オカダ・カズチカVS外道という出藍の誉れに、僕たちは何を見るのか
新日本プロレスが2018年12月14日の後楽園ホール大会第6試合で運命のカードを差し込んできた。
オカダ・カズチカ選手VS外道選手である。イッテンヨン『レッスルキングダム13』のスペシャルシングルマッチで対峙するジェイ・ホワイト選手が出場この2試合には出場しないことで組まれた試合。
ある意味でドリームチームよりも注目を集めるカードが決定したわけだ。
2人はどんな気持ちでゴングを聞くのか。完全無欠の『IWGPヘビー級王者』だったオカダ・カズチカ選手の強さを誰よりも知っているのが外道選手である。
その強さも可能性も、何もかもをマネージャーとして支えてきた。
だからこそ思うわけだ。何もないわけがない、と。新時代を築く側に回った男による、レインメーカーに対して、最後のレッスンが始まろうとしている。
オカダ・カズチカ選手VS外道選手という出藍の誉れに、僕たちは何を見るのだろうか。3つの視点から考えてみたい。
運命のシングルマッチ。一体何が起こってしまうのだろうか。
オカダ・カズチカにヒールを教え込むつもりか?
凱旋帰国当初のオカダ・カズチカ選手は態度や立ち居振る舞いこそふてぶてしいものの、戦い方にヒールの要素はなかった。現在もそう。以前よりも技を更に絞り込み、相手の土俵でがっぷりと向き合い試合展開が主である。
つまり、オカダ・カズチカ選手はヒールの戦いに身を投じたことがないのだ。
逆に言えばレヴェルが違うため、ラフファイトに走る理由もないということだが。
一方で、ジェイ・ホワイト選手相手に、ドリームタッグでは屈辱的な7連敗を喫してしまっている。『ワールドタッグリーグ2018』最終日も含めると8連敗。
ここまで負けが続くオカダ・カズチカ選手は非常に珍しいのではないだろうか。
人の道を外れた男の子がレインメーカーに贈るのは、ヒールとしての矜持なのだろうか。
この試合でスーパーフライが飛び出そうものなら、イッテンヨンで何かが起こる気がする。
CHAOSだよ!全員集合!
レインメーカーVSレインテイカー。まともに考えれば勝負になる訳がない。敢えて言おう。
自身を裏切り、今最も「可愛がりたい」後輩の横に移った元マネージャー。思い出に耽る点もあるだろう。
だが、普段のリングでは外道選手がオカダ・カズチカ選手を襲撃。ダメージほぼなし。オカダ・カズチカ選手に一蹴されるという展開が主である。
レヴェルの違う一撃を何度も受けるわけにはならない。そもそも怒っているオカダ・カズチカ選手だけにまともに外道選手とやり合うのかすら疑問が残る。
だったら試合を壊せばいい。幸い当日はジェイ・ホワイト選手を除く『バレットクラブ』は全員集合している。
しかも第5試合ということで、試合終了後もリングに残り続ければいいのだ。
流石のオカダ・カズチカ選手も1対複数では分が悪い。そこで登場するのが『CHAOS』の面々である。
裏切られて気分がいいはずがない。一度全面抗争の姿勢を見せるのもいいだろう。
“The Monster”の登場
オカダ・カズチカ選手と外道選手の対戦カードが組まれる。外道選手の視点で考えれば、こんなに美味しいカードはないだろう。
話題性だけで、ある意味でメインイベントを食ってしまうほどのインパクトがある。
では、こういう考え方もありだ。『バレットクラブ』の新メンバーをお披露目してやろう、と。
現在イッテンヨン『レッスルキングダム13』に様々な声が上がっている。今回、『ニュージャパンランボー』が非開催となり、『NEVER無差別級6人タッグマッチ』が行われる。
スペシャルシングルマッチ、『IWGPジュニアヘビー級選手権試合』、『IWGPタッグ』と『バレットクラブ』は多くの選手を送りこむが、もう一つ話題を欲するのが“元・金の雨を降らせる男”の横にいた男だろう。
12月15日に復帰するヤングライオン・金光輝明選手がいるが、その前日にも1人新日本マットに復帰するかもしれない。僕が想定している2つ名は“The Monster”。
この選手が外道選手の危機を救出する可能性もゼロではないと言えるだろう。
涙
外道選手は自身のベストバウトを2013年の『IWGPジュニアヘビー級選手権試合』VSプリンス・デヴィット選手との一戦だと振り返っている。
ちなみに新日本プロレスワールドにこの試合はない。非常に見てみたい。
今回は新日本プロレスのトップ中のトップとの試合となる。『TPG』から『FMW』などを渡り歩いたインディレスラーが『IWGPヘビー級』の最多防衛記録を持つレスラーと戦うのだ。ある意味、考え深いものがある。
そして、僕が気になっているのはオカダ・カズチカ選手の表情である。
2016年3月。中邑真輔選手の壮行試合でオカダ・カズチカ選手は入場時から雰囲気がおかしかった。
試合後は感情が溢れ出し、涙を堪えることができなかった。
あれから2年。オカダ・カズチカ選手は更なる成長を遂げたが、元マネージャーとの直接対決でどんな感情が込み上げるのだろうか。
内藤哲也選手が棚橋弘至選手に頭を下げたように、オカダ・カズチカ選手も何かしらのアクションを示すのか。
はたまた、試合開始早々から外道選手が介入し、オカダ・カズチカ選手VS邪道外道となるのか。
運命の瞬間は明日に迫っている。