オカダ・カズチカはキング・オブ・ストロングスタイル2.0を襲名するか?

2019年のイッテヨン『レッスルキングダム13』で原点回帰、完全無欠の姿へと舞い戻ったオカダ・カズチカ。この復活劇は“レインメーカー”第2期の幕開け。キング・オブ・ストロングスタイル2.0の襲名前夜となるのか。

それとも“Switch Blade”台頭の前の礎となるのか。

第1試合からダブルメインイベントまでスペシャルシングルマッチを除く全ての試合がタイトルマッチとなった『レッスルキングダム13』。

蓋を開けてみれば全王者がベルトを失墜するというとんでもない展開が待ち受けていた。

オカダ・カズチカ選手、外道選手の発案以降、『G1クライマックス』覇者が東京ドームメインイベントで『IWGPヘビー級王者』に挑戦するというシステムが生まれていた。

だが、真夏の覇者は王者に勝利することは叶わなかった。これは一度も実現できていなかったのだ。

そのジンクスがようやく7度目にして破られるほどに、“新時代”の到来をチャレンジャー、会場が待ち望んでいたのかもしれない。

この日、全試合が大きく沸いた。

そして、オカダ・カズチカ2.0が生まれた日であり、「レインメーカー2.0」が生み出す新しい物語から目が離せないという可能性を感じさせた。

そして、ジェイ・ホワイト選手がプリンス・デヴィッド(フィン・ベイラー)選手の意思を受け継ぎ、「リアル・ロックンローラー2.0」を語るのであれば、オカダ・カズチカ選手は中邑真輔選手から名を引き継ぎ、「キング・オブ・ストロングスタイル2.0」を襲名する必要があるように思う。

オカダ・カズチカ選手の新しい進化が始まった日。まず、その入場から振り返りたい。

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完全無欠、絶対無敵、絶対領域

“可愛い後輩”であるジェイ・ホワイト選手が真っ白のコスチュームで入場を果たすと、オカダ・カズチカ選手の入場曲「Rain Maker」がヒットする。

「転調しない!?」

そう、ケニー・オメガ選手に敗れ『IWGPヘビー級ベルト』を失った次のシリーズからガウンを着用せず、バルーンを持ち、髪を赤く染めたオカダ・カズチカ選手が登場した。入場曲もリミックスされ転調や半音下がった音が印象的なものとなっていたのである。

2013年以降はじめて、ダブルメインイベントを含むメイン以外での出場となったオカダ・カズチカ選手。当然、『IWGPヘビー級ベルト』を懸けない試合もはじめてなのだ。

また、前日のイッテンサンでも最近の定番である赤髪だった。

それが、ガウンを着て、黄色味を抜いたブランドのアッシュ(2017年のケニー・オメガ、柴田勝頼戦など)に染め上げてきたのだ。

会場は完全無欠、絶対無敵の存在が約半年振りに帰還したことに大きな喜びを隠せない。

更にトドメとして、ガウンを脱いだ先にあったのはパンタロンではなく、ショートタイツだった。

絶対領域の復活。オカダ・カズチカ選手が最も輝くスタイルは2017年12月の後楽園ホール以来の実に1年振りとなる。

ショートタイツ姿でリングに上がるだけで、怒号のような歓声が巻き起こる。

「強すぎてブーイングが起こっていた」時代もあったが、やはり全員がオカダ・カズチカ選手のことを愛しているのだ。

 

