なぜ、オカダ・カズチカは上村優也にドロップキックを見舞ったのか?

なぜ、オカダ・カズチカは上村優也にドロップキックを見舞ったのか?

新日本プロレスの象徴であり、「IWGPヘビー級」V12を達成した史上最強の“先輩”がこの日、ヤングライオンを卒業する上村優也選手の相手だ。

「まだ、まだ、まだ、まだ!」

何度も何度も何度もボディスラムで叩きつけれる音が響く。

「来い!来いよ!」 エルボーを2発受ければ3倍の力で返す。

カウント2すら許さない。それほどに“レインメーカー”と“ヤングライオン”の格は違う。

そうレヴェルが違う。

オカカズチカ選手が入場した時に清野茂樹アナウンサーが発した言葉でハッとした。

「オカダ・カズチカが“レインメーカー”となってから第一試合に出場するのはこれが初です」

岡田かずちか壮行試合以降、彼はただの一度も第一試合に出場することはなかった。

「俺が中心になってプロレス変えます」と言った約束を守り、プロレス界の中心にど真ん中に立った男が“ミライ”のためにこれまでの歴史を崩したのだ。

第一試合、辻陽太選手VS内藤哲也選手ではなく、第一試合、上村優也選手VSオカダ・カズチカ選手になったのは確実に何かの意図があると思うのだ。

 

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オカダ・カズチカ、第一試合に出場。

鼻息荒く上村優也選手が目の前に立っても全く眼中になし。

いやいや、顔じゃないでしょ?そんなスタンスを全く崩さなかった。

今日が壮行試合や◯番勝負でなければ格が違いすぎて、絶対に組まれることのない対戦カード。

しかし、数年後にはとんでもない価値を生むプラチナ

試合の序盤、オカダ・カズチカ選手は足関節、ヘッドロックと基本技でぐいぐい上村優也選手を追い込んでいく。

試合中盤、ボディスラム、フライングメイヤーを繰り返す。

上村優也選手は何度も何度も受け身を取らせる。

痛みに軋む顔を横目に“可愛がり”を続けるその顔はとにかく厳しい。試合というよりも「道場」でお前が学んできたことの復習をしているような雰囲気にも見える。

ただ、僕の目にはこうも映っていた。

3年4ヶ月頑張ってきたお前だから、オカダ・カズチカとの壮行試合までたどり着いたのだ、と。

俺はずっと厳しい環境に身を置いてきた。

中学を出てからプロレスしか知らない自分。

自分にはプロレスしかない。だから上に行くしかない。いわゆる大卒の連中とはハングリー精神が全く違う。

ウルティモ・ドラゴンの寵愛を受け、野毛道場で獅子の血を受け継いだ“金の雨を降らす男”。

彼が近年のヤングライオン最高傑作とまで呼ばれた上村優也選手との壮行試合で見せたのは、今の自分と若獅子の間にどれほどの差があるのかをまじまじと見せつけることだった。

全く息をあげることなく試合終盤へ。

ドロップキックや閂スープレックスなどを単発で決めるも“レインメーカー”を焦らせることすらなかった。

ショートレンジのラリアットを2発。ここで上村優也選手は完全にグロッキー。

コブラクラッチで試合が終わった時、ツームストン・パイルドライバー、そしてレインメーカーまでたどり着けなかったと思った。

 

餞別のドロップキック

これが今の上村優也選手の実力なのだ。

試合後、「立て!立て!」と上村優也選手に声をかけた。

立ち上がせて何をするかと思いきや、上村優也選手のためだけに、“世界一のドロップキック”は披露。

明らかにファンのために放った一発じゃない。上村優也選手のためだけに見舞った。

これが世界一。これがホンモノだ。これを忘れるな。絶対に忘れるな。

お前が3年歯を食いしばりながら生き抜いたセルリアンブルーのリングはm世界一のリングなのだ。

だから負けんなよ!新日本の看板背負って生き抜けよ!そんな気持ちのこもったドロップキック。 金の雨が降るドロップキックは、上村優也選手の発射台となるはずだ。

オカダ・カズチカ選手はウィル・オスプレイ選手やジェイ・ホワイト選手を“CHAOS”にスカウトした実績を持つ名スカウターだ(両者ともに裏切り、別ユニットのトップに立っているという意味でも)。

