『NO LIMIT』と『GBH』。僕が見たい景色について

新日本プロレスヘビー級タッグの祭典『ワールドタッグリーグ2018』、最終日に2つの事件が起こった。

第4試合で高橋裕二郎選手が内藤哲也選手を指名したこと。次に、第5試合ではバットラック・ファレ選手に蹂躙される矢野通選手を、真壁刀義選手が救ったことである。

『NO LIMIT』と『GBH』。

新日本プロレスを代表するタッグチーム。である両チーム。真壁刀義選手&矢野通選手の『GBH』は2008年に『IWGPタッグベルト』を戴冠すると4度の防衛を実現。これは2008年以降の『IWGPタッグ王座』としては4位タイの記録である。

高橋裕二郎選手と内藤哲也選手の『NO LIMIT』は2008年に『IWGPJr.タッグベルト』を戴冠後、メキシコ・アメリカへ遠征し、2010年のイッテンヨン『レッスルキングダム』で凱旋帰国を果たした。

帰国後、一発で『IWGPJr.タッグベルト』を戴冠する。2018年にヤング・バックスが『IWGPヘビー級ベルト』を戴冠するまで、新日本プロレスで唯一『IWGPヘビー、ジュニアタッグ』両方のベルトを巻いた名タッグチームである。

そんな2つのチームが同じ日に僅かではあるが、何かが起こったのだ。

『NO LIMIT』と『GBH』。僕が見たい景色について書いていきたい。

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棚橋弘至選手「変わること全てが正しいわけじゃない」

8月にブログを初めて206記事目。初めて筆が重いと感じた。その理由は明確で、プロレスを好きになって多分初めて「マジか・・・」と思うことが多かったためである。

もちろん、嬉しいニュースはあった。冒頭に書いた通り、高橋裕二郎選手と内藤哲也選手。真壁刀義選手と矢野通選手に何かのキッカケが生まれた日なのだから。

内藤哲也選手は高橋裕二郎選手と『IWGPインターコンチネンタル選手権試合』を実現して欲しいし、矢野通選手はVSバットラック・ファレ選手を実現させるためにDVDへの出演を条件に真壁刀義選手とタッグチームを組んで欲しい。

この4人に対して、僕の心は湧き踊る。4人の今後のことを考える時間は非常に“贅沢な時間”である。

 

高橋裕二郎選手が動いた理由

2018年になり度々、肌を合わせていた2人。7月は東京、8月は福岡。7月の八王子大会で、内藤哲也選手はバックステージにてあるメッセージを送っていた。

それから、今日ひさびさに対戦した選手がいたけど……いつのまにか小さくなってしまったね? ほとんど俺の視界に入ってこないぐらい小さくなってしまってしまったよ……。かつてはあれほど、大きい存在だったハズなんだけどね。まあ、また対戦する機会があるんでしょ? 言葉はいらないよ。身体で何かメッセージをくださいよ。俺は彼からのメッセージ、待ってるから。 

出典:新日本プロレス公式

高橋裕二郎選手と内藤哲也選手。『NO LIMIT』解散後、2人が歩んだ道はあまりにも違う。『CHAOS』を裏切り、『BULLET CLUB』へ。現在は、『ELITE』の一員となっている。

一方で『CHAOS』を追放され、新日本プロレス本体に流れ着き、『ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン』を結成した内藤哲也選手は文字通り、新日本プロレスの主役として「プロフェッショナル 仕事の流儀」への出演すら果たした。

プロレス大賞MVPを2年連続受賞。『Number総選挙』でも2年連続1位を掴み取り表紙を飾った。

2018年には多少の停滞があったものの、6人目のパレハを招集したことや、クリス・ジェリコ選手に奪われた『IWGPインターコンチネンタル』奪還を目指すなど、まだまだ話題にことを欠かない。

高橋裕二郎選手はいよいよこう思ったのかもしれない。

時は熟した、行くなら今だ、と。

 

チャンスの女神へ

これまで常に内藤哲也選手は誰か?と抗争を続けていた。主には『CHAOS』、『鈴木軍』、『新日本本隊』。実は“制御不能”となった後、『BULLET CLUB』と長きに亘る抗争を演じたことはないのである。ケニー・オメガ選手とは1年に数回しか試合を行わないし、他のメンバーとの因縁も薄い。

