上村優也が高橋ヒロムから“ヤングライオン卒業”の太鼓判
上村優也が高橋ヒロムから“ヤングライオン卒業”の太鼓判を押された。
新日本プロレスジュニアを代表する新世代のカリスマと僕がプロレスを見始めてから最高のヤングライオンが「ベスト・オブ・スーパージュニア」で激突した日。
いつかこの公式戦が大きな意味を持つ。そんな気がしてならない。
2020年11月25日に新潟・朱鷺メッセ(新潟コンベンションセンター) で開催された新日本プロレスジュニアの祭典「ベスト・オブ・スーパージュニア」。第二試合で“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”高橋ヒロム選手と“ヤングライオン”上村優也選手が激突した。
この試合、リングに上がった時点から上村優也選手の表情がいつもと少し違った。
少し緊張しているのか?それとも決意の現れか。
この一戦に公式戦以上の何かを懸けているのだけは十分に伝わってきた。
上村優也選手これまでの試合で短期決戦を狙うかのように、いきなり攻めまくる試合もあったが今日は少し違う。
身体をぶつけまくる。いきなり場外でのボディスラム。続いてはブランチャー。最初のフォールではカウントは1で返す。
新日本プロレスを代表する男・高橋ヒロム選手に自分の今をぶつける。
気持ち、技術。“ヤングライオン”上村優也の限界に挑むかのような試合となってきた。
僕をスーパージュニアに出して下さい
元ヤングライオンと現ヤングライオンがぶつかり合う時、言葉にできない独特の雰囲気が生まれる。
対ヤングライオンだからボストンクラブを使うのではない。
そんな技の表面だけをなぞった試合ではなく、過去の自分と対峙し、どこか激励するような雰囲気が漂ってくる。
新日本プロレスの道場で生まれ育ち、気高き獅子の血が流れる者同士にしかできない試合がある。
試合中、高橋ヒロム選手は上村優也選手にこう言い放った。
「お前が出たいって言った『スーパージュニア』だろ?来てみろ?来い!」
ダメージの残る上村優也選手が首元へエルボーを放つと、もう一段階声を大きくして「来い!」と叫んだ。
僕はこの瞬間、涙腺が崩壊した。
あの日、高橋ヒロム選手も「僕を『スーパージュニア』に出して下さい!お願いします!」と何度頭を下げた。
何度も、何度も、何度も頭を下げてサプライズ枠でエントリーを遂げた。
あのサプライズがあって、獣神サンダー・ライガーさんとも激突した。
レジェンドが居ない今、俺が新しい世代の目標になってやるんだ。
そんな気持ちが痛いほどに伝わってくる。
「応援してるぞ!応援してんぞ!オイ!
逆水平を叩き込む。
かつて「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」を制したミラノ・コレクションA.T.さんはこの試合の空気から何かを感じ始めたのか「化けろ!化けろ!」とメッセージを発する。
プロレスラーにしか分からない何かが生まれ始めていた。
ラッキーじゃないんだ!
串刺しドロップキックを正面飛びにアレンジ。高橋ヒロム選手の喉元にぶっ刺した。
更にはボストンクラブ。ただし、高橋ヒロム選手は自慢の脚力でロープエスケープ。
更に上村優也選手はバックドロップからの十字固め。
クロスカウンターのエロボーが決まりチャンスかと思いきや高橋ヒロム選手のトラースキックが炸裂。
諦めない上村優也選手のフロントスープレックスが火を吹く。
あの高橋ヒロム選手が肩で息をする状況になってきた。
ヴィクトリーロイヤルで3カウントを狙うもカウント2。
最後はボストンクラブでフィニッシュ。腰攻めの影響はあまりにも大きく、一瞬でタップアウトを奪った。
高橋ヒロムの本音
試合後のバックステージ。高橋ヒロム選手は上村優也選手へ最大の賛辞を送った。
お前は今日でヤングライオン卒業だよ?と。
ヒロム「(※スケッチブックを手に引き揚げてきて、コメントスペースに座り込み)また、面白い人間が育ったな。俺が知らない間に、育ってたよ。(※スケッチブックの上村のページを見せて)ラッキー今治ボーイ……訂正するよ。ラッキーなんかじゃない。これも実力だ。リングで闘ってわかったよ。俺もはもっと、あいつを見て、あいつとやっていきたい。今日、その闘いだったよ。何をもってヤングライオンというのか、正直わからない。黒パン履いてるからヤングライオンなのか。海外遠征に行けてないからヤングライオンなのか。それとも実力が伴ってないからヤングライオンなのか。違うだろ。ヤングライオンって、そういうことじゃないんじゃないのか。俺から言わしてみれば、何をもってヤングライオンなのか、よくわからない。もし、ヤングライオンかどうかなんてことが他人が勝手に決めていいのであれば、あいつは今日でヤングライオン卒業だと思ってる。それぐらい、俺の中で脅威に感じた。なによりも、俺を楽しませてくれた。ああいう熱いの、好きだぜ。ガンガンやり合いたい。そんなふうに思わせてくれた。感謝するよ。
これはあくまでも僕の仮説だが、これからまだしばらくの間、上村優也選手はヤングライオンを卒業できない。全て外的な要因が理由で、だ。
そんなもんに振り回されて、お前の可能性をヤングライオンに閉じ込めたままでいいのか?
過去、棚橋弘至選手は自分でいきなりヤングライオンを卒業している。前例はあるのだ。上村優也選手がやっちゃいけないことなんてない。
プロレス界で1番になる
そして、上村優也選手のバックステージコメントはこちら。試合後のリング上で高橋ヒロム選手が上村優也選手に贈った言葉が明らかとなった。
上村「(※コメントスペースにたどり着くや、両ヒザを着いて崩れ落ちる。上半身を起こし)今年の『FANTASTICA MANIA』で、忘れもしない。試合後、僕がこうしてコメントしてる時に、ヒロムさんがここまで乗り込んできて、『面白かった。もっとやれ』って言って、今日ようやく、早いか遅いか知らないですけど、シングルマッチをして……全然、俺の力が、上には伝わらなかった。ほかの選手もみんなそうですけど……まあ、やっぱり何でもないです。まだ、公式戦、まだまだ残ってるんで、マイナスを全部、プラスに変えてやります。
あと一つ、ヒロムさん、この前、YouTube見ましたけど、『ジュニア(ヘビー級)で一番獲る』とか言ってましたけど、僕はこのプロレス界っていうこの業界で一番になるために……なるんで、ジュニアとかヘビーとか関係ないです。さっきも試合後、僕が『将来ジュニアでやるか? ヘビーでやるか?』とか言われましたけど、そんなの今の俺にとっちゃ関係ない。ただ、一番になるためには、あなたも、そしてほかの闘った選手、みんな超えなければいけない。まだまだこれから、よろしくお願いします。ありがとうございました」
有言実行のレインメーカー
上村優也選手は階級を超えてプロレス界でトップになることを改めて宣言した。過去、海外遠征前に岡田かずちか(現、オカダ・カズチカ)選手は自分が中心になってプロレス界を変えると語り海を渡った。僕は思わずあの日のコメントを思い出していた。そう、上村優也選手には次世代のレインメーカーとなる才能があるのだ。
(『帰って来てからの決意は?』)俺は新日本の最年少のIWGPの(戴冠)記録、塗り替えるって言ってました。違います。小さかったです。俺が中心になってプロレス変えます!! ありがとうございました」
新世代の若獅子が今、獅子になろうとしている。上村優也選手の今後に期待しかない。
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