少なくともユニット名は覚えたのだ。

つまり、新日本プロレスがこれから行うSP広告はブランディングの要素が強くなっていくと思う。

G1クライマックスやイッテンヨンの告知で広告を出稿するのはチケットの売れ行き的には勿体ない。

大々的なブランディング露出を図りたいタイミングでSP広告が登場すると思う。

 

既存ファンへの投資

そして、既存ファンへの投資だがこちらの予算は控えめになる。

どちらかと言えば、いい興行を開催することが既存ファンへの最大の投資だと言えるのかもしれない。

ちなみにメイ社長が海外戦略を成し遂げるため、最もデリケートに考えているのは既存ファンの対応だ。

改めてメイ社長について考えてみよう。

現場でファンと対面する。コラムを書き、トップメッセージを届ける。これは全て既存のファン向けに行なっているアクションだ。

慎重に動く理由は1つしかない。辛辣な意見になるが、海外戦略が失敗した時の保険である。

日本企業が海外戦略で失敗、撤退を余儀なくされた事例はこれまでにも数多くある。

現地法人の人事や市況間。複雑な事情が絡むビジネスの世界では全てがいい結果に終わるはずもない。

そこで大切にしなければならないのは、コアユーザーの囲い込みである。

コアユーザーがいることで、海外戦略という投資の原資が生まれ、失敗した時にも戻ってくることができる。

保険という例えは正しくないかもしれない。メイ社長も保険のつもりで動いているわけではないと思う。

コアユーザーを大切にしつつ、新しいマーケットに飛び込む。この両立を迫られているのが現在の新日本プロレスなのだ。

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海外戦略について僕の所感

メイ社長は今回のコラムで以下のように語っている。 

選手それぞれに考えや性格の違いがありますし、立場やライフステージによってフォーカスするポイントが変化してゆくこともあります。選手の負傷により直前で予定変更を余儀なくされることもあります。皆さまの理解を求めるため説明や釈明をしたくてもできない事情もたくさんあります。プロレスというものの性質上、全てを詳細に説明するのが野暮な部分もあります。
ただ会社は「海外進出」だけに気を取られ夢中になっているわけではなく、また私は「海外」のためだけにこの仕事に就いたわけでもなく「国内」のことも24時間、寝ている間もずっと考え続けています。

社長に就任した私が外国人であることが原因で、必要以上に解説などで「海外」「外国人」が強調されてしまった部分もあるかと思いますが、就任直後の最初のコラムで「新日本プロレスの良さは変えません」とお伝えした思いは、今も何一つ変わっていません。
毎週毎週、批判や中傷、反論が巻き起こる可能性も覚悟の上で、自分の生の言葉で日本語のコラムを書き続け(英語版はありません)、皆さまに率直な思いを伝えようとしているのも、時間が許す限り会場に立って皆さまにお会いしているのも、私がお膝元である国内を大切に思っているからです。私が外国人か何人なのかということは関係なく、命がけでこの団体を守ろうとしている一人の人間なのだということをご理解いただくには、もっと私の努力と時間が必要なのかもしれません。

出典:新日本プロレス 

決して安くないフィーで契約を結んでいるメイ社長としては結果を残さなければならない。ただし、ファンから愛される新日本プロレスの社長だけでは意味がないのである。

海外戦略を成功できる敏腕経営者として選ばれた自分。自分を、会社を客観視した時にファン離れを起こさないための施策。その全てに目を光らせなくてはならない。

ファンから喜ばれる挑戦をしなければならないのだ。

例えば、マディソン・スクエア・ガーデンでのROHとの合同興行。世界で最も有名なアリーナに新日本プロレスのブランドで所属レスラーが試合をする。この名誉を名誉だと伝えることが大切なのだと思う。

なぜならば、海外の会場はいいから後楽園ホールで試合を見せて欲しいと思うのがコアファンの考え方でもあるためだ。

 

メイ社長は名社長

経営者としての名社長の立ち居振る舞いは見ていて感銘を受ける。できれば一度取材をしてみたい。できることなら部下として働いてみたいと思うほどに。

ちなみにコラムでは新日本プロレスの採用情報を掲載することをお勧めしたい。

現在のオープンポジションは動画関連の2職種。人材エージェントにフィーを支払うのであれば、コラムでの告知経由で応募導線を作った方がいいと感じた。

今回、「国内か海外か」というタイトルでコラムは公開された。2018年の新日本プロレスはリング内外で様々な出来事があった。そして、ファンが懐疑的に見ているのは、海外戦略で変わっていく新日本プロレスという点だろう。

僕は正直、何一つ不安に感じていないし、もっと良くなると思っている。

海外戦略が成功すれば、は新日本プロレスという最高のコンテンツがより世の中で普及していくということにつながる。

海外の試合の盛り上がりは『新日本プロレスワールド』で観戦しても十分に面白い。そして、会場で観戦するブランド価値も上がっていくと思う。

停滞はマイナスを意味する。現状維持は中長期的に見ると、業績悪化にしかつながらないのだ。

だからこそ、新日本プロレスには前を向いてガンガン進んで欲しい。2019年のイッテンヨンは現時点で正式な発表は行われていないが、石井智宏選手とザック・セイバーJr.選手の『ブリティッシュヘビー級選手権試合』が組まれる可能性が高い。

これはアメリカだけでなく、イギリスにも新日本プロレスを届けるということだ。

僕は海外でビジネスをしたことがない。海外に住んだこともない。そんな人間が海外戦略を語るのもかなりおこがましい話になるとは思う。ただし、応援はできる。プロレスはBtoCモデルなのだ、多少なりともお金を落とすこともできる。

できることは、新日本プロレスの挑戦を応援することだけだ。だって、新日本プロレスから元気をもらっているのは事実だからだ。

海外戦略という事業の発展はあっても、新日本プロレスのホームはあくまでも日本。メイ社長ならばこのスタンスを崩すことはないだろう。

 

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