タッグチームにおけるストーリーの重要性

新日本プロレス冬の祭典『ワールドタッグリーグ』が開催して、数日が過ぎた。

『ロス・インゴブレナブレス・デハポン』内藤哲也選手が開幕2日目に言い放った「イッテンヨン『レッスルキングダム』が決定していない余りもの」という言葉は言いえて妙である。

事実、東京ドームへの切符を掴んだ選手は全員が不参加。ファンの期待値と大会の打ち出しにギャップが生じていた、開幕前までは。

いざ、各地での興行が始まってみればベストバウトが連発。「余りものの大会」ではなく、「冬のサバイバルゲーム」の幕が開けたと言っても過言ではないだろう。

ただ、今回エントリーしている選手たちを見たときに新日本プロレス“箱推し”の僕ですら、応援に熱が入りやすいタッグチームと、もう少し手に汗を握るくらい夢中になりたいチームがあった。

今回、僕が語りたいのはタッグチームにおけるストーリーの重要性についてだ。

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ストーリーが有り余るチーム

人は物語に共感する生き物である。そして、ストーリーは誰しもが持っているものでもある。

ただし、それが適切に届いていなければ支持を得ることは難しい。

ストーリーという意味で最も支持率を高めたのは『ワールドタッグリーグ2018』には出場していないケニー・オメガ選手、飯伏幸太選手の『ゴールデン☆ラヴァーズ』だろう。

その物語はここに書くだけで、3記事以上は紡いでしまうほどの大ボリュームとなる。

インディーレスラーとして進退に迷っていたケニー・オメガ青年は1人のレスラーの姿を動画で見つけた。「その男と試合をしてみたい」この一心で彼が所属していた団体にコンタクトを取り、対戦カードを実現させた。

その動画で見つけた選手こそが、当時DDTの飯伏幸太選手である。

ライバルとしてパートナーとして。それからの2人は苦楽を共にし、2014年頃に袂を分かった。それから4年。ワールドカップ、オリンピック一回分の期間を経て2人は“再会”した。

そのエピソードは大きな支持と熱狂を生んだ。これは紛れも無い事実である。

たがらこそ思うわけだ。タッグチームには物語が必要だと。

 

ワールドタッグリーグ2018出場チームをおさらい

  • 真壁刀義選手&トーア・ヘナーレ選手 

GBHとしてのエントリーが出来なかったことで生まれたタッグチーム。また、自身のデビュー20周年興行で負傷し、戦線を離脱したヘナーレ選手への思いやりも汲み取れるなど、真壁刀義選手の温かな人間性が印象的なチームだ。

  • 天山広吉選手&小島聡選手

もはや説明も不要だろう。『IWGPタッグベルト』の最多戴冠記録を持つ天下御免の“テンコジ”だ。

それは、新日本プロレスYouTubeチャンネルの再生数でも高順位をマークしていることでも証明されている。

www.youtube.com

伝説の“友情タッグ”が解散したことで生まれた因縁の一戦。GBHに蹂躙される天山広吉選手の救出に入ったのは、全日本プロレスに移籍した後にフリーとなった小島聡選手だった。

友だちは居ても仲間はいない。

ただし、真の友情タッグは存在するのだ。個人的には小島聡選手がタッチする時に叫ぶ「天山!!!!!」と天山広吉選手の「ええんかコジ?」が堪らなく好きだ。※リング外では小島選手が敬語を使っている点も高感度大。

  • 永田裕志選手&中西学選手

第3世代のアマレスコンビ。永田裕志選手がリングの中と外で呼び方が違う点にも注目(リング内・中西。リング外・先輩or中西さん)。中西ランドでも絡みが多く、第三世代の魅力はリングの中だけに留まらない。勿論、合体技の「イーストゴールド」(東金)にも期待大だ。

この2人はレスリングの強化選手として、もともと面識があったらしく付き合いは30年以上となっている。絆の深さは折り紙付きだ。

  • 海野翔太選手&吉田綾斗選手

次世代を担う新日本プロレスのライバルタッグチーム。敢えてここで2人が組んだことにより生まれる化学反応はジャイアント・キリングを生み出すのか。期待したい。

 この2選手についてはたっぷりと以下の記事で言及しているので、こちらをチェックいただきたい。

www.njpwfun.com

 

  • 石井智宏選手&矢野通選手

CHAOSにが誇る名タッグチームについては説明するのも野暮な話だろう。“名勝負製造機”石井智宏選手と“崇高なる大御泥棒”矢野通選手。『IWGPタッグベルト』も戴冠した実力派タッグチームである。

どんな相手でも自分たちの試合を展開する。唯一無二の輝きを持った2人だからこそ実現できる試合が繰り広げられるのだ。最高の試合を展開するこの2人のストーリーはGBHから始まり、CHAOSへと続いている。最強の技巧派タッグチームの称号が相応しいのはこの2人なのかもしれない。

