IWGP USを懸けたリマッチで青年たちはそれぞれの覚悟を証明するか?

新日本プロレスは世界第2位のプロレス団体と言われている。

新日本プロレスで名を挙げた“ガイジン”レスラーの多くが、世界第1位の団体に移籍し、スーパースターとして活躍し続けきた。

一方で、あっち側からこっちに足を踏み入れる選手たちもいる。

2019年のイッテンヨン『バンドリ! ガールズバンドパーティ! presents WRESTLE KINGDOM 13 in 東京ドーム』の第5試合に出場する2人のレスラーもまた、アメリカで生まれ育ち、日本に新天地を求めた。

『ジ・エリート』のCody選手と本隊のジュース・ロビンソン選手である。

元WWEという肩書を持ち、アメリカROHで価値を高め続けてきた金髪の伊達男。

もう一人はドレッドヘアーをなびかせ、ひと際目を引くコスチュームで登場する元WWE/NXTというキャリアを捨てゼロからやり直した苦労人。

圧倒的な華と毒を併せ持つCody選手とジュース・ロビンソン選手は過去2度のシングルマッチを行い、Cody選手が全勝している。

圧倒的存在感とカリスマ性。ヒールとしての華。ダークヒーローという言葉が似合うCody選手にジュース・ロビンソン選手は勝利を掴むことができるのか。

Cody選手VSジュース・ロビンソン選手。3度目の激突は覚悟を証明する試合になると感じている。

 

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ジ・アメリカン・ナイトメアの覚醒

Cody選手は2016年5月にWWEを退団し、同年12月にROHのリングに姿を現した。時を同じくしてケニー・オメガ選手から『BULLET CLUB』への加入が発表され、2017年のイッテンヨンで新日本プロレスでのデビューを飾った。

この時の対戦相手こそジュース・ロビンソン選手だった。元WWE出身者が新日本プロレスのリングで雌雄を決する。その期待とは裏腹に試合自体はスイングしないものだった。

一言で例えるなら、新日本プロレスっぽくない。今振り返ると、何か違和感のある試合だったように思う。

Cody選手はケニー・オメガ選手からの紹介で鳴り物入りのデビューとなったが、悪い意味でファンの期待に一発で応えることができなかったように思う。

だが、その後Cody選手はデビット・フィンレー選手、マイケル・エルガン選手とシングルマッチを行い、徐々に新日本プロレスでの戦いにアジャストした。7月にはアメリカでオカダ・カズチカ選手と『IWGPヘビー級選手権試合』を行った。

この時、地元であるCody選手に歓声が集まると予想していたが、大きなブーイングが巻き起こった。日本人対アメリカ人の戦いにも関わらず、大ブーイングCody選手。その時、彼のヒールレスラーとしての輝きが、比類ないものだと実感した瞬間だったように思う。

その後、頭髪を金髪に染め上げて以降はいよいよ“覚醒”したと言っても過言ではない。

新日本プロレスでのCody選手が完璧に仕上がったのは2018年のイッテンヨン。飯伏幸太選手とのシングルマッチだったように思う。

妻のブランデー・ローゼスさんを引き連れド派手な入場。アメプロをメインに置きつつも、間の取り方や細かなレスリングテクニック、端正な顔から繰り出すラフファイト。現在の新日本プロレスにはなかった個性はブーイングと歓声を同時に引き出した。

家柄が良く、男前。更には美人の妻を持つ。ギャングスターのような男は2018年、新日本プロレスを大きく動かした。

 

