内藤哲也 プロフェッショナル仕事の流儀の感想を、パレハへの想いを込めて
内藤哲也 プロフェッショナル仕事の流儀の感想を、パレハへの想いを込めて贈りたい。
度々NJPW FUNにも書いて来たことだが、僕は新日本プロレスひいてはプロレスファンになってからの歴はかなり浅い。
Amazonプライムで『有田と週刊プロレスと』がスタートした際、今も関係が続く“パレハ”から勧められたのがプロレスに興味を持ったキッカケ。実際に試合を見始めたのは、内藤哲也特集があった2016年の年末頃である。
プロレスファンだった内藤少年は怪我だけではなく、様々な壁にぶつかりながら、NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』に出演するまでに成長した。
今回、僕は内藤哲也のプロフェッショナル仕事の流儀について感じたことを記事にするかどうするかについてとても迷った。
実は視聴できていなかったためだ。
だが、“パレハ”が鑑賞会を開いてくれたことにより番組を見ることができた。僕にブログを書くことを勧めた少し年上の相棒であり、友だちだ。
そんな彼への想いも込めて、『プロフェッショナル仕事の流儀』少年の夢、リングの上へ プロレスラー 内藤哲也のことを書きたいと思う。
※今回の記事だけは敬称略でお送りする。
皆が知っている内藤哲也がそこにいた
内藤哲也は『ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン』を結成し、“制御不能”になった後でも「何も変わっていない」と語り続けてきた。
表現方法を変えただけ。俺は何も変わっていない、と。
プロレスラーはイメージも大切だ。新日本プロレスのエース・棚橋弘至は「365日棚橋でいる」ことを信条にしている。「疲れた」とはエイプリルフール以外には言わない。常に明るく、親切丁寧。物腰も柔らかい。
これは、新日本プロレスの暗黒期を生きてきた出自がそうさせるのだろう。
年間売上高が49億円に達した現代の新日本プロレス。今と昔では全く状況が違う。1人でもいい、会場に来て欲しい。そんな気持ちが今の棚橋弘至を作ったのだと思う。
ただ、内藤哲也は違う。暗黒期の最中でも新日本プロレスを応援し続けてきたコアすぎるプロレス少年だ。客席が埋まっていなかろうが、暗黒期と称されようが、自身の中ではセルリアンブルーのリングは眩しく光り輝いていたに違いない。
「新日本プロレスへの想い。新日本プロレスへのこだわりは誰にも負けません。内藤哲也よろしくお願いします」
膝の手術を乗り越えた入門テストで、内藤哲也はこう言い放った。こんなアピールをする入門希望者は前代未聞だったらしい。
そう、何も変わってない。
元々持っていった“制御不能”な、一面は現・WWEの中邑真輔に火を点けたほどだったし、高橋裕二郎とのタッグチーム『NO LIMIT』でも楽しく、のびのびとプロレスを楽しんでいた。
“制御不能”になった後もリング外では内藤哲也のままだった。言葉を選びながら慎重に喋る口調。「うーん」と考え込む姿。「○○っすよ」という口癖。その全てが今ではリング上とは異なるものになった。
だが、『プロフェッショナル仕事の流儀』は素の内藤哲也を見ることができた。以前のドキュメンタリーや『金曜日のワンダーランド』と同じである。夜な夜な通っているジムのトレーニング機材を丁寧に拭き上げる姿もイメージのままだ。
プロレスラー・内藤哲也。
リングの上と外でキャラクターが全然違う。そんな2面性も“制御不能”なのだ。
ちなみに、グーグルトレンドで同番組後の内藤哲也の検索数を調べてみると、とんでもない伸び方をしていた。
『プロフェッショナル仕事の流儀』という番組においても内藤哲也が出演したインパクトは大きかったのかもしれない。
なぜ、オカダ・カズチカのコメントがあったのか。
『プロフェッショナル仕事の流儀』にはオカダ・カズチカのコメントも寄せられていた。僕が思うに内藤哲也の歯車を狂わせたのは、オカダ・カズチカなのかもしれない。ただ、彼がいなければ新日本プロレスの大逆襲はなかったし、内藤哲也も現在の姿になることはなかったように思う。
