EVILとディック東郷の48日天下に感じた明確な問題
EVILとディック東郷の48日天下に感じた明確な問題について書いていきたいと思う。
心でつながっていると言われていた“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”の6人が5人になってから約2ヶ月が経とうとしている。
今回は割と辛辣な意見となっているので、2人のファンで厳しい意見を見たくないという方はここで読むのを止めて欲しい。
新日本プロレスの応援ブログに相応しくない内容だとは重々承知しつつ、おそらく最後の二冠戦について触れていきたい。
大逆転の内藤哲也がEVILを撃破して“二冠王座”奪還!
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) 2020年8月29日
最後は「心の中で」大合唱!
神宮の夜空に“花火”も打ちあがる!!
【8.29神宮大会結果】
★試合の詳細は新日本プロレス・スマホサイトで速報中!https://t.co/sF9qrzWy0n#njsst #njpwworld pic.twitter.com/3Bd9dmwmDM
オッケー?本当にオッケー?
では、いってみよう...。
このブログは毒にも腐りにもならない場所を目指しているのだが、久しぶりに首を捻るメインイベントだった。
まず、金輪際“二冠戦”は開催すべきではない。
結局、“二冠戦”だから盛り上がるということは一度たりとも無かった。
チャレンジャーは元「NEVER無差別級王者」※イッテンゴの当日に負けて襲撃、「ニュージャパンカップ2020」優勝者、「IWGPジュニアヘビー級王者」※ニュージャパンカップ準決勝負け、内藤哲也選手※リマッチ
という具合に誰しもが納得という形で挑戦したのは何とEVIL選手のみ。
“二冠戦”で括るのであれば、本来挑戦者は「ニュージャパンカップ」や「G1クライマックス」の優勝者とリマッチ地獄という言葉を受ける覚悟のある元チャンピオンのみにすればよかったのだが、案外名乗り出ればいけるものとして認識されてしまった。
そして、どのタイトルも“二冠戦”だからというものにはならなかった。
KENTA選手は大合唱を止めたテロリスト、EVIL選手以降は“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”のお家騒動。
2つのベルトの価値について言及されることもなく、たどり着いた最後の“二冠戦”。
僕は結局、前哨戦から試合までの盛り上がりは「IWGPヘビー級」、「IWGPインターコンチネンタル」二本分の価値は無かったと僕は思っている。
その理由は明確で最後まで両者の思惑、物語が交わらなかった点にある。
内藤哲也選手は自らが作った二冠戦問題、神宮野球場大会にファンとして足を運んでいたことがテーマ。ちなみに内藤少年のくだりは二度目である。
EVIL選手は返り討ちにしてやる。強いて言えば、“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”は腐り切っている。
これでどう盛り上がれというのか。
僕たちが見たかったのはドロドロの愛憎劇だったはずだ。
「間違った道に進んだEVILへ引導を渡す。もうここで終わらせる。手段は選ばない」
これくらいの発言は欲しかった。
一方でEVIL選手にも「神宮で2人目のパレハを連れてくる」
と謎かけが欲しかった。結果と共に俺が“バレットクラブ”を乗っとっているんだというプロセスを見せ付けて欲しかった。
ジェイ・ホワイトと外道
今回、EVIL選手とディック東郷選手の2人に注目が集まらなかったのは、明確にストーリー性が欠けていた点に他ならない。
敢えてこのタイミングで邪道外道が心から信頼するディック東郷選手を引っ張り出してきたにも関わらず、全く物語が見えて来なかった。
EVIL選手からコンタクトを取ったというのが定説になっているが、その理由が見えなかった。
ヒールレスラーにそういったものは必要ない。
そう言った主張もあると思うが僕は少し違っていて。
例えば、ジェイ・ホワイト選手が“CHAOS”から離反して“バレットクラブ”に加入した時を思い出して欲しい。
そもそもジェイ・ホワイト選手がオカダ・カズチカ選手のスカウトを受け“CHAOS”に所属していた時から、雲行きが怪しいコメントを連発していた。
オカダ・カズチカ選手も兄貴分として、それくらいの気概が大切ですよと余裕を現すなど2人の関係性が明確だった。
そして、運命の日が訪れる。外道選手がオカダ・カズチカ選手の背中を椅子で強打した時、こう語っている。
「レインメーカーは終わった。魅力を感じない。これからはジェイの時代だ」と。
“ジプシー・ウェイ”。
元々、勝ち馬に乗り続けることでここまでたどり着いた男たちだ。誰と時間を共にするのが大切なのか直感と計算で弾き出すことができる。
当時から新日本プロレスが海外戦略に力を入れていくという意味でもジェイ・ホワイト選手と行動を共にするのが一番美味しいのだ。
と、たった一言で見えてくるものがジェイ・ホワイト選手と外道選手にはあった。
それでもファンからヒールとして認められるまで時間を費やしていたのである。
勿論、言語の壁はあった。それでも外道選手に喋らせることなく、自分でメッセージを送り続けた。
とにかく試合内容で納得させるしか無かった2人はオカダ・カズチカ選手、内藤哲也選手、飯伏幸太選手との好勝負を通じて、今や新日本プロレスのトップレスラーの1人として定着している。
一方でEVIL選手はどうだっただろうか。バイネームで非難もしない。
“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”は腐っている。そんなフワッとしたコメントしか残せないまま1ヶ月が過ぎる頃にはこういったイメージが出来上がっていた。
反則でしか勝てないレスラーだ、と。
違う。僕が求めていたEVIL選手の強さはこうでは無かった。
圧倒的なまでのダーティーさ。そして、勝ちに徹する姿勢。
内藤哲也選手が失ってしまった制御不能っぷりを引き継ぐ存在になれるのは最初のパレハしかいないと思っていたのだ。
事実、「ニュージャパンカップ2020」の決勝や二冠王誕生の瞬間はこれからとんでもないレスラーに飛躍していくのだろうと思っていた。
あの入場を魅せられたら期待するなという方が無理な話だろう。
いつから内藤哲也が勝てばハッピーエンドだと錯覚していた?
