新日本プロレスの春男が夏男となる瞬間へ
新日本プロレスの春男が夏男となる瞬間へ大きな期待を込めて今回のコラムを執筆したい。
ダラス大会で開幕した「G1クライマックス29」。Aブロック公式戦最初のメインイベントはオカダ・カズチカ選手と棚橋弘至選手が務めた。
現「IWGPヘビー級王者」と2018年の覇者が対峙した瞬間、アメリカのファンからスタンディングオベーションが贈られたことは先日のコラムでも書いたが、今回は日本国内初の公式戦となるBブロックのメインイベントについて書いてみたい。
と、その前に2018年の「G1クライマックス」でメインイベントに立った4人の名前を挙げておこう。
オカダ・カズチカ選手、ジェイ・ホワイト選手、内藤哲也選手、ケニー・オメガ選手である。
オカダ・カズチカ選手とジェイ・ホワイト選手は2年連続の開幕メインイベントである。
この中から内藤哲也選手が外れ、今回のメインイベントに立つのは「CHAOS」“混沌の荒武者”後藤洋央紀選手である。
“春男”の異名を持ち、ニュージャパンカップで優勝、準優勝を繰り返してきた男がこの夏、メインイベントに立つのだ。
これは期待を通り越して、ハンカチを右手に団扇を左手に応援する以外の選択肢がないのではないだろうか。
ジェイ・ホワイト選手も心から愛しているが、今回は100%後藤洋央紀選手を応援したい。
荒武者が頂点に上り詰める夏に向けて、心からのエールを書き連ねる。
来たか!後藤! おう!シバちゃん!
今回、ジェイ・ホワイト選手が強大すぎるライバルとなったことで、後藤洋央紀選手に更なるスポットライトが当たる形となった。
以前は同じ「CHAOS」にいたことで、「ざんまいポーズ」を一緒にしてくれないというコミカルな間柄だったが、あの頃と今は全く異なる。
“ガイジン”レスラーとして史上最年少で「IWGPヘビー級王者」となったジェイ・ホワイト選手。
一方で後藤洋央紀選手は未だ新日本プロレスの頂には手が届いていない。
そのギャップを埋めるため、順番待ちの列に並ぶため挑んだスペシャルシングルマッチで後藤洋央紀選手は敗れてしまった。
敗戦した日以降。後藤洋央紀選手は修行の旅に出るとTwitterで書き残し、一ヶ月以上の間、表舞台から姿を消した。
「俺が復活するためには、この男と同じ時間を過ごすしかない」
彼が求めたのは高校の同級生であり、最高の盟友であるLA道場のヘッドコーチ柴田勝頼選手だった。
プロレスファンであり、2人のファンであればこんな妄想くらいお茶の子さいさいである。
「シバちゃん!来たぜ!」
「来たか!後藤!」
いつか動画あるいは書籍の第2弾が発売されることを願う。
肉体改造の真価
柴田勝頼選手、LA道場の若手レスラー共に汗を流す日々。
その変化は一目見ただけで顕著に現れた。
明らかにシェイプアップされた肉体がそこにはあった。
これは、盟友・柴田勝頼選手と共に作り上げたVSジェイ・ホワイトに特化した肉体と言っても過言ではない。
スピードと切れ味を増した荒武者の肉体と技の数々。
パワーを落とすことなく、スピードを上げてきたのだ。
バキバキの肉体を持つSHO選手が「後藤さんの絞った肉体を見たい」と語っていた。
筋肉の量が尋常ではない。脂肪を落とし、筋肉が完全な主張をした時にどんな肉体となるのか?気になっていたらいきなり現実のものとなった。
絞った荒武者はメチャクチャカッコよかった。
新たな武器
後藤洋央紀選手がLAに渡り、柴田勝頼選手と共に時間を過ごす中で象徴的なワンシーンがあった。
ジェイ・ホワイト選手の必殺技であるブレードランナーについて道場生を相手に解説する柴田勝頼選手。その一挙手一投足に目を配りつつ、カウンターのタイミングを見据える後藤洋央紀選手。
あのタイチ選手をもってして「今の新日本プロレスの中で最も危険な技」だと言わしめる一撃を徹底解剖する算段だ。
そう、やはりブレードランナーだ。
この技でジェイ・ホワイト選手は一躍スターダムへと駆け上った。
隙が少なく、一撃で決まる河津掛け落としの応用技。オカダ・カズチカ選手や棚橋弘至選手ら数多くのレスラーがブレードランナーの前に沈んだ。
「IWGP USヘビー級ベルト」を戴冠した時もそう。一瞬の隙を突いたことで、勝機を見出していた。
ブレードランナー破りしかない
後藤洋央紀選手は絞った肉体に加え柴田勝頼選手を思わせるような蹴りを魅せていた。
荒武者とザ・レスラーの1人タッグマッチを見るような気持ちになる。
そして、「G1クライマックス29」の初戦で柴田勝頼選手はセカンドに着くのか。
外道選手の介入も十二分に考えられるだけに、この点のケアも必要なように思う。
そして、最も重要なのはブレードランナーを破ることだろう。
後藤洋央紀選手が打倒・ジェイ・ホワイトを成し遂げた瞬間「IWGPヘビー級ベルト」への道が見えてくる。
春男が夏男になる。後藤洋央紀選手にとって最高の夏になることを祈っている。