岡田かずちか(ヤングライオン時代)は中学を卒業し、メキシコへ飛び出した行動派だ。
闘龍門のウルティモ・ドラゴン校長に見出され、新日本プロレスへ移籍。プロレスラーとしてのキャリアを積んでいたにも関わらずヤングライオン、つまりゼロからの再スタートを切った。
彼が入門してきた時、内藤哲也の胸中には多くの葛藤があったという。岡田かずちかは新日本プロレスの入門テストを受験していなかったためだ。
ウルティモ・ドラゴンの推薦。既にメキシコでデビュー済み、身長191センチ、身体能力抜群、顔もいい。
新日本プロレスが今後のスターとなる存在として、目をつけたことは明らかだった。
だが、メキシコでプロレスラーデビューを飾っていたが、野毛道場の基礎体力トレーニングについてくることはできなかった。
「なんだ。できないじゃん」
プロレスで飯を食いたい人間にとっての超エリートコース
内藤哲也の胸中に複雑な思いがあったのは、アニマル浜口道場出身という点もあったようにも思う。
多くの人材が新日本プロレスの入門テストに落選している。身長が足りなかった者。運に恵まれなかった者。
様々な人生を見ていたからこそ、才能に恵まれているとはいえ、入門テストをパスせずに入門した岡田かずちかを許すことができなかったのだろう。この時は知るよしもないが、EVIL、SANADA、髙橋ヒロムという『ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン』の面々は全員一度新日本プロレスの入門テストに落ちている。それほどに高く険しい関門なのだ。
ただ、岡田かずちかに対する負の感情は徐々に薄れていった。彼は努力家である以上に背負っているものがあったためだ。
「中学を卒業してプロレスラーになった。他に行き場所がない」
汗、涙、涎を垂れ流しながらも練習に食らいついていく様子を見て、徐々に2人の距離は近づき、同部屋のいい先輩後輩の関係になっていった。それでも内藤哲也は岡田かずちかを意識し続けていた。
ここからは僕の拡大解釈になるが、内藤哲也が持つファン目線によるものが大きいと思う。
誰よりもファン目線を持ったプロレスラーの目には、“岡田かずちか”が、そう遠くない未来に“オカダ・カズチカ”に変身する光景が浮かんでいたのかもしれない。
メキシコ遠征直前、自身がファン時代に憧れて止まなかった棚橋弘至に「結局、新日本プロレスは岡田なんですよ」と泣きながら訴えたのは、ジェラシーを超えた不安が彼を飲み込んだためだろう。
「カッコ悪いか? カッコ悪くてもいいよ! 俺は、常にオカダを見てきたんだ!」
制御不能は彼の内面が表面化したもの
オカダ・カズチカは凱旋帰国後、早すぎるスピードでスターダムへと上り詰めた。
新しいスターに説得力を与えてしまったのは、残念ながら棚橋弘至以上に内藤哲也だった。
『IWGPヘビー級ベルト』初挑戦、初戴冠。最初の防衛戦の相手はヤングライオン時代に同部屋で一緒に買い物や釣り、キャッチボールを楽しんだ5歳上の先輩だった。
大切な一戦で内藤哲也は敗れてしまった。20代で『IWGPヘビー級ベルト』を戴冠するという夢は潰えた。さらに、逸材を倒した怪物を本物にしてしまったのだ。
それ以降は右膝の手術、ファン投票での敗北など『G1クライマックス』優勝という結果すら霞むほどに彼の存在感は減っていく。
『G1』覇者の翌年は第2、第3試合での出場が増えていった。チャンスも活かせない。口ばっかり達者。空回り。試合も綺麗な技以外見所が薄い。試合を通じて、ファンに何かを伝えることができない。
誰よりもファンのことを考えていたにも関わらず、だ。
次世代のエースは順風満帆の道から大きく外れた。膝の怪我も考えると、最悪引退の可能性もあっただろう。
ただ、内藤哲也は夢を追い続けた。
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夢
『ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア』中にメキシコへと旅立った内藤哲也は『ロス・インゴブレナブレス』へ電撃加入。そこからの快進撃は、番組中でも大きく語られていた。
