ジェイ・ホワイト選手のReal RnR 2.0宣言とバウンサーの献身

『ワールドタッグリーグ2018』が中盤戦に差し掛かった、新日本プロレスが行った11月29日の後楽園ホール大会は伝説の一夜となった。

オカダ・カズチカ選手と棚橋弘至選手の越境タッグのみならず、天山広吉選手のムーンサルトや飯塚高史選手から飛び出した魔性のスリーパー、不穏な動きを見せたチャッキー・T選手まで挙げればキリがないほどのベスト興行だったように思う。

そんな中、メインイベントで大ブーイングを浴び、リング内外やSNSで自身をアピールする。いま、最もレスラーとしての価値を高めているのが、ジェイ・ホワイト選手なのかもしれない。

ドリームチームに対して必殺のブレードランナーを見舞ったのち、彼はTwitterで『BULLET CLUB』ファンが待ち望んだワードを呟いた。

Real RnR 2.0宣言だ。

『リアル・ロックンローラー』を名乗ると言うことは、実質的な4代目バレットクラブのリーダー宣言に等しい。

そして、その宣言通りドリームチームを相手にここまで破竹の6連勝を成し遂げた。オカダ・カズチカ選手と棚橋弘至選手が組んでも勢いを止められないという、大きな存在となりつつある。

いや、両選手がここまで前哨戦で勝利を掴めないことが過去にあっただろうか。悪の華が毎晩女神が微笑んでいる裏には、彼を支えるために、『ワードタッグリーグ2018』を欠場した“用心棒”の存在も僕は大きいと思っている。

ジェイ・ホワイト選手のReal RnR 2.0宣言とバウンサーの献身。この事象を知るために、まずは『BULLET CLUB』について振り返ってみたい。

 

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バレットクラブとは何だ

田口隆祐選手とタッグチーム『Apollo 55』を結成していたプリンス・デヴィット選手が、『TIME SPLITTERS(KUSHIDA選手&アレックス・シェリー選手)』が保有する『IWGPジュニアヘビー級』ベルトへの挑戦失敗を受け完全に離反。

海外遠征に出ていたキング・ファレ選手がバットラック・ファレ選手と名前を変え、乱入したことから『BULLET CLUB』の歴史ははじまった。

“ガイジン”レスラーへの対応が悪い――。

新日本プロレスに日本のプロレスに不信感が募っていた“ガイジン”レスラーたち。カール・アンダーソン選手、タマ・トンガ選手が続々と集結したことで、名称を『BULLET CLUB』と定め、新日本プロレスへと侵略を開始した。

元々、ファンから愛されるクリーンなファイトを展開する実力派レスラーたちの変貌に、新日本プロレスは波乱の渦に包まれた。

直後に開催された『ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア』ではプリンス・デヴィット選手が全勝優勝を飾ったが、メンバーをセコンドにつけた徹底的なラフファイトは非難の声を浴びた。ヒールレスラーとしてブーイングやヘイトを一身に集める。そう、まるで現在のジェイ・ホワイト選手のように。

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その後、負傷から復帰した田口隆祐選手との一戦に敗れたプリンス・デヴィット選手は『BULLET CLUB』は追放される。続いてリーダーに就任したのは、インディー界の至宝・AJスタイルズ選手である。

プリンス・デヴィット選手が成し遂げることができなかった『IWGPヘビー級ベルト』を戴冠するも、ケニー・オメガ選手、ヤング・バックスから離反され、ユニットを追放される・

その後はケニー・オメガ選手が3代目リーダーを務めた。

『BULLET CLUB』の雰囲気が一新されたのは、ケニー・オメガ選手がリーダーに就任して以降になる。

余談にはなるが、田口隆祐選手VSプリンス・デヴィット選手の一戦は『BULLET CLUB』以降、見ることができなかった“天空の貴公子”の一面が復活するなど、比類ない名勝負となっている。

 

ヒールから人気者へ

 ケニー・オメガ選手の躍進により、新日本プロレスを代表するヒールユニットから“ヒール2.0”つまり、ダークヒーローユニットへと変貌を遂げた『バレットクラブ』。

早期に加入を果たしていたヤングバックスとケニー・オメガ選手は3人のユニット『ジ・エリート』を結成。

その後、アメリカ、イギリスのスターレスラーであるCody選手、マーティ・スカル選手が加入。また、身体能力とルックスに秀でたハングマン・ペイジ選手も加わり、YouTubeチャンネルでも存在感を発揮していった。

この頃から徐々にラフファイトは身を潜めるようになる。

また、バットラック・ファレ選手とタマ・トンガ選手よりも『ジ・エリート』が目立つようになった。

ユニットの根幹にあった反骨精神。だが、ケニー・オメガ選手は週刊プロレスの表紙を次々と飾るなど、新日本プロレスのスターへの階段を昇っていた。そして、ROHの大スターCody選手がケニー・オメガ選手からリーダーの座を奪おうとした一件から、タマ・トンガ選手らに不穏な動きが見え隠れしてきた。

そして、ケニー・オメガ選手とCody選手の一騎打ちが終わった後『BULLET CLUB OG』が生まれた。本当の『BULLET CLUB』を、キリストの再誕を待ち望む器として。

 

