ナマハゲはCMLLとルチャの魅力を伝えるインフルエンサーだった
『ファンカスティッカマニア2019』が最終日を迎えた今日、突如新日本プロレスのマットに現れたナマハゲはルチャの魅力を最大限に伝えるインフルエンサーだったように思う。
新日本プロレスの「NJPW PRESENTS CMLL FANTASTICA MANIA 2019(ファンタスティッカマニア)」』に突如姿を現し、右肩上がりにその存在感を高めている選手がいる。
そう、ナマハゲ選手だ。
日本デビューとなった試合こそ、「ナマハゲってあのナマハゲだよな?」という雰囲気が漂っていたが、数試合を彼のルチャを見てみると評価は一転した。
荒々しいファイトスタイルとルチャリブレの華やかさというハイブリッドスタイル。
才能と努力で培った身体の柔らかさから繰り出すムーブはタッグマッチという出場時間が短い試合でも目を奪われる。
今ではナマハゲコールが起こることも珍しくないほどになった。
だが、彼が素晴らしいのはリング内だけではない。リング外のコメントを読んでみると、彼が何のために新日本プロレスへと来日したのかが見えてきた。
ルチャの魅力を日本に浸透させる。
これがナマハゲ選手が来日した本当の目的なのではないだろうか。『ファンタスティッカマニア2019』最終日を迎えた今日。改めて、彼のコメントや動向を追ってみたい。
KUSHIDA選手を見つめるナマハゲ
KUSHIDA選手の退団、飯塚高史選手の引退が発表された2019年1月9日。対戦カードの一つとして静かに発表されたのがナマハゲ選手の『ファンカスティッカマニア2019』参戦だった。
風神選手、雷神選手、映画「パパはわるものチャンピオン」スペシャルタッグマッチ。年に一度開催されるルチャの祭典を更に盛り上げるため、数多くのサプライズを仕込んだ中で、最も話題を集め、最も支持を得たのはナマハゲ選手だったように思う。
そして迎えた2019年1月11日の大阪・大阪府立体育会館・第二競技場(エディオンアリーナ大阪)。ちなみに僕の誕生日だった。
この日、KUSHIDA選手と肌を合わせたナマハゲ選手は試合終了後、KUSHIDA選手の背中を見送り続けた。
この日、以降KUSHIDA選手とナマハゲ選手の対戦カードは組まれていないことは事前の発表で分かっていた。
後々の発表で明らかになったことだが、ナマハゲ選手は今回のツアーが終了後、メキシコで日本食屋の大将に戻ることを明言している。
なぜ、半引退状態のナマハゲ選手はKUSHIDA選手のことを心に刻み込むような素振りを見せたのか。
その内情については推測の余地を出ない。だが、2人はメキシコという地で人生が大きく変わった2人でもある。
「何がキッカケでどんなタイミングで2人は出会ったんだろう」
そんな無粋なことを考えても仕方ない。仕方ないのだが、非常に絵になるシーンだったように思う。そして、“ナマハゲ選手だから”できたことだとも思う。
KUSHIDAとさわれて良かった
— ナマハゲ (@namajague_japon) January 11, 2019
どっちが強い弱いとか関係なしに
俺は俺で好きにやるし
あいつはあいつで好きにやるんだろ
それでいいじゃんよ
これも巡り合わせ
人生って楽しいねぇ
全部楽しもうぜamigo!
ファンカスティッカマニア2019の宣伝P
ナマハゲ選手はバックステージでマスクマンの特性を活かして、自身の魅力を最大限に引き出す言葉を放った。僕は度肝を抜かれた。確かにこの視点が欠けていた、と。
なかなか日本ではこうやって組むことはねぇし、俺はメキシコでは半引退状態だからよ。ほとんど試合なんかしてねぇんだけどよ、久々に……いや久々って言うともったいねぇな。俺がOKUMURAの知っている、カベルナリオの知っている俺なのか、新しい俺なのか、まだ内緒
出典:新日本プロレス
この一言で正体の謎が一気に深まった。確かにあの時のナマハゲ選手と今回のナマハゲ選手が同一人物であるという確証はなかったわけだ。
だが、そんなことを考える隙間がないほどにナマハゲ選手はCMLLひいてはルチャの魅力を発信し続けてきた。
普段、新日本プロレスばかりを見ている僕から見ると、ルチャはルールも違えば技の名前も違う。リングで魅せるテクニックや技の数々を見ていると、とにかく凄いことは伝わってくるが、ストーリーやレスラーそれぞれのバックボーンについて不勉強なため、試合を純粋に楽しむという状態に留まっていた。
だが、この状況をナマハゲ選手は打開した。メヒコの日本食屋で働いていたナマハゲ選手に今回白羽の矢が立ったのは、日本語でしっかりとルチャの魅力を伝えられるレスラーを探していたことが理由だったのかもしれない。
帰国した瞬間からTwitterを開始したナマハゲ選手はまたたく間に5000人のフォロワーを獲得した。そこで発信される内容が全て素晴らしいのである。
今年始まったばったかだけど
— ナマハゲ (@namajague_japon) January 14, 2019
今までの人生で
一番楽しくて
一番充実してる年だ
俺がルチャドールとしてデビューした年より
夢が叶っている
ボラドールとゲレーロとミスティコとライガーとカリスティコだぞ?(敬称略)
ありえねーからな
レジェンドと一緒にリングに立ったことを素直に喜ぶ。敬称略と入れるだけで、どれだけリスペクトしているのかも伝わってくる。
自分自身が『ファンカスティッカマニア2019』をとことん楽しむことで、周囲に魅力を伝えていく。
また、入場時にファンたちとタッチを交わしてからリングインするパフォーマンスを最高だ。
ルチャドールとして自分が魅力だと思うことをそのまま伝えていく。ある意味でファンがファンを呼ぶ最高のPR方法だったように思う。
いよいよ最終日
ナマハゲ選手の最終戦は親分兄弟とタッグを組み、ドラゴン・リー選手ら若手の人気選手と対峙する。これまでとことんルチャの魅力を発信してきたナマハゲ選手の試合が見れなくなることは非常に残念なことだが、今年の盛り上がりを見ると、きっと再びオファーの声が掛かると思う。
「大和魂」
遠いメキシコの地から大和魂を背負って、凱旋帰国を果たしたナマハゲ選手。
今後、願うことがあるとすれば、日本食屋の合間に「新日本プロレスワールド」のCMLLで実況解説も務めて欲しい。
いや、焦りすぎた。まずは、最後の試合もしっかりと応援したい。
ナマハゲ選手、ありがとう。あなたのお陰で年明けそう悲壮感が漂っていた新日本プロレスがパッと明るくなった。
再びナマハゲ選手のルチャを日本で見ることができるチャンスを楽しみ待っている。
Gracias amigo!