新日本プロレスファンに仮面ライダージオウをオススメしたい
新日本プロレスファンに仮面ライダージオウをオススメしたい。そんなことを最近、ぼんやりと考えていた。
新日本プロレスが旗揚げしたのが1972年。2005年にユークスが2012年にブシロードが親会社となるなど、様々な歴史の中で新日本プロレスは興行を行ってきた。
過去、現在、そして未来。あの時の因縁が現在に紐付いていたり、現在離れた選手が未来に帰ってきたりするのがプロレス。
そんな大河ドラマのような物語を実現しているのが、仮面ライダージオウなのだ。
核心に迫らない単純なネタバレならば、面白さには全く関係ないとも言い切れるので軽く触れてしまうと。
仮面ライダージオウは時計をモチーフにした仮面ライダーであり、タイムトラベルを繰り返しながら事件を解決していく。
そこに従来の平成ライダーがオリジナルキャストで登場しているから面白いのだ。
勿論、仮面ライダーは特撮作品であり、アニメーションではない。それぞれが仮面ライダーに変身した後の姿はあの時のままだが、中の人は年を重ね、成長している。
「大分雰囲気変わったな」
「メチャメチャ演技上手くなってる!」
「マジでこの人が出るのか!?」
など、定期的に行われるサプライズキャストの発表をツイッターで知るだけで楽しめる。
改めて考えるとこれってプロレスの楽しみ方に近いなと思ったので、筆を取ってみることにした。
歴史を知らなくても楽しい。歴史を知っているともっと楽しい。これが新日本プロレスであり、仮面ライダージオウの魅力である。
星が星座を作る
現在の新日本プロレスが他のスポーツと大きく異なるのは、選手それぞれに2つのストーリーが存在することだろう。
一つはリングの上で表現している“今”のキャラクターが紡いできた物語。もう一つはヤングライオンや他団体でデビューした後、現在のキャラクターにたどり着くまでのストーリーである。
誰しもがそれぞれの歴史と時間を過ごしてきている。
高校を卒業後、テストに合格し道場へ入門した者もいれば、大学を卒業してから足を踏み入れる者もいる。
また、新日本プロレスの入門テストに落ちた結果、他団体に行った者だっている。
他のリングで実績を残し、新日本プロレスからオファーが届いた選手もいるだろう。
こうした過去の積み重ねが選手それぞれの味や根幹の魅力になっていくわけだ。
例えば、内藤哲也選手がもしも高校卒業後いきなり新日本プロレスに入門していたらアニマル浜口道場を経由していないことになる。
そうなると、EVIL(渡辺高章)選手、BUSHI選手、鷹木信悟選手との出会いがないのだ。
また、受験した時期も異なってくるため、SANADA選手、YOSHI-HASHI選手と同じテストを受けたという過去もなくなる。
過去と現在が絡み合う
もう一つ例を挙げよう。
矢野通選手はアマチュアレスリングの猛者であり、全日本で何度も頂点に立った男だ。だからこそ、会場を沸かし、笑顔になれるキャラクターで試合をしていても「何かが起きる感覚」が常にあるのである。
2018年の「G1クライマックス」当時ノリに乗っていた「ゴールデン☆ラヴァーズ」の飯伏幸太選手とケニー・オメガ選手を両者ともに撃破したのは矢野通選手だけである。
この意味は深く重い。誰にでも勝つ可能性を常に纏えるのは彼自身が過去に培ってきた大きな勲章と実績、そして何よりもプロレスに転向後身に付けてきた独創性のあるオリジナリティに他ならないのである。
歴史を知る、コンテンツの魅力が増す
このように選手それぞれの歴史を少しでも知ることで、更に深みが増すのがプロレスだ。
各地の会場や「新日本プロレスワールド」で試合を見るだけでも楽しい。ただし、二つの歴史を追うことで、より一層楽しくなるという魅力がある。
だからこそ、他のコンテンツと比較しても「古参」や「オールドファン」という言葉が比較的飛び交いやすいものになっているわけだが。
そろそろ仮面ライダージオウの話に移ろう。主人公は普通の高校生である常磐ソウゴ(石ノ森章太郎先生に所縁あるトキワ荘より)は王様になりたいという夢を持っていた。
そんなある日、未来から来た女の子ツクヨミにより「自身が60年後の未来に魔王として世界を征服している」という事実を突きつけられる。
未来を変えるためにツクヨミと共に現代へとやってきた明光院ゲイツはソウゴの命を狙っていだか、ツクヨミの説得により「本当に悪の魔王になるのか?」という目線で監視を始めた。
ここにもう1人未来からやってきた未来のソウゴであるオーマジオウを信仰するウォズという神出鬼没の青年も登場して、、。というのが第1話のあらすじである。
レジェンドたちの登場ではなく
単体でも十分に魅力的な仮面ライダージオウだが、前述した通り、サプライズで歴代ライダーがオリジナルキャストで再登場を果たしている。
正史の世界もあれば歴史が書き換わった世界もあり、あの時の主演がそれぞれ成長した姿を見ることができるのは非常に贅沢なことである。
長くなったが、ここが新日本プロレスとリンクする楽しさのポイントなのだ。
もちろん、アントニオ猪木さんや初代タイガーマスク、長州力さんが再登場して戦う楽しさがあるわけではない。
プロレスラーの歴史を知っている、知らない。ここの違いの話である。
あの選手って昔はこうだったんだよね?この知見が目の前で行われている試合に深みをもたらすのである。
前日、新日本プロレスの公式サイトで公開された石森太二選手のインタビューにもあったが、今回MSGで行われる3WAYマッチで対峙するバンディード選手は彼自身と運命的な出会いをしている。
石森太二選手がフリーとなり海外で一番最初に試合をした相手がバンディード選手なのだ。そして、もう1人の相手であるドラゴン・リー選手は石森太二選手がプロレスを学んだメキシコ出身。何か因縁めいたものがある気がして来ないだろうか。たがらこそ、試合中 前から手に汗を握ってしまう気持ちにならないだろうか。
歴史をキチンと学ぶことで、試合がより一層楽しくなる。
仮面ライダージオウのサプライズゲストについて、周りと話した時反応の違いが顕著に出る。
見てない人は分かんないけど面白かった。見てた人は懐かしいし、面白かった。
どちらにせよ面白いのであれば、知ったタイミングで歴史を学んでみてもいいだろう。
その方、その方の過去、現在、未来で新日本プロレスを楽しんで欲しい。
それぞれの時間
最後に。
仮面ライダージオウは過去編、未来編が終わり現代編へ突入。今からでも間に合うのでぜひ、仮面ライダージオウの今に追いついて欲しい。
おそらく棚橋弘至選手のコスチュームにも黒と紫が入る気がしている。
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という訳で2019年3月のNJPWFUNもここで終了。4月もよろしくお願いします!ちょっと新生活に向けた発表があるかもです。