オカダ・カズチカが感じている危機感の正体と木谷オーナーの言葉

オカダ・カズチカが感じている危機感の正体と木谷オーナーの言葉について書きたい。

いよいよ本日、「ニュージャパンカップ2020」の優勝決定戦が有観客の大阪城ホールで行われる。

今、オカダ・カズチカ選手は危機感を抱いている。新日本プロレスはジワジワと人気を高めているが、爆発的に伸びているのかと言われればそうではない。

新日本プロレスに金の雨を降らす男から見た時、どんな課題があるのだろうか。

インターネットの普及。サブスク系サービスの定着。消費すると揶揄されるほど世の中に溢れるコンテンツ量。

この3つの軸が絡み合った結果、色々な業界でゲームチェンジが起こっている。

例えば、アーティストがアルバムを作る時、曲の流れ(セットリスト)にとことんこだわるが、受け取り手はその順番で聞いてくれなくなった。好きな曲を並べた自分のセットリストをそれぞれが持っている。

ジャンル側でファンを誘導しにくい時代の中、オカダ・カズチカ選手が見据えているのは、ファンの変化と賛否両論を生み出し、大きなムーブメントを生む“毒”なのかもしれない。

『Number』でオカダ・カズチカ選手が実現させたアントニオ猪木さんとの対談。その中で気になった言葉をピックアップし、考察を進めていきたい。

 

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マニアがジャンルを潰す

木谷オーナーの言葉を覚えているだろうか。

「全てのジャンルはマニアが潰す」

ジャンルを支えているのはマニアである。ただ、ジャンルとしては新規ファンに目を向け続けなくては発展がないというように解釈ができる。

プロレスというジャンルに限らずSFや音楽など様々なジャンルで物議を呼んだメッセージ。改めて言葉が今の新日本プロレス、オカダ・カズチカ選手に深く突き刺さっている気がする。

観客動員数だけが全てではない。「新日本プロレスワールド」を通じて、日本に留まらず世界中で新日本プロレスの試合を観戦することができるようになったためだ。

ここに一つの数値としてここ4年の「レッスルキングダム」観客動員数を並べてみる。戦い始めの東京ドーム。イッテンヨンは新日本プロレス最大のイベントである。

  • 2016年 25,204人(月曜日)
  • 2017年 26,192人(水曜日)
  • 2018年 34,995人(木曜日)
  • 2019年 38,162人(金曜日)
  • 2020年 40,008人(土曜日)

中邑真輔選手やAJスタイルズ選手が退団したものの、2017年の観客動員数は向上した。そして、2018年にかけて約1万人増。2020年には40,000人に到達するなど、2017年以降新日本プロレスの人気は飛躍したことが分かる。

ちなみに僕が今のプロレスにハマったのは2017年のイッテンヨンが終わった後。「有田と週刊プロレスと」を通じてファンになっている。※NJPWFUNは2018年からスタート

ただ、この数字を見て分かるのが2019年と2020年にかけて明らかに成長が鈍化している。2020年はイッテンゴもあったがこちらは30,063人という数字に留まっている。

おそらく新日本プロレスとしても少し物足りない数字だったのかもしれない。

2020年は土曜日だった。平日ではなく祝日であればもっと動員数は稼げるはず。オカダ・カズチカ選手自身も東京ドームを札止めにすると掲げていたが一歩及ばぬ結果となた。

ちょっとここで考えてみよう。2017年以降に新日本プロレスのファンとなった僕も気付けばマニアになっているのではないか、と。

最近、プロレスを誰かに勧めたのかと言われるとそうでない。あの頃のように「プロレスメッチャ楽しいから見ましょう!」ってキラキラした目でキュレーションする機会はほぼなくなってしまった。

よくよく考えると、中々寂しいことではないかと実感してしまった。改めてプロレスを楽しむ気持ちを取り戻さなければならない。

 

ファンに媚びた結果

SNSなんて一部のファンの声である。全体の母数から考えると決して絶対数ではない。ただ、僕が見ていて感じている流れを少し書いておく。基本的に平和であると前置きするが、目につくものがないわけでもない。

レスラーやリングアナにいちゃもんをつける。マウントを取ってくる(プロレス何年見てるアピール)。他にもたくさんたくさんあるが、まぁそれは個人の性格もあるのでそれはそれとする。

僕は、新日本プロレスについて意見をいうファンの絶対数が減っているのではないかとも思っている。

ハッキリと名言するが、オカダ・カズチカ選手の「否」とは上記に挙げたようなレベルの低い汚い言葉や野次ではない。

もっと新日本プロレスを楽しむためにはどうすればいいのか?という声である。

ちなみに6人組ロックバンド「UVERworld」はファンの声を取り上げ、ライブ会場でのマナーに反映させている。

www.uverworld.jp

「来るな」、「ダメだ」とキッパリ書いている。これはファンに媚びてないからこそできる言葉である。

ここで勘違いしてほしくないのはファンに苦言を呈して欲しいわけではないということ。これからはじまる有観客試合を団体が語るルールで縛るのではなく、ファンと共に考える場を創ってみてもいいのではないかと僕は思うのだ。

例えば、有観客試合のマナーについてあなたの考えを聞かせて欲しいとグーグルフォームで呼びかけるだけでもいい。その声をピックアップしながら、新日本プロレスならではの有観客試合のマナーを作ってしまえばいいのだ。

いい議論を生み出すために

賛否両論がない。新日本プロレスを絶賛し、共感を集めている声は見るがそこに議論がない。

オカダ・カズチカ選手は「ファンに媚びた結果」だと語ったが、それはその通りだなと思う。今のファンに媚びた結果が、2020年の観客動員数につながっているのかもしれない。

あの頃の初心者は数年経ってマニアになった。さらに 社会情勢もあり、ファンが減ることこそなかったが、増えることはなかったはずだ。※NJPWFUNのアクセス数も洒落にならないくらい下がった。

改めて新規ファンを歓迎し、定着させる土壌を作らなければジャンルとして再び衰退してしまう。

プロレス人気の底上げでは“レインメーカー”は満足できないのだ。

 

レインメーカー3.0

オカダ ・カズチカ選手も30代に突入した。20代後半まで10代が感情移入できるギリギリの対象だとするならば、彼はその年齢を卒業したことになる。

荒々しい“レインメーカー”から完全無欠のIWGPヘビー級王者へと変貌を遂げたのは誰の目にも明らかだ。

これから数年先の新日本プロレスを見落とした時、自分が棚橋弘至以上の存在にならなければならない。

かつて化け物を超えた存在と呼ばれた男は新日本プロレスの象徴して若い力を「受ける」側に回らなければならない。

棚橋弘至選手は“あの頃”を取り戻すべく新日本プロレスを背負い、V字回復の原動力となった。

棚橋弘至選手らが創ったV字回復の流れを受け継ぎ、更に飛躍させたのがオカダ・カズチカ選手という存在である。

もう一歩、さらに大きな一歩を踏み出すためにオカダ・カズチカ選手は賛否両論を求めている。

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