唯一の因縁があるのは、高橋裕二郎選手だけなのである。

「今の内藤哲也を利用しない手はない。だが、いつにすればいいのだろうか」

その実験をしたのが、2018年12月9日だったのだろう。事実、試合開始数分での指名となったが、バックステージではお互いに本件に触れていない。

2018年、タイチ選手は『G1クライマックス』に不出場でも『NEVER無差別級王者』までたどり着いた。彼の女神が感涙したシーンは2018年の新日本プロレス史でも屈指の名シーンとなったように思う。

高橋裕二郎選手にもチャンスの女神が付いている。今こそ、内藤哲也選手を利用し、改めてトップ戦線に戻ることを画策している。2019年、『NO LIMIT』の2人に何かが起きることは間違いない。

極悪非道な2人じゃなくても

実況席に座っていた真壁刀義選手は本隊とCHAOSの越境タッグについて自論を説いていた。

「KUSHIDAはすげぇ」

「俺は矢野の野郎とわだかまりがある」

それはそうだろう。自身のユニット『GBH』を裏切り本間朋晃選手を除くメンバーを全員引き抜き、中邑真輔選手と組むことで、矢野通選手は一気にトップ戦線に名乗りを挙げた。

また、その『CHAOS』は結成10周年を迎えるなど新日本プロレスの長寿ヒールユニットとして誰もが知る存在となった。

以前、真壁刀義選手は矢野通選手の行動について、「プロレスラーとしては正しい選択」だと語っていたこともあったが、自身に行われた行為自体を許していたわけではなかったのだ。

だが、バットラック・ファレ選手が矢野通選手に手をかけようとした瞬間、真壁刀義選手は解説席から飛び出し、チェーンで威嚇攻撃を行った。

その後、お互いに直接的な生命は残していない。ただ、ファンの多くが思ったはずだ。

もう一度、あの極悪非道なタッグチームを見てみたい、と。

ただし、新日本本隊のベヒーフェイスとなった“暴走キングコング”と“敏腕プロデューサー”となった2人があの頃のように、傍若無人に暴れまわる姿はもうイメージしにくい。

もし願いが叶うのであれば、ワンマッチ限定でも構わない。

全てのわだかまりをその日だけは水に流し、矢野通選手が金夜叉へと戻り真壁刀義選手の隣にいる。再び、その光景が見れるのであれば、どこにでも足を運ぶ次第だ。

 

プロレスラーの絆

『NO LIMIT』と『GBH』はかなり解散以降、かなりの時間が経ってる。正確には真壁刀義選手と矢野通選手のタッグチーム名ではなく、ユニット名が『GBH』なのだが、なぜかこの2人 のタッグチームには『GBH(Great Bash Heel)』という言葉がしっくり来る。

なぜ、平成が終わるこのタイミングで2つのタッグに進展があったのか。時が全てを解決してくれるという考え方がある。

その場では全く許せないような問題が起こったとしても、時の流れがお互いの気持ちを癒やしてくれるのだ、と。

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棚橋弘至選手はこう説いていた。

「プロレスは裏切りだけじゃないから」

「変わることの全てが正しいわけではない」

そう、『NO LIMIT』と『GBH』にはある共通点があるのだ。

全員、新日本プロレスのヤングライオン出身。新日本プロレスで生まれ育った生え抜きなのだ。

現在の新日本プロレスはヘビー級のベルトを巻いている選手に生え抜きの選手はゼロ名。いよいよ、この状態でイッテンヨンへと進む事態になってしまった。

生え抜きか否かは、もう大きな問題ではないのかもしれない。日本企業を見ても新卒と中途で大きく扱いが変わることがないように、プロレス団体においても所属年数よりも今、どれだけファンを熱狂させられるのか?という点が重視されているように思う。

ここからは完全に僕の意見だ。

『NO LIMIT』と『GBH』がもしも復活したら、それだけで会場は満員になる。これは必ず、である。

プロレスは何も知らずに見ても楽しい。歴史を知っても楽しい。色々な楽しみ方がある中で、最も見応えがあるのが、歴代のチームが復活することだろう。

『NO LIMIT』と『GBH』。僕が見たい景色は目の前にまで迫っているのか。それとも再開はないのか。イッテンヨンと同等にこの4人の動向が楽しみである。

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