チャッキーT選手の狂気に僕が恐怖を覚えた理由

チャッキーT選手の狂気。僕はその瞳に映る影に圧倒的な恐怖を覚えた。今回はその理由について考えてみたい。

下馬評の通りにいかないのが、新日本プロレスの面白いところだろう。開催前の空気とは異なり大きな盛り上がりを魅せている『ワールドタッグリーグ2018』。

オカダ・カズチカ選手、棚橋選手選手、内藤哲也選手、ケニー・オメガ選手や現在、シングルベルトを戴冠している後藤洋央紀選手、クリス・ジェリコ選手、Cody選手が不参加という状況を忘れていしまうほど熱の高い好勝負を連発している。

そんな新日本プロレスヘビー級タッグの祭典で、一際注目を集めている選手がチャッキーT選手だろう。

棚橋選手選手とオカダ・カズチカ選手のドリームタッグがお披露目となった当日、“ベストフレンズ”として爽やかな笑顔を浮かべていた彼は豹変した。引き金となったのはトーア・ヘナーレ選手のヘッドバット。新日本プロレスのリングでは珍しくない光景である。ただ、彼は急にキレた。その瞳に狂気の色を浮かべて。

完全なる狂気――。

近年の新日本プロレスで狂気を纏ったレスラーと言えば、中邑真輔選手、飯伏幸太選手、そしてジェイ・ホワイト選手だ。

試合中に突如として目の色が変わる。ただし、中邑真輔選手、飯伏幸太選手についてはそれぞれが磨き上げてきた総合格闘技とキックボクシングスタイルでの戦いを魅せていた。つまり、怒ることでファイトスタイルがより相手を叩き潰すスタイル、プロレスというジャンルからオーバーラップした戦い方になるのだ。

ジェイ・ホワイト選手の“狂気”は少々異なる。彼の場合は、徹底的にダメージを浴びた後に笑みを溢すなどファイトスタイルが変わるというよりも、どこまで底があるのか見えなくなるといった意味での狂気だ。実は急にキレて何をするか分からないということは、ほぼないのである。

では、チャッキーT選手はどうか。

椅子、テーブル。凶器攻撃を連発。何をするか本当に分からない。バレッタ選手が戸惑うのも無理はない。本当に何をしでかすか分からないためだ。

 

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狂気とは何か

実はアインシュタインは発していなかったが、彼を通じて広がった有名なフレーズがある。

狂気とは即ち、同じことを繰り返し行い、違う結果を期待すること

出典:ギズモード 

ただ、世間一般で使われるいわゆる“狂気”とは気が狂っていることを指すと思う。あるいは何かのキッカケに正気を失い、気が触れて暴れまわっている様子とも言うだろうか。

僕はチャッキーT選手を見ていて、直感的に恐怖心を感じた。正直、鈴木みのる選手のことは怖いし、KESも怖い。あれだけの体躯のプロレスラーが暴れまわっているのだから、プロレスというルールのもとで戦っていると理解しても肝が冷える瞬間が度々ある。

ただ、チャッキーT選手は少々毛色が違った。ここにはキレる(狂気)と怒りの違いがあると思う。

 

キレる(狂気)と怒りの違い

相手に与える影響が、怖いとビビるの違いとも言えばいいのだろうか。僕はこの2つは明確に違うと思っている。

怒りに関しては明確に原因がある。誰かに自分が我慢できない何かをされた。その結果、溢れ出る感情が怒りという方向で爆発する。

アントニオ猪木氏は「ストロングスタイルとは怒りや生の感情を落とし込むもの」と語った。

つまり、そこには明確な感情があると思うのだ。石井智宏選手と鈴木みのる選手の『ブリティッシュヘビー級選手権試合』などはまさに「ストロングスタイル」の一戦に当てはまる。オカダ・カズチカ選手と柴田勝頼選手の『IWGPヘビー級選手権試合』もそうだろう。

