EVILがSANADAに勝つ!相棒として、ライバルとして
EVILがSANADAに勝つ!相棒として、ライバルとして深い絆で結ばれている2人について書いてみたい。
現代の新日本プロレスを象徴する大人気ユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンー」。
その人気は留まることを知らず常に会場でグッズを身につけているファンの姿が目立ち、メンバー全員が「Number」のプロレス総選挙で上位をマーク。
学生時代で例えたら、所属しているだけでモテる集合体のようである。
そんな「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンー」のSANADA選手とEVIL選手が「G1クライマックス29」で約2年ぶりのシングルマッチを戦うこととなった。
「G1クライマックス29」を前に更なる深い闇へと突入し、内藤哲也選手、SANADA選手、鷹木信悟選手へ宣戦布告をしていたEVIL選手。
仲間の輪から外れ、相棒にジェラシーを燃やし、勝利を掴むことを追い続けてきた日々。
そんな穢れをぶつける日がいよいよやってきたのだ。
2019年7月18日、場所はプロレスの聖地後楽園ホール。
新日本プロレスの熱すぎる夏。真夏のライオンキングダムで天才“SANADA”選手と“闇の王”EVIL選手が向かい合った。
天才と闇の王
「HEIWA Presents G1 CLIMAX 29」2019年7月15日、北海道・北海道立総合体育センター 北海きたえーる大会。
通称“夏の札幌”でとうとうSANADA選手へ牙を向いたEVIL選手。
グータッチをしないどころか背を向けたSANADA選手に対し、背後から強襲するという同じユニットとは思えぬ暴挙に出た。
SANADAに勝つために、先シリーズからいろいろ仕掛けて来たからな。次のSANADA戦、結果を出してやるからな。よく覚えとけ
同じ数だけ「IWGPタッグベルト」を戴冠してきた。先にオカダ・カズチカ選手への挑戦権を手に入れたのはEVIL選手の方だった。
世界のスーパースターであるクリス・ジェリコ選手とも「IWGPインターコンチネンタルベルト」を懸けて戦った。
だが、「ニュージャパンカップ2019」の準優勝を含めたオカダ・カズチカ選手選手との名勝負数え歌でSANADA選手はシングルプレイヤーとしての価値を爆発的に高めた。
「Number」のプロレス総選挙では4位をマーク。なんと飯伏幸太選手を抜き去る投票数を魅せた。
EVIL&SANADAがいつしかSANADA&EVILへ。
いつしか天才に差をつけられていた闇の王。
咬ませ犬じゃないぞ!
「俺はSANADAの咬ませ犬じゃないぞ!」
あの日の北海道で僕はEVIL選手の心の声を聴いた気がした。
愚直で不器用。バチバチとぶつかる自分よりも、華やかで華麗。スマートにどんな試合でもできるSANADA選手にファンの目が集まってきている。
絶対に負けられない。闇の王は更に深い深い深淵へと身を投じていくような印象を受けていた。
そして、「G1クライマックス29」での直接対決の日を迎えた。試合順は第6試合。メインでもセミでもない。
それが今の2人に対して新日本プロレスが決定した試合順だったのだ。
隣から対角線へ
2年ぶりの対決に向けた後楽園ホールの声援は五分と五分。SANADA選手が仕掛ける形でスタートした。
場外に出るといきなり椅子を取り出すEVIL選手。考える天才を封じるためにダーティーファイトを選ぶのかと見せかけて、グラウンドの攻防へ。
そして、ダースネスパラダイスロックが炸裂した。
精神的に序盤から仕掛けを続けるのはEVIL選手。SANADA選手は揺さぶりを前に中々ペースを掴むことができない。
そう、SANADA選手は相手のスタイルに合わせて器用に試合をすることが大得意である。
「ARMS」で例えれば、水の心を持ったかのような冷静さでどんな形状にも形を変え試合を支配する。
SANADA選手の試合が常に新しく新鮮に感じるのはここがポイントだろう。
クラッシックな技を中心に敢えて少ない技で戦う。そう、モヒカンをやめて以降、天才はさらに円熟味を魅せつつある。
もっと熱さを
SANADA選手による掟破りのEVlLが炸裂すると、後楽園ホール全体から大歓声が巻き起こる。
試合は完全に終盤へ。リング中央で打ち合う2人。
タイガースープレックスを見舞うSANADA選手。要所要所で的確にダメージを与えるのは天才に分があるように見える。
吠えるEVIL選手のダークネスフォールズが炸裂。これもカウント2。
さらに相手の決め技を丸め込みで切り返す。ずっと隣にいたからこそタイミングは熟知している。
そして、EVIL選手のEVILが炸裂した。そ
試合後、この一ヶ月間、重なることのなかった拳が合わさった。
ずっと突っ張ってきたEVIL選手に対して、SANADA選手は何かを受け入れたような表情を浮かべていた。
激闘を終えて
試合後、EVIL選手はバックステージで心情を明らかにした。
相棒、ライバルとしてSANADAを認めていることが痛く伝わってくる。
この試合が決まってから、何が何でも勝ちたかった。SANADAがスゲーのはオメェらもわかっていると思うけど、組んでる俺が一番スゲーってことわかってるよ。これがEVIL、SANADAの“プロレス”だ。それともう一つ、もう一つ。俺は誰とも比べようもない唯一無二の道を歩んでんだよ。それでテッペンとんだよ。誰にも文句は言わせねぇぞ、よく、覚えとけー!!
2人の対戦カードが新日本プロレスのメインイベントを飾る。そんな日を楽しみに待ちたい。