  • ハングマン・ペイジ&高橋裕二郎

2016年から継続している好タッグチーム。ストーリーという意味ではもう一押しという感じがある中で、トップ戦線への返り咲きを期待される高橋裕二郎選手とG1クライマックス28に出場を果たしたハングマン・ペイジ選手ということで、注目度は抜群だ。

合体技のドミネイトもインパクトが強く、優勝決定戦に駒を進めて欲しいという期待も高い。

www.njpwfun.com

 

 

  • タマ・トンガ選手&タンガ・ロア選手

新生『バレットクラブ』の最強タッグチーム。現『IWGPタッグ王座』にも輝いている実力派である。兄弟の息のあったコンビネーション。高い身体能力。これまで影に隠れていた実力者がいよいよ日の目を浴びた形となった。

  • 鈴木みのる選手&飯塚高史選手

“プロレス王”と“怨念坊主”という一見、異色な組み合わせに見えて、高いレベルでのコンビネーションを実現している実力者派タッグチームだ。

関節技と噛みつき攻撃という身体を鍛えてあても限界のある攻撃を得意とする2人である。

元々魔性のスリーパーと称されていた飯塚高史選手だけに何かが起こった時が怖い2人でもある。

  • タイチ選手&ザック・セイバーJr.選手

“剛と柔”。この2つが組み合わさった好タッグチームだ。だが、タイチ選手がザック・セイバーJr.選手に仕込んでいるのは塩の巻き方や四股など相撲ファイトばかりである。

www.njpwfun.com

 

  • ランス・アーチャー選手&デイビーボーイ・スミスJr.選手

現在、新日本プロレスに参戦しているタッグチームで最強であり最恐なのがこのペアだと僕は思っている。

圧倒的な実力。にも関わらず、新日本プロレスでは日の目を浴びていない。

『ワールドタッグリーグ2018』ではボスである鈴木みのる選手を破るなど、その潜在能力とリング上での躍動は比類ない存在になっていると言っても過言ではない。目指すは優勝。このふた文字だけだろう。

  • EVIL選手&SANADA選手

『ワールドタッグリーグ2018』の優勝ペアであり、今大会でも優勝候補として挙げられている“制御不能”な名タッグチーム。EVIL選手のパワーとSANADA選手のテクニック。それぞれの個性が調和しつつ生まれる好試合は、圧倒的な支持率を誇っている。現在『ワールドタッグリーグ2018』でも負けなしという、前覇者として連覇を狙う姿勢が注目を集めている。

プロレスラー選手名鑑2019 (週刊プロレス2018年12月9日号増刊)

プロレスラー選手名鑑2019 (週刊プロレス2018年12月9日号増刊)

 
  • マイケル・エルガン選手&ジェフ・コブ選手

タイトルからここまでの物語の重要性を説いてきたが、そんなものはある意味で関係ないということを証明したのが、このタッグチームだ。華・会場人気。そんなものは筋肉の前では余りに無力。徹底的な強さこそ正義。こうしたタッグチームも魅力的である。

  • バレッタ選手&チャッキー・T選手

今回の本題である。“ベストフレンズ”。とてもいい響きの言葉ではあるし、2人の仲の良さは伝わってくる。だが、届いてこないのだ。

試合中にもハグするパフォーマンスはあるが、何か観客は置いてきぼり。2人とも力がある選手だけに、もう一歩何かが欲しいと思うわけだ。

ストーリーテーラー

オカダ・カズチカ選手にとってかっての外道選手。ザック・セイバーJr.選手にとってのTAKAみちのく選手。選手の思いを代弁するスポークスマンの価値は非常に高い。

ロッポンギヴァイス解散後、ヘビー級に転向したバレッタ選手。タイチ選手と全く同じ状況であるが、支持率という意味では大きく溝を開けられている結果になっているように思う。

ここには大きな壁として、言語の違いがある。マイクで共感性を掴む。このアクションが“ガイジンレスラー”にとって、ハードルが高いのだ。※日本人選手が海外でマイクパフォーマンスが難しいように。

個人的な意見だが、“ベストフレンズ”にはスポークスマンが必要だと思う。2人に物語がないわけではない。試合は当然のように面白い。魅力は十分にある。

それだけに伝えきれていない。広がっていない現状が勿体なく思うのだ。

物語の価値

『ワールドタッグリーグ2018』ついてはこちらのランキングに入っている人気ブログでも言及されているので、ぜひチェックいただきたいところだ。 

プロレスラーに限らず、どんな人でもストーリーを持っている。ただし、それが伝わっているかについては別の話だ。

広がったストーリーのアドバンテージは大きい。これは、『ゴールデン☆ラヴァーズ』を見れば分かりやすいと思う。

2人のストーリーは2018年の新日本プロレスの中軸に存在したのだから。

ベストフレンズがベストフレンズと足りえる背景を知りたい。これが今の僕の欲求であり、ここから人気が爆発するキッカケになると思う。

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