なぜ、EVIL選手はザック・セイバーJr.選手に勝てないのか?

なぜ、EVIL選手はザック・セイバーJr.選手に勝てないのか?その答えについて今回は考えてみたい。

新日本プロレス タッグチームの祭典『ワールドタッグリーグ2018』の大一番がやってきた。

2018年11月25日の愛知・愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)大会は第5試合を除いた全てが公式戦という豪華なカードが並んだ。

様々な好勝負が生まれた今回の興行で一際興味を誘ったのが、メインイベント・EVIL選手&SANADA選手VSタイチ選手&ザック・セイバーJr.選手の一戦。

クリス・ジェリコ選手の乱入により、有耶無耶となりつつあるが、秋から続くEVIL選手とザック・セイバーJr.選手の因縁は、「名前を付けて保存」されたままだ。

また、世代は違えどSANADA選手とタイチ選手は全日本プロレスで生まれ、育った選手である。

運命の一戦の解説席には、ミラノコレクションA.Tさんとエル・デスペラード選手が招かれた。

試合前に行われた撮影会ではタイチ選手とザック選手の前に250人の列が出来た。これは新日本プロレスの新記録だという。

準備は整った。さぁ、どんな試合が繰り広げられるのだろうか。

 

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ザック・セイバーJr.真の個性

まず、『ワールドタッグリーグ2018』公式戦の結果はタイトルに記載した通りだ。前回大会の覇者であり、今大会も全勝街道を走っていたEVIL選手・SANADA選手が敗れてしまった。

試合内容でもタイチ選手&ザック・セイバーJr.選手の貫禄勝ちと言ったところだろう。『ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン』の2人は局地的に上手さと強さを発揮したが、全体的に乗り切れるず勝利を掴むことができなかった。

試合後、エル・デスペラード選手はこう言い放った。

「EVILはザックに何回負けてんだよ。(ザック選手)を関節技だけだと思ってんだろ?だから勝てねぇんだよ」

僕はここにザック・セイバーJr.選手攻略の糸口があるように思った。

怖いのは関節技ではない

サブミッションマスターによる関節技は、あらゆる確度から凄まじいスピードで入ってくる。対峙していると何が何だか分からない内にキマっている。そんな感覚なのではないだろうか。

だが、ザック・セイバーJr.選手が本当に恐ろしいのは関節技ではない。勿論、打撃でも一撃必殺・ザックドライバーでもないと、僕は考えている。

“英国の匠”が最も怖いのは、相手がペースを掴めない、掴ませない。ストロングポイントを消す点にあると思う。

ザック選手に負けた選手の多くが「完封負け」を喫している。これは“キャッチ・アズ・キャッチ・キャン”にアレンジを加えた“ランカシャースタイル2.0”に対応できなかったためだ。

レスラーには個性が大切だ。相手によって戦い方を変えることが美学に反する選手もいるだろう。ただし、この時だけは戦い方を変えなくてはならないのだ。

 

SANADA選手と内藤哲也選手

SANADA選手は『G1クライマックス28』で、内藤哲也選手は大阪でザック選手に土を付けた。

まず、SANADA選手の試合から振り返ってみたい。ザック選手のフィールドで戦い、勝利した。これにはある理由があると僕は思っている。それは天才たる所以なのか、プロレス脳がそうさせるのか、僕には判断できないが、SANADA選手は自分の軸を持ちつつ、相手の土俵で試合をすることに慣れきっているのだ。

誰とやっても相手の試合になる。だが、相手に波長は合わせつつもその土俵で同じかそれ以上のプロレスを見せつけてくる。

ザック選手との一戦もそうだった。試合はほぼグラウンドで展開され、丸め込みで勝利を掴んだ。

いい意味で相手を選ばない。ザック選手の前に霞んでしまうはずの個性がSANADA選手にはない。だからこそ、勝利を掴めたのだと思う。

でrは、内藤哲也選手はどうか。『ニュージャパン・カップ』、『G1クライマックス』と連敗。さらに内容的にも「完封負け」という状況だった。

だが、3度目の正直で勝利を掴んだ。このリベンジにも当然のように理由があった。

徹底的なザック・セイバーJr.対策である。

試合の大半をコーナーロープ付近で行う。これは関節を取られてもすぐにロープブレイクするためだ。また、関節技のキッカケになる技を極力使わなかった。少ない手数で仕留めに掛かったのだ。

