グレート-O-カーンが生まれた理由があまりにも素敵過ぎて言葉にできない。

グレート-O-カーンが生まれた理由があまりにも素敵過ぎて言葉にできない。

でも、今の感情だけは書き残しておきたい。そう思って筆を取った。

2021年の東京ドーム大会で新日本プロレスのエース棚橋弘至選手に敗れたグレート-O-カーン選手がその胸中をTwitterで投稿した。

いやね。あんまりこういうこと書くのはアレなんですけど、泣いてるんですよ、僕。今、この瞬間。

分かっていた。分かっちゃいたけど、グレート-O-カーン選手って、やっぱり棚橋弘至選手のことを心から尊敬してたんだなと。

“グレート-O-カーン”は棚橋弘至と戦うために生まれたのではないか。

過去の名前を捨てて、全てを捨てて、自分が太陽だと憧れた男にはなれないと思い、“月”になることを選んだ。

そんな1人の男の物語に朝っぱらから感動してしまった。

 

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出来が悪い不肖だったか?

僕は本人が捨てたと言う以上、過去のグレート-O-カーン選手の姿について触れたくはない。

なので、昔新日本プロレスのヤングライオンにこんなレスラーがいたという話をしたい。

そのレスラーはとにかく強いが派手さに欠けていた。

同期にマッスルモンスターのような男がいたり、柴田勝頼選手以来の高卒ヤングライオンがいたり。少し下の世代を見ればイケメンばかり。

格闘技やレスリングでの実績であれば誰にも負けないはず。ただ、強さだけがプロレスラーの魅力ではないことを皆が知っている。

それだけに彼はどうなるのだろう?とぼんやりと考えていた。

ただ、彼は見えないところでの活躍がすごかった。

彼がセコンドを仕切っていた当時の新日本プロレスはとにかく(会場が)平和だった。

自分はファンに嫌われてでもいいから、みんなが満足できる大会にしたい。そんな気持ちでセコンド業務に向き合っていたのだ。

注意すれば嫌な顔をされる。でも、誰かが嫌われ役を演じなければいけない。

さらにはメインイベンターが登場すれば、写真撮影の邪魔にならないよう大きな身体をサッと低くする。

決して目立たず、誰もがやりたくないことにも取り組んできたことは、新日本プロレスファンであれば皆が知っている。

だから誰が彼のことを「出来が悪い不肖」などと言うものか。

棚橋弘至選手は今のグレート-O-カーン選手に何も言えない。

自分なんかがこんなところで何を言っても響く訳がない。

でも、言いたい。伝えたい。僕が新日本プロレスを応援し始めてから最高のヤングライオンは○○○という今はもうどこにも居ない漢だ、と。

ヤングライオン杯で優勝していないし、壮行試合すらなかった。

そんな彼が今や新日本プロレスの東京ドーム大会で話題を掻っ攫っている。その「今」に膝をついて、心からの拍手を送りたい。

 

2019年の東京ドーム

新日本プロレスの分岐点は2019年の東京ドーム大会にあったと僕は思っている。

リング上で繰り広げられるアスリートプロレスは、観る者を魅了する一方で怪我という大きな問題に直面していた。

身体能力を武器にとにかく危険な技を乱発し、ファンへ刺激を与える。

プロレスにおけるヘビーフェイスやヒールという概念すらぶち壊し、一点攻撃というお作法すらも無視して、激しい試合でファンを獲得していく。

そんな動きに待ったを掛けたのが棚橋弘至選手だった。

彼は自分の全てを懸けて「棚橋プロレス」を世界中に発信した。

その結果、危険(過ぎる)技が減った今の新日本プロレスがある。

刺激という意味で言えば2017〜2018年の方が強い。ただ、それ以上に心で魅せるプロレスがトレンドになってきた。

ベビーフェイスとヒールの構図だって戻ってきた。

棚橋弘至選手の側にいた漢が、そんな未来を予見して2018年6月30日からグレート-O-カーン選手が誕生したのは決して偶然ではないのだと今は思う。

 

棚橋弘至・最終章

グレート-O-カーン選手は棚橋弘至選手の最終章に現れた最後の月だ(大丈夫。ライガー最終章は結構長かった)。

彼との抗争が無ければ、今回棚橋弘至選手は東京ドームでスペシャルシングルマッチを戦うことはなかったはず。

かつて新日本プロレスのエースが照らした漢は、今や新日本プロレスに欠かすことのできない男になった。

この日負けたからこそ、勝った時のドラマが大きくなる。帝国の侵略はこれからはじまるのだ。

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