渋谷のハロウィン問題と新日本プロレス観戦マナーの類似性
日本でハロウィンが一大イベントとなり数年が経った。その経済効果は1240億円といわれており、2016年にはバレンタインの経済記録を抜いた。
また、2018年のイッテンヨンに僕の“パレハ”たちと足を運んだ際、
たが、加熱する新しい文化に対し水を差すような出来事が起こっているのも事実としてある。
2018年10月27日深夜から28日未明にかけて東京都渋谷で目を疑うような事件が起こった。
軽トラックが横転。盗撮や痴漢などの被害より5人の逮捕者が出たという。
なぜ、このような事態になってしまったのか。そして、この事件を受け規模は違えども、嘆かれ続けているのが、新日本プロレスの観戦マナーである。
この2つの類似性についてここにまとめてみたい。
個と集。盛り上がることと羽目を外すことの違い
多くの人々が一箇所に集まると、価値観の違いから問題が発生する。これは、企業であり学校でありサークルであり、どのような人間関係の輪においても共通の出来事である。
こういう言い方は好きではないが、とりわけ日本人は周囲に流される印象が強い。
そして、輪から外れた人間の強弱によって大きく反応が変わる。
強者であれば従い、弱者であれば踏みにじる。
個が集まることで集団となる。この集団というものが非常に難しい。
それは価値観のリミッターを外してしまいやすくなることだと思う。簡単に言えば羽目を外し過ぎるのだ。
今回のハロウィンの一件もそう。10人前後のグループが盛り上がっているだけであれば、軽トラックの横転までの問題を起こしただろうか。
おそらくNOだ。周りが加熱している。自分たちもあれくらいやっても大丈夫。この繰り返しが大きな渦となり、やがて大きな問題になるのだ。
スポーツ観戦の文化
日本のプロ野球やJリーグを見てみると、応援団(サポーター)という存在がある。同じチームを応援するファンたちが集うことでチームをより盛り上げる。
声援を重ね合わせることで選手に勇気を届ける。そのため試合が終わった後の選手たちが感謝の気持ちを伝えに行くのが定例となっている。
ちなみに全日本女子プロレスにも親衛隊が存在した。
この仕組みは新しいファンの人でもこうやって応援すればいいのか?という例を示すものであり、帰りはゴミを拾って帰るなどマナーを伝える上でも素晴らしいと思う。
ただし、海外では加熱したサポーター同士がフーリガンと化し、激戦を繰り広げることも珍しくない。
集団と集団は影響を受けやすい。信じるものが違えば争う。ノーサイドの精神があれば、試合中にファン同士が白熱することは悪いことだとは思わないのだが。
新日本プロレスの観戦マナー
では、現在の新日本プロレスの観戦マナーはどうだろうか。
ここからは僕の持論になるので、もしも気に障ってしまう方がいた場合は申し訳ない。
会場での観戦について思うこと
正直、最近観戦に行くと動画の撮影や応援・ブーイングという“声援”ではなく、心ない声を聞くことが珍しくない。
また、2018年のイッテンヨンに僕の“パレハ”たちと足を運んだ際、目の前の通路で騒いでいる方にやんわり注意した際、逆に怒鳴られたというエピソードがあった。
理不尽な経験は会場から足が遠のくことにつながる。
であればこう思ってしまうのだ。『新日本プロレスワールド』でいいやと。
的確かつ愉快な実況を聴きながら好勝負を見る。場所や時間も選ばずに観戦できるため、非常に利便性が高いし、心ない大声が聞こえて来なければ気分を害することもない。
インターネット普及前にはなかった楽しみ方が生まれ、人によってはこちらでの観戦を好む方もいるだろう。
少々話は逸れるが、最近の『新日本プロレスワールド』は、地方大会の固定カメラ、実況なし配信が激減した印象を受ける。
僕の仮説では、配信コストと再生数が見合わないためだと思う。会員継続、会員獲得に見合わないものはやめて、新しいところに投資する。
企業としては全うな判断であると思う。
リアルの感動に勝るものは無い
勿論リアルの場で感じる感動は、映像を通じて見るものに勝てない。
2017年のG1クライマックス27に柴田勝頼選手が姿を現したことや2018年10月のロッポンギ3K凱旋、2018年イッテンヨンのオカダ・カズチカ選手VS内藤哲也選手の一戦、2018年10月の鷹木信悟選手の登場など同じ空間にいたからこそ伝わる熱は心に残り続けている。
だが、その度に心ないファンを見てガッカリした気持ちになるのも事実だ。僕は基本的に動画撮影をしている方をやんわり注意するタイプだ。
理由は簡単。新日本プロレスがはっきりとNGと提示していることにある。
写真はSNSで拡散してほしい。ただ、動画撮影はNG。
『新日本プロレスワールド』やBlu-rayなど各種試合は商用として二次利用される。大人であればそれくらい理解できるだろう。にも関わらず撮影しているのは、大人ばかりである。
観戦マナーの打ち手
プロレスの楽しみ方は先にあげたプロ野球やJリーグとは全く異なる。現在の新日本プロレスで各ユニットに応じた応援団や親衛隊を設けるのは現実的に不可能だろう。
何故ならば、多くのファンが新日本プロレス全体を推しているためだ。
では、どうすればマナー向上につながるのだろうか。この命題に対して、踏み込んでみたい。
まずは、選手からのメッセージ配信だ。推している選手がNGを強く訴えることで、多少の変化はあると思う。
次に必要なのが注意する土壌作りだ。これに関しても、選手が動画などで注意して欲しいと喚起することで状況は変わると思う。
最後に、心ない罵声。これが一番の課題だ。
ブーイングと罵声。この境界線は非常に難しい。価値観や生活環境で言葉は大きく変わることから、規制も難しいと思う。
では、一体どうすればいいのだろうか。非常に厳しい判断になるが、運営への通報しかないと思う。
非常に心苦しい判断がここにはある。ボーダーラインも人によっては異なるし、以前の新日本プロレスでは許容されていた範囲であるためだ。
だが、僕はある懸念から徹底した対策を取る必要性も感じている。
新日本プロレスが終わる日
僕が最も懸念しているのが、違反行為を行わないファンたちの会場離れだ。
一部の人間が羽目を外した結果、会場ではなく『新日本プロレスワールド』の優先順位が一番になる。これが最も由々しき事態だ。
プロレスは会場に集まったファンがいなければ成立しないためだ。
大人な観戦を
渋谷で巻き起こったハロウィンの一件をニュースで見た時にどう感じたか。この視点が大切だ。
おそらく「無い」と感じたのではないだろうか。規模は違えど、マナーやルールを守れていないという意味では新日本プロレスの観戦マナーも同意義である。
大人として羽目を外しすぎない。“酔っ払わず”にプロレスを純粋に楽しむ。こうした観戦マナーが必要なのではないかと思う。
前述した通り、プロレスの試合にとって観客は必要不可欠な存在である。遠い未来、動画を撮影し続ける人、罵声だけを飛ばす人だけが集まる会場にならないことを心から願うばかりだ。
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