内藤哲也選手はザック・セイバーJr.選手に勝てるか?追われる側にアジャストする難しさ

2018年11月3日に開催される『九州三国志 presents Road to POWER STRUGGLE ~SUPER Jr. TAG LEAGUE 2018~』で内藤哲也選手とザック・セイバーJr.選手のスペシャルシングルマッチが行われる。

2018年、内藤哲也選手にとって、鈴木軍ひいてはザック・セイバーJr.選手との試合は鬼門だ。

『ニュー・ジャパンカップ』 では一回戦負けという屈辱を喫し、『G1クライマックス28』はこの試合に勝てば優勝決定戦に進出というところで、活路を絶たれた。

ベルトを超えた価値を発揮し続けてきた内藤哲也選手にとって、ザック・セイバーJr.選手は3年連続プロレス大賞の道を遮った天敵だと言えるだろう。

1年間に亘る因縁に決着をつける戦いが迫る中、ある疑問が僕の中に沸いた。

内藤哲也選手はザック・セイバーJr.選手に勝てるのか、と。

2試合連続で完封負けを喫した相手にひさくなしに勝てるとは思えない。また、ただ勝つだけでは意味がない。

追われる立場の戦い方で勝利を掴まなければならないのだ。

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2018年の内藤哲也選手

「2018年の内藤哲也選手の試合で好勝負を挙げてみて?」と言われると、ある共通点が浮かび上がってくる。それは、対戦相手の方が輝いて見えるということだ。プロレスは勝敗を競うだけのジャンルではない。勝敗と優劣という2つの軸からファンは勇気と感動を受け取る。

試合を作っていれば素晴らしいというわけではない。勝利を掴めばいいというものでもない。この目線で内藤哲也選手を考えてみると、週刊プロレスのインタビューに全てが書いてあったように思う。

2015年に結成した『ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン』は反体制側にあり、常に誰かを追う側にあった。棚橋弘至選手やオカダ・カズチカ選手などてっぺんにいる“奴らに気づかせろ”と言わんばかりに、新日本プロレスの景色を塗り替え、圧倒的な支持率を手に入れた。

だが、追う側から追われる側になった時、歯車が狂ってきた。僕はそう感じている。

夢だった東京ドームメインイベントの花道を歩いた瞬間から全てが変わった。2018年、内藤哲也選手は完全に追われる立場となったのだ。

 

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レッスルキングダムでメインイベントを飾った人数

追われる側に立つ心境は計り知れない。対戦相手からも確実に一目置かれた状態になることは明白である。そのデータとして、『WRESTLE KINGDOM(レッスルキングダム)』のメインイベントを歩いた(ダブルメインなどは除き、最後の試合に登場した人物だけを記載する)プロレスラーを並べてみよう。

  • 蝶野正洋選手
  • 武藤敬司選手(2回)
  • 天山広吉選手
  • 小島聡選手(2回)
  • 中邑真輔選手(3回)
  • 棚橋弘至選手(8回)
  • 高山善廣選手
  • 鈴木みのる選手
  • オカダ・カズチカ選手(5回)
  • ケニー・オメガ選手
  • 内藤哲也選手

『WRESTLE KINGDOM(レッスルキングダム)』という名称になってから、最後の花道を歩いた選手は11人しかいない。IWGPヘビー級V10の記録を持つ永田裕志選手ですらあの体験したことがない世界だったのだ。

週刊プロレス 2018年 10/17 号 [雑誌]

週刊プロレス 2018年 10/17 号 [雑誌]

 

追われる側の戦い方

追われる側になったプロレスラーは若干戦い方が変わってくる。オカダ・カズチカ選手が最も顕著に変化したのは、自分の間で相手の技を受けつつ、少ない技で的確に大きなダメージを与えていくことだろう。

アントニオ猪木氏が推奨した風車の理論は、相手のいいところを8〜9引き出して10で勝つというものである。現在の新日本プロレスで最もこの理論に当てはまるのがオカダ・カズチカ選手だと言える。

では、内藤哲也選手はどうだろう。“制御不能”となった後に増えた技は必殺技のデスティーノとラフ攻撃のみ。トランキーロな間を取る試合運び以外は“スターダスト・ジーニアス”時代と大きく変わっていないのだ。

2018年、内藤哲也選手は鈴木みのる選手と2度のシングルマッチを戦っている。この2試合は見る人によって非常に評価が分かれるものとなっていた。

内藤哲也選手はとにかく鈴木みのる選手の技を受け続け大逆転で勝利を収めた。従来あった内藤哲也選手の面白さが凝縮されていたかと言われると、毛色が違うものになっていた。

 

受けの天才

改めて内藤哲也選手のプロレスラーとして優れている点について考えてみたい。内藤哲也選手の試合が圧倒的に面白いのは技の受けの素晴らしさにある。相手の技を美しく受けつつ、自分のダメージを最小限に抑える。受けに内藤哲也選手のプロレスラーとしての価値が詰まっていると感じている。

では、なぜ鈴木みのる選手とザック・セイバーJr選手との試合に対して賛否両論が巻き起こるのだろうか。

僕の見解では、「痛みが伝わりすぎる」という点にあると思う。内藤哲也選手は右膝に2度もメスを入れている。次に同じような怪我を終えばプロレスラーとしてのキャリアは終わってしまうかもしれないのだ。

鈴木みのる選手とザック・セイバーJr選手の関節技は見ているだけで絶句するほどの痛みが伝わってくる。ここに内藤哲也選手の「ガラスの膝」が加わることで、痛々しいを通り越した悲痛が生まれてしまうのだ。

ケニー・オメガ選手や飯伏幸太選手のように派手な技を駆使する選手とは、追われる側の試合が展開できても、鈴木みのる選手やザック・セイバーJr選手にはアジャストすることができていない。2018年の内藤哲也選手に好勝負が少ないのは、この要因がある気がしている。

内藤哲也選手は“ガラスのエース”ではなく、“制御不能のカリスマ”となった。2018年も終盤に差し掛かった今だからこそ、追われる側の戦い方でザック・セイバーJr選手を乗り越えなければいけないのだ。

内藤哲也選手はザック・セイバーJr.選手に勝てるのか。衝撃の試合は明日だ。

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