怒りや生の感情。その全てをリングで吐き出す。中邑真輔選手クネクネし始めたこともここに起因しているという。

ただし、キレるは怒り(ストロングスタイル)とは大きく異なる。キレるはある意味で無感情に近くなると思うのだ。

感情をなくす。理性がなくなる。だからこそ、何が起きるか全く分からない。

チャッキーT選手が変貌した瞬間にレフリーは全ての試合を反則負けとしている。新日本プロレスにおいて反則負けが起こるのは、かなり珍しい。

『BULLET CLUB OG』時代のタマ・トンガ選手やバットラック・ファレ選手はかなりの確率で反則負けとなっていた。これはユニットメンバーの介入という明らかに分かる反則要素があった。

『鈴木軍』も凶器攻撃を行っているが、反則負けにならないレベルで効率的にダメージを与える“手段”として選択しているにすぎない。

チャッキーT選手については、本当に試合を壊す可能性があると感じるため、レフリーは反則負けのジャッジを下すのだと思う。

狂気包まれた結果、ヒトはどうなるか

新日本プロレスには狂気に飲まれてしまい理性を失ったレスラーが1名いる。『鈴木軍』飯塚高史選手である。

「善良だったころの飯塚高史の魂は等々力のほこらに封印した」これは、まだ会話ができる時代にインタビューで自身が語ったメッセージである。

チャッキーT選手はまだ二重人格に近い状況だと思うが、この状況が加速すると想像もつかない展開がまっているように思う。

 

チャッキーT選手に恐怖を隠せない理由

僕がチャッキーT選手のことが怖いと思うのは、凶器攻撃でも反則技でもない。瞳の色である。相手を壊してもいい。もうどうなってもいいや。そんな影に落ちた目の色をしているのである。

普段は気のいいマイトガイ。酒場で足を踏まれて、いきなりキレて暴れまわった挙げ句、知り合いが来ると笑顔で対応する。

そんな“急変”に人は恐怖と戸惑いを隠せなくなってしまうのだ。今、『ワールドタッグリーグ2018』に出場している選手でこれから対戦カードが組まれる相手はチャッキーT選手をマークしてくるだろう。負傷欠場などしたらたまったものではない。

ただ、最も恐怖を覚えるのは最高の友だちの隣人・バレッタ選手なのかもしれない。

試合をボイコットするわけにもいかない。ただ、隣人は何をするか想像もできない。優勝候補のペースで白星を重ねていたにも関わらず、反則負けで2敗も喫してしまった。

ファンから見ても「どこがベストフレンズなのか」と思ってしまうほどの展開。『CHAOS』に参加している“ガイジン”レスラー。そのイメージを“狂気”という内面の変化だけで成し遂げたチャッキーT選手。彼は今後、どこに向かって歩むのだろうか。

そんな彼のWikipediaを見ると戦慄が走った。現在、32歳。16歳でプロレスラーとしてデビューし、これまでのリングネームは数え切れないほどだったのだ。

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ジェイ・ホワイト選手からのスカウト

新日本プロレスのアメリカ大会で矢野通選手とチャッキーT選手がタッグチームを結成した際、ケニー・オメガ選手と同等の歓声が二人に注がれた。

アメリカでは人気と実力を兼ね揃えた選手であることは分かる。ただ、新日本プロレスでは、もう一歩が欲しいと僕は思っていた。

そんな時に表面化した彼の狂気。ある意味で現在の『CHAOS』にはマッチしない個性でもある。ジェイ・ホワイト選手、外道選手、邪道選手がいなくなった今、『CHAOS』に分かりやすいヒールレスラーは存在しないためだ。

早速、ジェイ・ホワイト選手はTwitterでスカウト行為を行った。新日本プロレスで新しい可能性を魅せている選手の100%を自分たちで引き出そうという思惑なのだろうか。

以前、ケニー・オメガ選手との『IWGP USヘビー級選手権試合』を戦った先、肩を数ミリ上げ、ボコボコにされながらもニヤニヤし続けるなど、サイコパス・猟奇的な一面を見せた。

そんな彼の元に行くのか。それとも別な可能性を示すのか。

『ワールドタッグリーグ2018』が終わる12月9日。何かが起きるのかもしれない。

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