『BULLET CLUB』のリーダー争い

ケニー・オメガ選手VSCody選手の『BULLET CLUB』覇権争い。新日本プロレスを代表する“ガイジン”ヒールユニットの内部抗争は大きな波紋を呼んだ。

彼らの争いは別れていた恋人たちのよりを戻すことにつながり、『ジ・エリート』の絆を強固なものにした。

タマ・トンガ選手らの離反により『BULLET CLUB』は完全に分裂した後に、彼は新日本プロレスの至宝へと手を伸ばした。

ジュース・ロビンソン選手がジェイ・ホワイト選手から奪還した『IWGP USヘビー級ベルト』への挑戦である。

結果はご存知の通り、ジュース・ロビンソン選手が敗北を喫した。

新日本プロレスの世界展開を見越して新設されたベルトはこれまで“ガイジン”レスラーしか戴冠していない。

最多防衛記録はケニー・オメガ選手の4回。ジュース・ロビンソン選手は一度も防衛することができなかった。

Cody選手がこのベルトを手にした瞬間、僕は持ち主の手へと渡った印象を受けた。ギャングスターには真っ赤に輝くド派手なベルトが良く似合う。

だが、こうも思う。ビッグマッチのみに出場している男に、変わった経歴を持つ実直な青年はこのまま敗れ続けていいものなのだろうか。

期待されている男

ジュース・ロビンソン選手はとにかく評価が分かれる選手である。会場での歓声はすごいがネットでの評判を見てみると辛辣な意見が飛び交うことも珍しくない。

事実、今回の『IWGP USヘビー級選手権試合』に彼が決定して完全に納得していない方も多いだろう。

鈴木みのる選手、後藤洋央紀選手ですら第0試合なのだ。タイチ選手に至っては対戦カードが組まれることすらなかった。

だが、ジュース・ロビンソン選手にはリマッチ権があった。これまで『IWGP USヘビー級選手権試合』で一度も行われなかった権利を行使したことで、今回の試合は決定したと言っても過言ではない。

ジュース・ロビンソン選手は新日本プロレスから大きく期待されている。『NEVER無差別級』や『IWGPインターコンチネンタル』、そして『IWGP USヘビー級』。短期間でここまで違うベルトに挑戦し続けているレスラーは他にいない。

“The Flamboyant”。その名前の通り「けばけばしい男」と化した青年は贔屓されているのではないか。だが、この動画を見たら彼を大きく応援したくなるから不思議だ。

 

夢を掴みに日本へ来た

このドキュメンタリーは#4まで続くので、ぜひ視聴いただきたい。簡単に紹介すると、家族を愛する青年が新日本プロレスに惹かれ、異国の地で自分の可能性を試している瞬間にカメラが迫る。

加藤ローサさんに似ている陽気な“ガイジン”レスラー。ナックルパートに違和感がある。なんとなくキャラが苦手。そんな気持ちを持っている方がこの動画を見ると、180°評価が変わると思う。

ジュース・ロビンソン選手はWWE/NXTという世界トップの団体を退団して、新日本プロレスを選んだ。レスリング・オブザーバーによると出戻りも歓迎されている状況だという。

現在、29歳。あっちの団体を辞め、有名になりたい一新で新天地を求めた青年はライバルとの戦いで覚悟を証明できるか。

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元WWE同士?

Cody選手は文字通りWWEのスーパースターだ。PPVやタイトル戦線にも絡む。だからこそ、世界中の団体が彼を欲した。

父の威光と同じく、彼にも圧倒的な華があった。

では、ジュース・ロビンソン選手はどうか。実は一度も下部組織から昇格したことはないのである。

つまり同じ元WWEという肩書きは同じでも実績という意味では大きく開きがあるのだ。

だからこそジュース・ロビンソン選手はヤングライオンと同じく、下積みからリスタートを切った。

『ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン』結成前夜の内藤哲也選手とはタッグチームを組み、洗練を受けた。

そして、数々のベルトに挑戦し経験を積み重ねてきた。

エリートと雑草。

そのどちらにも魅力がある。そして、新日本プロレスをこれからも飛躍させるにはそれぞれの力が必要なのである。

これからCody選手は大きな動きを見せる可能性を秘めている。借りを返すチャンスは今しかない。

ただし、Cody選手も負ける訳にはいかない。あれほど似合うベルトを一度も防衛せずに手放すのは僕にとっても嫌だ。

IWGP USを懸けたリマッチで青年たちはそれぞれの覚悟を証明する。

イッテヨン『レッスルキングダム13』の第5試合は目を離すことができない展開になるだろう。

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