ファンが見たいと思う内藤哲也ではなく、自分が見たい内藤哲也になる。
心ない声はいつしか大歓声に変わった。
主役になりたいと言わなくなった内藤に、主役になって欲しいとファンが祈り始めた。
オカダ・カズチカ、棚橋弘至を破った。東京ドームのメインイベントにも立った。
その先に見る夢は、自分を見てプロレスラーになった選手と試合がしたいというもの。
これは、スターダスト・ジーニアス時代から言い続けきた、彼の大切な夢だ。
諦めなければ夢は叶う。勿論、世の中はそんなに甘くない。だが、夢を追い続けなければ、誰かに夢を見せることはできない。
それは、それぞれの人生の主役を生きる僕や貴方たちとも同じことなのではないだろうか。
内藤哲也の夢を応援する。自分の夢を追う。
誰から見たらちっぽけな夢かもしれない。ただ、そんなことは関係ない。自分だけの夢。その宝物を胸に秘めて生きることこそが、ジブンへとつながっているのではないだろうか。
主役だって落ち込む
番組内で明かされたが、内藤哲也はある試合の結果に納得がいかず1時間半、ロッカールームに籠城したことがあるという。これは、『ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン』結成後のエピソードである。
会場人気No.1になっても、いや主役になったからこそ、試合に対してのハードルが上がっているのかもしれない。
ファンは内藤哲也の姿を見るだけ嬉しい。花道の入場を見るだけでチケット代以上の価値があったと感じる。試合を見て、熱くなり、大合唱で完全燃焼する。
だが、内藤哲也には内藤哲也のハードルがある。もっと盛り上げられたはずだ、と。
ファン時代の内藤哲也が今日の試合を見たらどう感じるのか。笑顔になるのか?がっかりするのか。ファンを辞めてしまうのか。
彼の中にしかない軸が彼をもっと強くする。
例え、「勝った、負けた。そんな小さいことで俺たちはプロレスをやっていない」としてもだ。
そして、我々ファンも「勝った、負けた。そんな小さいことでプロレスを見てはいない」はずだ。
リングで何を魅せてくれたか。試合を通じて魂を揺さぶられたか。自分の予想を超えた感情が溢れ出したか。プロレスは笑って、泣いて、感動できる。だからこそ思うわけだ。「一番スゲェのはプロレスなんだよ」と。
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progress
最後に、本記事がNJPW FUNにとって200記事目となる。
僕は何かを継続することが子供の頃から苦手だった。こんなにも夢中になっているプロレス、ブログというライフワークをくれた2人の“パレハ”にお礼を伝えたいと思う。
Gracias Amigo!
そして、いつもNJPW FUNを見てくださったり、SNSで反応をくれる貴方にもお礼を伝えたい。
Gracias Amigos!
『プロフェッショナル仕事の流儀』の主題歌は「progress(プログレス)」。“グ”を抜いたら「プロレス」になる以上に、僕が思ったことを締めの言葉に添えたい。
内藤哲也は「プロフェッショナル」について「夢を追い続けること、つまり人としての進歩(progress)こそがプロフェッショナル」なのだと説いた。
夢を追って進歩を続ける存在に人は心を奪われる。だから、みんな腹の底では内藤哲也のことが大好きなのだ。
夢VS金の闘争に敗れても、時間制限があった夢を叶えることができなかったとしても、常に新しい夢を見つけ、追求し続ける。そんな姿勢に心が揺れるのだ。
『プロフェッショナル仕事の流儀』少年の夢、リングの上へ プロレスラー 内藤哲也の再放送を心から楽しみにしたい。再放送は12月6日(木)23:55~に決定した。全力で拡散しよう。最高のレスラーを1人でも多くの新しい“お客様”に見てもらうために。
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