完璧な試合運びとレインメーカーポーズ

ジェイ・ホワイト選手とのスペシャルシングルマッチ。この試合を見ていて99.9%オカダ・カズチカ選手が勝利を掴むと思っていた。

新日本プロレスが発信していた勝敗予想のアンケートで、ジェイ・ホワイト選手だと回答しているにも関わらず、だ。

それほどまでに、入場から序盤の試合運び、次々と復活するレインメーカー本来のムーブに心が踊らされた。

また、観客の煽り方などは赤髪時代に近い。「強すぎる」ことで共感性が薄かったところから、親しみやすさも生まれたレインメーカーへと進化を遂げたのである。

この日、特に目を見張ったのは久し振り飛び出したレインメーカーポーズだ。最後に取った試合は『IWGPヘビー級選手権試合3本勝負』だった気がする。

つまり、半年に亘りレインメーカーポーズを見ていなかったし、「金の雨が降るぞ!」というフレーズも耳にしていないことになるのだ。

この日は正調のレインメーカーが炸裂し、外道選手にも制裁を加えるのか?と試合が終わる7秒前までそう思っていた。

だが、一撃で全てを変えるブレード・ランナーがそうさせなかった。

オカダ・カズチカ選手が負けた。そう、完璧に負けたのだ。

ふてぶてしいヒールチャンプから完全無欠のIWGPチャンピオンへと成長したレインメーカーがSwitch Bladeに屈したのだ。

これが「NEW ERA」なのかと、数分間目を丸くしていた僕がいた。

ジェイ・ホワイト

強い。とにかく強い。事前のインタビューでオカダ・カズチカ選手はケニー・オメガ選手よりも強いと語っていたように、今のジェイ・ホワイト選手は半端じゃなく強い。

誤解を恐れずに言おう。2018年のイッテンヨン。彼の試合はイマイチだった。凱旋帰国後いきなりとなった棚橋弘至選手との『IWGPインターコンチネンタル 選手権試合』は、スイングすることなく終わった。

試合を見比べてみると分かる。全然別人である。以前は無駄に攻めていた。試合のペースを作ろうとしていた。

だが、今は違う。ペースは対戦相手でも最終的な主導権は自分にあるという堂々とした戦い振りを見せている。

野球で例えるなら、どんなに点を取られていても最後の回の攻撃で取り戻しますよ?と言ったところだ。

それほどに“ブレード・ランナー”の破壊力は凄まじい。

棚橋弘至選手が保有する『IWGPベビー級ベルト』への挑戦は実現するのか。

現在のジェイ・ホワイト選手は2012年凱旋帰国直後のオカダ・カズチカ選手とは違う。

半ギレで「実績ねぇじゃん!」とは口が裂けても言えない。それほどまでの実績と実力を付けて、再び棚橋弘至選手の前に立ちはだかるのだ。

彼の飛躍的な成長が新日本プロレスに何をもたらすのか。この点にも期待したい。

 

2つの2.0が激突する

スペシャルシングルマッチに敗れたことで、次の狙いが定まりにくくなってしまったオカダ・カズチカ選手。

イッテンゴでもジェイ・ホワイト選手に敗れ、目が当てられないほどに勝てていないのだ。

オカダ・カズチカというブランド。完全無欠の王者、赤髪バルーンお兄さんを経て、何かまた1つ変化がなければ、外道選手と徒党を組んだジェイ・ホワイト選手にはこれからも勝つことが難しいのかもしれない。

実力が拮抗している上で、流れを完全に持っていかれているためだ。

ジェイ・ホワイト選手は勝ち癖が付いているのである。

そして、創設者以来の「リアル・ロックンローラー」を名乗り、「2.0」というアップデートされた存在こそが自分だと言い放っている。

では、オカダ・カズチカ選手には何もないのか。いや、『CHAOS』を創設者がいるではないか。

「敏腕プロデューサー」

こっちは高難易度過ぎる。

「キング・オブ・ストロングスタイル」である。

新日本プロレスは海外興行で「STRONG STYLE」というワードを組み込んでいる。

では、今ストロングスタイルを体現している人物、公言している人物というと、特に浮かばないのが現状だ。

NEW ERA(新時代)に対してNEW DIMENSION(新次元)をぶつけるのである。

2011年の棚橋弘至と中邑真輔

2011年の棚橋弘至と中邑真輔

 

2019年のオカダ・カズチカ

ただし、マディソンスクエアガーデンまでは4ヶ月しかない。

新日本プロレスの歴史に名を残すステージでメインイベントに返り咲くことは果たしてできるのか。

大先輩の意思を引き継ぎ「キング・オブ・ストロングスタイル2.0」を襲名するか。

2019年、ショートタイツ姿へと“進化”したオカダ・カズチカ選手に期待したい。

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