鈴木みのると鷹木信悟に電流爆破は必要なかった

鈴木みのると鷹木信悟に電流爆破は必要なかった。これが一晩経ってみての感想だ。

新日本プロレスが21年振りとなる明治神宮野球場大会を開催した。

対戦カードは全6試合。社会的な情勢もあり、満員御礼とはいかない状況ではあるが、開放感のある中でプロレスを楽しんでいる光景は非日常感に溢れていた。

各試合それぞれのカラーが出た試合だったと思うが、敢えてこの日のベストバウトを選んで欲しいと言われれば、この2人の試合になるだろう。

「NEVER無差別級選手権試合」。

王者・鷹木信悟選手VS挑戦者・鈴木みのる選手だ。

バッチバチのしばきあい。喧嘩。柔道部の部長と不良が体育館の裏で殴りあった。そんな印象すら受ける試合だった。

息を飲むという話ではなく、呼吸を忘れて定期的に叫ぶ。そんな状況である。

それにしても鷹木信悟選手の試合は本当にクオリティが高い。誰とぶつかっても自分の試合という軸がブレない。それでいて、相手によって景色が変わるのだから不思議である。

受けすぎず、攻めすぎない。おそらく彼のプロレスはバランスが非常に良くできているのだろう。

一方で鈴木みのる選手。相変わらず受け身を全く取らない。そして、攻める、攻める、攻める。

この日は一本足頭突きを連発するなど、何かを感じさせるようなアクションも度々魅せていた。

抜群のコンディションを整えている2人が捌き合う姿。この姿を見ていると、電流爆破の必要がなかったなぁと素直に思うのだ。

 

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21年前、グレート・ムタとニタ

21年前の明治神宮野球場大会はビッグサプライズが用意されていた。

武藤敬司選手の化身であるグレート・ムタ選手と大仁田厚選手が南港から呼び戻したグレート・ニタ選手が電流爆破マッチ(ノーロープ有刺鉄線バリケードマット時限装置付き電流地雷爆破ダブルヘルデスマッチ)を特別試合として戦ったのだ。

電流爆破の原点は大仁田厚選手にある。全日本プロレスを退団し、プロレスラーとしては再起不能とまで言われるほどの大怪我を負った大仁田厚選手に挿した光明が電流爆破だった。

弱点を補ってあまりあるほどのど迫力。そこに生まれるヒューマニズム。

生死というある種の命題にまで踏み込むことで大仁田厚選手、電流爆破は圧倒的な支持を得ることになつた。

その流れは21年前に新日本プロレスをも巻き込むにまで大きなものとなった。

花火大会は余興でやってくれと言われた日から時は過ぎ、時代は令和へ。

「NEVER」は何でもアリが魅力だが、電流爆破よりも原始的なファイトがそのド派手さを凌駕した試合となった。

鷹木信悟選手と鈴木みのる選手だからこそ、できる試合かそこにあった。

 

漢2人の喧嘩祭り

鈴木みのる選手は試合後に鷹木信悟選手について「喧嘩ができるじゃねぇか」と残した。

実は鈴木みのる選手が試合後に相手レスラーを認めたり、褒めたりすることはかなりのレアケース。

ちなみに“プロレス王”が語る喧嘩の意味については後日書くことにする。

改めてこの試合を見るとシンプルな技でとにかく殴り合って、しばきあっていた。

「これが一番見たいんだろ?」そう言わんばかりの試合。ただ、覚悟を持ってリングに上がればこういった試合が生まれる訳ではない。

肉を切らせて骨を断つ。相手の精神を心を断たなければ勝つことはできない。

鈴木みのる選手と鷹木信悟選手の手はよくあった。ガッチリと噛み合っていた。

 

NEVERの申し子がついに丸腰

石井智宏選手(田中将斗選手)、柴田勝頼選手、鈴木みのる選手、後藤洋央紀選手。

チャンピオンが変わると大きく色も変わるのが「NEVER」というベルトの特徴だ。

初の「NEVER二冠王」として2020年に大躍進を遂げていた鷹木信悟選手の我道は、EVIL選手の離反によるベルト返上と“プロレス王”の力により急ブレーキを掛けられることになった。

鷹木「マジか……。言葉が出ない……。言葉が出ねーよ!! (※机を叩き)負けちまえば、内容なんて関係ねーんだ。あいつは、鈴木は鬼の首を獲ったように俺のことどうせ、ボロクソ言ってんだろうな。だからこそ負けたくなかった。(※机を叩き)だがよ、鈴木みのる! 俺たちの喧嘩、こんなもんじゃねーだろ。どっちかが病院送りするまで、どっちかが動けなくなるまでやるんじゃねーのかオイ! 確かに俺は3カウント奪われて負けた! だが俺はこうして動けるぞ。オイ、動けるぞ。これで3カウントはい終わりなんて言わせねーからなオイ! だからこそ俺はあいつに負けたくなかった……。何が何でも負けたくなかった。終わりじゃねーぞ! 俺がこの後行くのは病院じゃねえ。病院なんて行くか! こんな悔しい思いしたらなー、寝れねーからよ。俺はこれから“エニタイムフィットネス”に行って朝までがっちりトレーニングしてやるからな! このままじゃ終わんねーぞ!!」

休むことなくトレーニングに勤しむドラゴン。次の目標は「G1クライマックス」に違いないが、個人的にはタッグの領域にも名乗りを上げて欲しいと思っている。

タイチ選手とザック・セイバーJr.選手の“デンジャラステッカーズ”を止められるのは鷹木信悟選手とSANADA選手しかいない。

弱肉強食の新日本プロレスでこれからも美しい喧嘩の花を咲かせ続けて欲しいと心から願うばかりだ。

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