続いては内藤哲也選手について。
あれだけ前哨戦や舌戦で盛り上げることが得意だった内藤哲也選手が、“今回も”最後まで盛り上げきることができなかった。
制御不能に開眼し、相手もお客様も手のひらの上に乗せていた男。
新日本プロレスで最も自由に輝いていた男。
団体からはプッシュされずとも、主役になってくれと熱望された男。
これが内藤哲也選手だったはずだ。
今回、EVIL選手との対比があったのだろうか、流石にスターダスト・ジーニアス過ぎた。それもギラギラした感じのないスターダスト・ジーニアスだ。
まず、トランキーロ殺法で戦っていない。
相手を焦らすことで主導権を握る。これが内藤哲也選手の持ち味だったはずだが、その良さがほぼ出ていなかった。
見方を変えるとEVIL選手が潰していたという解釈もできるが、流石にラフ殺法に対して、受け過ぎた。
EVIL選手を小馬鹿にするわけでもなく、ただセンチメンタリズムを感じさせるものでもなく。
僕は悔しくて、寂しくて何とも言えない気持ちだった。
これだけ大切な試合が「花火に全て持っていかれしまった」のだ。
言葉を選ばずに言えば花火はお金で買える。ただ、“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”の内藤哲也選手とEVIL選手が令和2年の夏に戦う二冠戦は二度とないのだ。
それが花火に潰された。これは花火を攻めているわけではない。
本当のハッピーエンド。次につながる物語が生まれなかったことへの悲しみである。※自覚もたるが拗らしているとも表現できる。
鷹木信悟選手と高橋ヒロム選手がメインイベントの前に敗れていることで、5人での「デ・ハポン」は無いことが想像できた。
ただ、一番見たかったのは大の字に倒れているEVIL選手を横目に“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”のメンバー全員が最初で最後の6人で大合唱をする瞬間だったのではないだろうか。
内藤哲也選手はバックステージで一言もEVIL選手の名前を出さなかった。
敵にはもう興味なし。“バレットクラブ”へ逃げた奴に興味はないと言わんばかりに。
伏線と回収を大切にする内藤哲也選手であれば、ここで本名を出しても不思議じゃない状況だったと思う。
2人で作ってきた“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”についても言及するチャンスだってあった。
ただ、口に出したのは21年前、会場に来ていた話だった。
新日本プロレスのレスラーになること。20代のうちに「IWGPヘビー級王者」になること。東京ドームのメインイベントに立つこと。3つの夢にはとても共感できた。
ただ、今回の話はどうだったか。単純にEVIL選手にフォーカスした話でよかったのではないか。
少なくとも聞きたいのは、本当の意味で決別する瞬間だったからこそ何かしらの言葉が欲しかったのだ。
最後の二冠戦。今後への期待
中邑真輔選手がWWEに行ってから爆発的な人気を博した内藤哲也選手はずっと“贅沢な時間”を提供してくれていた。
内藤哲也の狙いって何だ?そんなことをプロレス仲間とコミュニケーションできる。当たった外れたではなく、その時間こそが大切で贅沢な時間だという彼の主張は正論を通り越して、素晴らしい言葉だと思っていた。
ただ、そんな“贅沢な時間”はここしばらくなりを潜めている。
ちなみに最後のサプライズは新日本プロレスファン全員を巻き込むものだった。それが鷹木信悟選手の加入だった。
サプライズではなくとも、試合でバックステージで僕たちをやきもきさせ、妄想を膨らませていたのが内藤哲也選手だった。
敢えて書くが“二冠戦”という失敗を糧とし、今後の新しい仕掛けに臨んでほしい。
今やったら一番盛り上がるのは「G1クライマックス」優勝者は「IWGPヘビー級」の挑戦権利証獲得。
準優勝者は「IWGPインターコンチネンタル」の挑戦権利証を獲得するか「選べる」ルールを導入し、年末年始に掛けて新しい戦いの流れを提案することだと思う。
ただ、こんな期待は軽く超えることを内藤哲也選手は提案してくれるに違いない。
EVILとディック東郷の48日天下に意味を作るのは、これからの王者である内藤哲也選手の動向にかかっているという見方もできるはずだ。
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