『NEVER無差別級』真の“主役”について考えてみる

新日本プロレスが『ワールドタッグリーグ2018』の最終戦にとんでもないカードを仕込んできた。

優勝決定戦や『NEVER無差別級タイトルマッチ』は元々発表になっていただけにサプライズはなし。ただし、3つの試合が目を引いた。

全91試合が行われたリーグ戦。疲労困憊な選手たちが集まる中で、シリーズ最終戦に合わせて『ジ・エリート』が集結。棚橋弘至選手と記者会見以来のイデオロギー対決の前哨戦がようやく始まる。

次に第2試合。新日本本隊と『CHAOS』による2つ目の越境タッグチームが誕生したのだ。マイケル・エルガン選手&ジェフ・コブ選手&バレッタ選手&チャッキーT選手である。

注目が集まるのはチャッキーT選手だろう。鈴木みのる選手、飯塚高史選手、ランス・アーチャー選手、デイビーボーイ・スミスJr.選手を前にキレるのか?キレないのか?試合中の彼から目を離すことができない。

最後に、『NEVER無差別級王座ナンバーワン・コンテンダーマッチ』だ。本来、10月に試合が組まれていたタイチ選手とウィル・オスプレイ選手が挑戦者の座を懸けて雌雄を決する。

様々な思惑が錯綜するセルリアンブルーのマット。今回は、『NEVER無差別級』真の“主役”について考えてみたい。

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コンテンダーマッチとは何か

一言で言えば、この試合の勝者が『NEVER無差別級王者』に挑戦できますよ、という試合である。コンデンダーマッチという耳馴染みの言葉に一瞬目を疑ったが、対戦カードを見ればその意図は一目瞭然だと言える。

ちなみに『新日本プロレスワールド』で「コンデンダーマッチ」を検索してみた所、ヒット数はゼロ。「挑戦者」というワードでも2009年まで遡る。『G1クライマックス』の覇者に与ええられる権利書争奪戦を除くと、ほぼ新日本プロレスで行われていない類の試合であることが分かった。

つまり、『NEVER無差別級』は明らかに異端のベルトとしてその姿を変えつつあるのだ。

王者の個性で色が何色にでも変わる

少し話を変えよう。ケニー・オメガ選手がCody選手、飯伏幸太選手と『IWGPヘビー級選手権試合3WAYマッチ』を行った際、これまでにない賛否両論を生んだ。特に否の意見が集まったように思う。

“ベストバウトマシン”の異名を持ち、試合のクオリティで新日本プロレスのスターダムへと上り詰めたケニー・オメガ選手が、試合内容(危険技論は除く)でファンの支持を得られなかったのは、非常に稀なケースだと言える。

その理由は明確だった。『IWGPヘビー級タイトルマッチ』として相応しくない。

『ジ・エリート』が持つプロレス観を『IWGP』という歴史と権威のあるタイトルに持ち込んだことに対して、拒否反応が生まれたのだ。

では、単純に試合だけを見たらどだったのか。それぞれの趣味嗜好があるため一概には言えないが、個人的には非常に見応えのある試合だったように思う。

試合の性質さえも問われる。これが『IWGPヘビー級ベルト』なのだ。

 

NEVERの真骨頂は物語である

閑話休題。

話を『NEVER』に戻そう。『NEVER無差別級ベルト』は前述した通り、2012年に生まれたベルトである。ブシロード新体制の中で生まれたベルトはその前年に生まれた『IWGPインターコンチネンタルベルト』ともうまく住み分けができていたように思う。

田中将斗選手と石井智宏選手から始まり、柴田勝頼選手の一人世代闘争を経て、後藤洋央紀選手の長期政権となったベルト。

実はベルトを通じたドラマが最も生まれているという見方もあるのだ。

何故ならば、『NEVER』を懸ける戦いには常にライバル関係があったためである。

  • 田中将斗選手VS石井智宏選手
  • 石井智宏選手VS真壁刀義選手
  • 柴田勝頼選手VS第3世代、EVIL選手
  • 後藤洋央紀選手VS鈴木みのる選手、タイチ選手

