制御不能な男は分析力も凄い!新日本プロレスの実力者たる理由
制御不能な男は分析力も凄い!新日本プロレスの実力者たる理由を見た気がした。
僕は以前から新日本プロレスの中でも後藤洋央紀選手と内藤哲也選手の試合が好きだ。
パワーとオリジナル技の多彩さで相手を攻め立てる後藤洋央紀選手。
スピードとテクニック、身体能力にダーティーファイトも厭わない内藤哲也選手。
この2人の試合はいつも噛み合って最高に盛り上がる。
当然、「G1クライマックス29」にも期待が集まっていた。
前哨戦のバックステージコメントで「LA DOJO Tシャツ」をスペイン語にしか見えないと残した内藤哲也選手。
その勢いのまま迎えた「G1クライマックス29」後楽園ホールのセミファイナル。
エプロンでの膝殺し。後藤洋央紀選手の牛殺しを徹底的に警戒していることが分かる。
涼しい顔して、制御不能な素振りを見せて、徹底的に相手レスラーの分析を行うのが内藤哲也選手のプロレスである。
だがら誰と試合を行なっても噛み合うし、自分のスタイルを貫きつつバリエーションのある試合を魅せることができるのだ。
試合開始5分経過の時点でジャベも披露。余裕な表情を浮かべて後藤洋央紀選手を追い詰めていく。
そう、この2人の関係性を試合で体現しているかのように。
オカダ・カズチカ選手から「CHAOS」へのスカウトを受けていた後藤洋央紀選手が正式に承諾したのが2016年の「ニュージャパンカップ」決勝戦の直後。
その時、後藤洋央紀選手は「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」に蹂躙されていた。
その危機を救ったオカダ・カズチカ選手と握手を交わし「CHOAS」入りが決定。
今の後藤洋央紀選手はあの春からはじまっているのだ。
そう、打倒ジェイ・ホワイトの次は打倒内藤哲也に燃えても全くおかしくないのである。
内藤哲也の膝攻め
内藤哲也選手の膝攻めは続く。だが、後藤洋央紀選手も負けてはいられないと、断崖式のネックブリーカーを見舞う。
ここで内藤コールと後藤コールが飛び交う展開へ。
やはり「プロレス総選挙2位」は伊達ではない。ヒールのような振る舞いをしつつも、歓声を浴びている。
後藤洋央紀選手がランニング式デスティーノを牛殺しで切り返すも内藤哲也選手の勢いを止めるまでには至らない。かに見えたがここから後藤洋央紀選手の反撃が始まる。
柴田勝頼選手と磨き上げた蹴りをショートレンジで連発。蹴りとはこう魅せるものなのだと言わんばかりに蹴りまくる。
ここから裏GTRを決め、更にキックを見舞う。試合はいよいよ終盤に入ってきた。
デスティーノ
ランニング式デスティーノの後に正調式のデスティーノを繰り出し、3カウントを奪取した。
終始、内藤哲也選手は攻めまくっていた。LA道場で鍛え上げてきた後藤洋央紀選手の手数で圧倒し、勝利を掴みとったのである。
まさに内容で後藤洋央紀選手を圧倒した試合となった。
2018年の12月、後藤洋央紀選手は飯伏幸太選手に「NEVER無差別級ベルト」を奪われたものの、内容ではほぼ完封といっま試合展開を魅せた後藤洋央紀選手。
なぜ、ここまでワンサイドゲームになってしまったのか。
トランキーロ戦法の真骨頂
内藤哲也は後藤洋央紀選手を前にトランキーロ戦法の真骨頂発揮したのではないか。
僕は今回の試合でそうした印象を受けた。
“制御不能”となった内藤哲也選手は試合内容も一変した。
自分がやりたいようにやる。周りの目なんて気にしない。
ノロノロとした入場やすかすイメージがあるが、トランキーロ戦法の真骨頂とは相手レスラーについて分析した情報を持ちつつ、敢えて自由気ままに戦うことなのではないだろうか。
この日の徹底した膝攻めは後藤洋央紀選手のフィニッシュムーブを完璧に封じるための作戦としか考えられなかった。
そう、口では以下のように後藤洋央紀選手を挑発するが、その実力はしっかりと認めているのである。
3戦目にしてやっと初白星? いつもの癖が出ちゃったよ。トランキーロ、あっせんなよ。まあ、とはいえ、3戦目の相手が彼で良かったよ。彼の名前、ちゃんとインプットしたよ。ラ・ドホ? ラ・ドホ?(LA DOJO Tシャツのこと) いい名前だね。まあ、彼の『G1』はもう終わったんでしょ? 残り何試合あるかわかんないけど完走目指してがんばってよ。俺なんかちょっとラ・ドホのファンになっちゃったかな? いい名前だと思うよ。皆さんもそう思うでしょ? 改名する時が来たんじゃない? だって現状を変えたいんでしょ? まずは名前から変えてみたらいかがですか、ラ・ドホさん
おそらく試合内容だけで見れば内藤哲也選手にとって2019年のベストバウトになった気がする。
コンディションを危惧され、連敗でスタートした内藤哲也選手の「G1クライマックス29」。
「IWGPヘビー級バルト」を目指す上で真夏のジャンプ台を利用するための準備は整ったと言えるだろう。