ジェイ・ホワイト選手成長の理由

ケニー・オメガ選手のスカウトを断ったジェイ・ホワイト選手が選んだのは、『CHAOS』だった。ユニットに属した後も連携はあまり行わず、一匹狼という立ち位置だった。

だが、この時期のジェイ・ホワイト選手に大きく期待しているファンは少なかったように思う。理由は一つ。イッテンヨン『レッスルキングダム12』の凱旋試合のファイトがファンの心を揺さぶるレベルに達していなかったためだ。

『CHAOS』で力を付け、数年後の新日本プロレスで大きな飛躍を魅せて欲しい。僕はそう思っていた。ケニー・オメガ選手との『IWGP USヘビー級選手権試合』勝利するまでは。

『CHAOS』を選んだ理由はいくつかあると思う。VSケニー・オメガ選手やオカダ・カズチカ選手の近くで強さを分析すること。他にも数え切れないほどの計算を入れて、凱旋後のユニットを選んだに違いない。そして、動きは邪道選手、外道選手を『BULLET CLUB』に引き込むという結果にもつながった。

この1年最も成長した選手、最も新しい景色を魅せてきたのはジェイ・ホワイト選手で間違いないだろう。

ヒールレスラーとして鈴木みのる選手やタイチ選手ですら、声援が集まる新日本プロレスにおいて、ピュアなブーイングを集めるのがどれだけ難しいか。ジェイ・ホワイト選手は特に自分で反則行為を働いているわけではない。にも関わらず、ブーイングを一身に浴びている。敢えて言おう。新日本プロレスのトップレスラーであると。

ジェイ・ホワイト選手のReal RnR 2.0宣言は『BULLET CLUB』にイエスが帰還したことを意味する。そして、ユダの存在もまだ明かされていないままである。

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ジ・アンダー・ボスの献身

今回、バットラック・ファレ選手は『ワールドタッグリーグ2018』に出場していない。これが何を意味するのだろうか。

彼は以前、キング・ファレと呼ばれていた。2010年に新日本プロレスでデビューを飾り、海外遠征へ。プリンス・デヴィット選手が急変した日に凱旋帰国を果たし、バットラック・ファレとリングネームを変えた。

「彼は俺のバウンサー(用心棒)だ」

海外遠征に出ていた2012年を除き、デビュー後『G1タッグリーグ』、『ワールドタッグリーグ』には全て出場を果たしてきた。だが、ジェイ・ホワイト選手が加入したことで、『ワールドタッグリーグ』への参加を見送ったのだ。

ジェイ・ホワイト選手と2人で出場する道すら選ばなかった。それだけに僕は見たいのだ。バットラック・ファレ選手がジェイ・ホワイト選手を肩車して入場するシーンを。そして、その横には人の道を外れたマネージャーが付いている。これがReal RnR 2.0の所以なのかもしれない。

 

スペシャルシングルマッチの試合順

『バレットクラブ』は結成後も辛酸を舐め続けてきた。プリンス・デヴィット選手やあのAJスタイルズ選手ですらイッテンヨン『レッスルキングダム』のメインイベントには立っていないのだ。

“ガイジン”ヒールユニットの限界点を突破したのがケニー・オメガ選手である。

“ガイジン”初の『G1クライマックス』優勝。東京ドームでは、メインイベント、ダブルメインイベント第1試合、メインイベントとリーダーに就任後、破竹の勢いでスターダムへと上り詰めたのだ。

ジェイ・ホワイト選手は、そんな彼の中心に変化した『バレットクラブ』を拒否し、オリジナルメンバーが名を連ねるユニットへと身を投じた。

これは仮説だが、ジェイ・ホワイト選手が本当に見据えているのは、ケニー・オメガ選手超えなのではないだろうか。ここで2人のイッテンヨンを見比べてみたい。まずは、ケニー・オメガ選手から。

  • 2017年 オカダ・カズチカ選手(敗北)
  • 2018年 クリス・ジェリコ選手(勝利)
  • 2019年 棚橋弘至選手(予定)

続いてジェイ・ホワイト選手

  • 2018年 棚橋弘至選手(敗北)
  • 2019年 オカダ・カズチカ選手(予定)

もしも、ジェイ点ホワイト選手がケニー・オメガ選手超えを狙っているのであれば、オカダ・カズチカ選手への勝利は絶対条件である。

その結果を受けて、ケニー・オメガ選手の持つ『IWGPヘビー級ベルト』へと挑戦。その年にクリス・ジェリコ選手を迎え撃ち勝利する。

ここまでの絵を描き、実現した時にはじめてケニー・オメガ選手超え。また、リアルロックンローラー2.0が実現されると言ってもいい。

凱旋帰国以降、ここまで話題と注目を一身に集める選手は、オカダ・カズチカ選手、髙橋ヒロム選手以来である。

ようやく現れたオカダ・カズチカ選手を下から突き上げる後輩。その試合順がもしも第1試合だったら面白いとは思わないか?

メインイベントを締めていたレイン・メーカーが第一試合に登場する。ある意味で、興行の重要な役割を担うオープニングマッチに登場するというのは、なんとも面白い試合順になると思うわけだ。

いよいよ、本日で『ワールドタッグリーグ2018』のグループリーグ戦は終了する。ドリームチームVS『BULLET CLUB』も残り2試合といったところだろう。

これからの大会は全て新日本プロレスワールドで配信されるので、しっかりとこの目に映したい。

 

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