良いところが潰されるなら、良いところを出さなければいい。もともと、アニマル浜口道場でグラップリングを学び、高い評価を受けていた自身のグラウンドテクニックが通用しないのであれば、それすらも捨てる。全ては絶対に勝たなくてはいけない勝負で、勝つために選んだ手段だ。

背水の陣で挑んだ試合だけに敗北は許される訳がない。だがかこそ、内藤哲也選手は自分の個性を消す戦法で勝利を目指したのだ。

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では、EVIL選手はどうだったのか。ここから『ワールドタッグリーグ2018』公式戦の話へ移る。

試合前から術中にハマっていた

ザック・セイバーJr.選手はゴングが鳴る前からEVIL選手に突っかかっていた。分かっていたのだ。冷静さを失ったEVIL選手ほど楽な相手はいないことを。

ザック選手は無差別級の舞台で成果を残し続けてきた。つまり、パワーファイターとは戦い慣れているのだ。自分よりもパワーがあるのは当たり前。ふっ飛ばされるのも当たり前。では、どうすれば隙が生まれるのか、どこを痛めつければ試合結果に影響が出てくるのか。

こうした点を熟知しているからこそ、猛者揃いの新日本プロレスで結果を残すことができたのだ。

試合開始当初からタイチ選手と2人掛かりでEVIL選手の右腕を強襲する。最後の最後まで、だ。

 

孤軍奮闘。2対1では相手悪い

爆発力と負けん気の強さ。これが闇の王の魅力である。ただ、この2つがザック選手と非常に相性が悪い。

もがけばもがくほどに絡む糸のように崖の下まで落ちてしまうのだ。

常にクールなSANADA選手はその状況を見越して、試合を一旦区切ろうとした。

ほぼノーダメージの状況でパラダイス・ロックを繰り出したのはこれが理由なのである。

だが、そう簡単に捕まるザック選手ではない。あえなく撃退され、試合は膠着状態へと進んでいった。

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合体技炸裂。死角なし

昨年の覇者もやられっぱなしという訳ではない。高速のコンビネーションやマジックキラーなど、確かな見せ場は作った。

だが、決め切らない。マイクスタンドでSANADA選手をノックアウトすると、試合はEVIL選手とザック選手の一騎打ちへ。

ダークネス・フォールズを決め、繰り返し“EVIL”を狙うも切り返しあう。最後は合体技の「天翔ザック・ドライバー」の前に『ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン』の全勝街道は終わりを告げた。

 

どうすれば勝てるのか?

ザック選手の前に敗れ続けているEVIL選手。勝利を掴み、優勝へ弾みをつけるどころか右腕に大ダメージを負い、これからの試合にも影響が出る結果となってしまった。

では、どうすればEVIL選手はザック選手に勝つことができるのだろうか。

まずは、内藤哲也選手のように徹底したザックシフトを引くことだろう。

ロープ付近で試合を進め、確実にダメージを残していく戦法だ。

だが、それは果たして“ダークネス・ワールド”なのだろうか。闇の王が勝利のためにスタイルを崩す。勝負に徹すると言えば聞こえはいいが、何か大事なものを失う可能性も考えられる。

では、どうすればいいのか。相手の土俵に乗り、受けきり、勝ちきった選手が1人だけいる。オカダ・カズチカ選手である。

この試合の大半もザック選手のペースだったが、変形式レイン・メーカーで勝機を掴みとる形となった。

EVIL選手にも左での“EVIL”という引き出しがある。また、髙橋ヒロム選手が勝てなくなった時にはDやDの悪夢という新技を繰り出し、再浮上を実現した。

今こそ、EVIL選手にも新技が必要な時期なのではないか。日本人離れしたパワーで相手の動きを封じる闇の王に相応しい新技が。

EVIL選手とザック選手の因縁はおそらく2019年まで続くことになるだろう。

次のシングルマッチでどんな世界が広がるのか。闇の中のさらに深淵にある景色を僕は期待したい。

『ワールドタッグリーグ2018』ついてはこちらのランキングに入っている人気ブログでも言及されているので、ぜひチェックいただきたいところだ

→『ワールドタッグリーグ2018』の星取表はこちらから

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