上村優也選手は帰国後、どのユニットに入るのか。そういった意味でも、オカダ・カズチカ選手の手腕が発揮されるかもしれない。

 

レインメーカー式海外修行

そして、バックステージでオカダ・カズチカ選手は海外遠征に対する持論を述べた。

強くなるために海外へ行くのではない。

デッカくなるために海外へ行けと。だから、楽しめ。

色んなリング、色んな人、色んなもの、色んな景色がこれから上村優也選手を待つ。

彼は以前のインタビューで色んな国に行きたいと語っていた。

デッカい男になって帰ってきて欲しい。

それが今の1番の楽しみだ。

まあね、オレから海外遠征の秘訣というものを言わせてもらえば、楽しんでよ。別に強くなるだけだったら海外に行く必要はないんだよ。でもさ、海外で何が生きるって、その国の対戦相手と戦うことであったり……まあそれも別にこっちで外国人選手と戦えば、外国人選手に学べば日本でも十分強くなることはできる。ただ、海外に行くことによって、いろんな人と触れ合って、いろんなものと触れ合って、それで新しく自分の感性を磨いて、そういうものがプロレスに出てくるから。レスラーってさ、人生が投影されるもんだと思っているから。これは海外で凄い大事なことなんじゃないかな。もちろん海外に行けば差別だってあるよ。ここ日本にいれば感じられないようなことだってあるよ。新日本プロレスだから守られるものもあるだろうし、新日本プロレスというものがなければ誰にも守ってもらえないような状況なんで、そこはハングリーでいてもらって。この新日本プロレスのこの状況で海外に行って、ハングリーさまではないと思うよ。でも、そこを持てるかどうかが凄い大事なことだと思うし、君たちはこうして壮行試合を終えてしまうと、『ヤングライオンだから』という言い訳は通用しなくなるから。『ヤングライオンだから負けてしまった』、『ヤングライオンだから……』っていうのはもうないからね。もう人間で言えば大人になったのと一緒だよ。誰ももう面倒は見てくれない。自分の足でしっかり立って、しっかりと踏みしめながら、まあ海外遠征頑張ってよ。

成功する人もいれば成功しない人もいるし、それはしょうがない。プロレスの世界だから。甘くないから。特にこの新日本プロレスではね。まあ、頑張ってよ、新日本プロレスを盛り上げられるように。まあ、オレほどにはならないと思うけど、期待して待ってます」

出典:新日本プロレス

 

上村優也の夢

そして、上村優也選手は自分の夢について語った。

可愛い顔したビッグマウス。だから僕たちは期待してしまうのだ。

さらば、上村優也選手。次にこの名前であなたは最高の“ヤングライオン”だった。

上村「(がっくりとひざまずいて)最後の最後まで、さんざん今まで生意気言っておきながら、先輩に勝つことができなかったっす。(立ち上がって)でも、プロレス人生はまだまだこれからです。今日戦ったオカダさん。正直、カッコいいし、尊敬もしてます。でも、リングに立ったらそんなの関係ないんで。時間はかかるかもしれないですけど、必ずシングルマッチでリベンジします。

あと最後にもう一つ大きいことを言わせてもらいますけど、チャンピオンになるとかそんなのはレスラーやってたら当たり前で、オレの夢というか目標は、今世の中ちょっと元気がないかもしれないですけど、その分、オレたちが元気出して、プロレスで世界中を明るく元気にしてやります。これをやりきる自信は……自信しかないんで! これはボクのプロレスキャリア全部懸けてでも、絶対に成し遂げます。ありがとうございました。またお願いします」

出典:新日本プロレス

 

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