王者が変わる度にリマッチが巻き起こり、数々の好勝負が生まれてきた。

そして、今4人の選手によるサバイバルレースの火蓋が切って落とされようとしているのだ。

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聖帝に対して、新日本プロレスは冷たい

ただ、こうも思う。会社が組んだリスクしかない対戦カードに乗ったタイチ選手は不利である、と。『ワールドタッグリーグ2018』の激戦に自分だけが参加し、ダメージが抜けない状況でコンデンダーマッチに出場するわけである。

負ければ挑戦者権利を失う。勝ってようやく本来持っている権利を行使できるだけなのだ。

タイチ選手は新日本プロレスに対して文句を言う権利は十分にあると考えてみる。

自分だけリマッチ権を行使できない。行使できない上に、イチ挑戦者と同じ列に並ばされた。

自分がいるコミュニティ(会社、学校、家族など)で置き換えてみると分かりやすいだろう。絶対に納得できるはずがない。

では、どうするか。ここが問題だ。

悪武者は敗北した場合、リマッチ権を強行する

後藤洋央紀選手VS飯伏幸太選手の一戦。以前に書いた、『BULLET CLUB』介入論は一先ず置いて置こう。

この試合、後藤洋央紀選手が勝った場合のみタイチ選手はシングルで挑戦できる権利を得ることができると僕は思っている。

何故ならば、万が一飯伏幸太選手が勝利した場合、後藤洋央紀選手はリマッチ権を行使する可能性が高いためだ。

イッテンヨン『レッスルキングダム』目前にして、タイトルマッチを組むこと自体シングルでは異例中の異例である。

ここで試合する以上、勝っても負けても自分は東京ドームの舞台に立てるという保証が無ければ動くわけがないと思うのだ。荒武者が悪武者としての一面もあわらにしただけに、何か裏があると考えざるおえない。

 

NEVERとは仮面ライダー555である

ここまで書いたが『ベルト』に纏わる物語という意味で、ここ数年の新日本プロレスで最も語り合いがあると実感している。

『IWGPヘビー級ベルト』はオカダ・カズチカ選手、棚橋弘至選手。『IWGPインターコンチネンタルベルト』は中邑真輔選手、内藤哲也選手。彼らの手によってストーリーが紡がれてきた。ある意味レスラーが主役で、ベルトは称号であり勲章というイメージである。

では、いよいよ本題に入ろう。『NEVER無差別級』真の“主役”とは一体誰なのか。

そう、真の“主役”は『NEVER無差別級ベルト』だと僕は思っている。

『NEVER』という名を与えられ、『IWGP』とは別ブランドとしてその地位を作った。

「ベルトの価値」という言葉があるが、どれだけ人を熱狂させるのか?という意味では、『NEVER』は群を抜いているように思う。

現にスペシャルシングルマッチやタッグマッチにメインイベントを奪われたとしても、ファンの注目は『NEVER』に集まった。

このベルトが持つ真の価値とは、前述したように、ベルトに引き寄せられたレスラーたちの人間ドラマだ。

柴田勝頼選手は、新日本プロレスから飛び出したことで実現できていなかった、永田裕志選手、中西学選手、天山広吉選手、小島聡選手たちとの世代抗争を繰り広げた。

後藤洋央紀選手は、柴田勝頼選手からベルトを受け継ぎ、いつ誰の挑戦でも受けると公言した。

2018年のイッテンヨンで鈴木みのる選手は、自慢の髪を剃り落とした。タイチ選手は『G1クライマックス28』に出場できなかった思いの丈をこのベルトにぶつけた。

リング内外で様々な物語が『ベルト』を通じて動いている。

だから思うのだ。ベビーもヒールも関係ないプロレスラーの群像劇が『NEVER無差別級』には存在すると。

本日の2試合で今後の群像劇はどう変化していくのか。終わりがないベルトの物語はまだまだ続く。

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