タイチの乱入劇はファンを巻き込んだ新しい挑戦の幕開けか
2019年1月21日は日本プロレスが贈るルチャの祭典『ファンカスティッカマニア2019』の最終日だった。
祭りの終わりに相応しい、熱と盛り上がりが後楽園ホールを包む中、第3試合で衝撃の乱入劇が巻き起こった。
「鈴木軍」の『IWGPインターコンチネンタル王者次期チャレンジャー』タイチ選手と前『IWGPジュニアタッグ王者』金丸義信選手、エル・デスペラード選手が突如姿を現し、試合をぶち壊したのである。
「今日から開幕だと思って、間違えて来ちゃった」
4人タッグマッチの試合を3人でノーコンテストに持っていく実力。以前から常に内藤哲也選手が「力のある選手」という言葉の通り、圧倒的はパワーでリング上の選手たちを蹂躙した。
そして今回、タイチ選手はリングの上でこう言い放った。
「日本一マナーの悪いハポンファン」と。
タイチ選手が“ハポンファン”に対して、悪態をついている真意とは何か。その胸中を想像してみたい。
ツイッターというプラットフォーム
ここから書くのは一部の“ファン”が行ったことであり、プロレスファンひいては、『ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン』ファン全体を指す訳でない。その点を了承の上読み進めて欲しい。
以前からタイチ選手は“ハポンファン”という言葉を度々使用して来た。
おそらく最初に飛び出したのは2018年の「タカタイチマニア」に内藤哲也選手を招集する以前、髙橋ヒロム選手とBUSHI選手を招いた自主興行で“ハポンファンシート”を用意した時のように思う。
当時は“ハポンファン”という言葉のみでマナーが悪いという言葉が枕詞として使用されることはなかった。
タイチ選手がヘビー級に転向した時期から『鈴木軍』VS『ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン』との抗争が更に激化していった。
タイチ選手も新日本プロレスの旗揚げ興行や後藤洋央紀選手との『NEVER無差別級タイトルマッチ』の試合順などで内藤哲也選手とツイッター上で絡む機会が自然と増えていったときに、色々と妙なリプが飛ぶようになって来た。
また、タイチ選手がプライベートの時間に許可なく撮影した方が『ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン』のグッズを身につけていたのである。
そして、タイチ選手は他のプロレスラーが言いたくても言えない胸中を激白した。
本隊の連中とかよ
— タイチ (@taichi0319) December 7, 2018
ケイオスの連中
その他諸々
偽善者でいたいから、てめぇらのマナー違反対して直接何も言って来ないんだろうよ
だからって調子に乗んな
言わないだけで、相当イラついてるぞ
盗撮や無理やりな声かけ
さっきもそうだが
俺は直接言うから
ありがたい話だろ
おそらく限度を超えた何か、これまでの鬱憤からこうした発信を行なったのだろう。
アイドル的(悪い意味ではない)な売り方で成功を掴んだ選手は間違いなく、キャラクター的にこうしたコメントはできない。
また、冬(暗黒)の時代を知っていると、どんなファンにも親切丁寧に接するのが習慣付いているはずである。
盗撮は犯罪です。
CMで聞いたことがあるメッセージが通用しない世界に生きている中で生まれたタイチ選手の叫びをもう一度考えなくてはならないのかもしれない。
新しい対立構造
中邑真輔選手は「選ばれし神の子」を脱却するためにアントニオ猪木さん、ストロング・スタイルに勝負を挑んだ。
棚橋弘至選手はプロレス冬の時代に変化を生む流れを作る勝負を挑んだ。
オカダ・カズチカ選手は棚橋弘至選手が築いた長期政権という時代に戦いを挑んだ。
内藤哲也選手は蝶野正洋選手以来に新日本プロレスという団体に喧嘩を売り、木谷オーナーを引っ張りだした。
そして、タイチ選手は新しい戦いに乗り出しているように思う。
敵対する内藤哲也選手ではなく、彼が立ち上げた『ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン』のファンに暴言を吐いたのだ。
内藤哲也選手からは現在、声明は出ていない。
『CHAOS』の後藤洋央紀選手は勘違いがあったとは言え、「オレのファンをバカにする奴は許さん」とすぐにコメントを出した。
だが、ファンのことを「お客様」と言うプロフェッショナルは自分たちのユニットのファンがバカにされているにも関わらず何も言わないのである。
ここから巻き起こるのは、内藤哲也選手が『ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン』のファンについてどう思っているのか?という問題なのかもしれない。
自分が巻き起こした誰にも真似できないムーブメント。この裏にある一部ファンのマナーに反した行動。
これについて、内藤哲也選手が口を開く瞬間が来たのではないだろうか。
何かが起こる札幌
タイチ選手がいよいよ『IWGPインターコンチネンタルベルト』に挑戦する。
『NEVER無差別級ベルト』戴冠後に挑むのは、かつて中邑真輔選手が白い輝きを生み、内藤哲也選手が制御不能の色を付けたベルトだ。
だが、この白いベルトを内藤哲也選手の手元に戻したのは『鈴木軍』の総大将である鈴木みのる選手である。
もしも、タイチ選手が『IWGPインターコンチネンタルベルト』を巻くことになると、鈴木みのる選手と肩を並べる結果になってしまうのである。
内藤哲也選手は以前からタイチ選手に自分よりも倒すべき相手がいるのではないか?と公言している。
タイチ選手もこの言葉だけには反応したことがない。
もしもこのベルトをタイチ選手が戴冠した時、まさかのドリームマッチが待ち受けているのかもしれない。
その前にまずは“ハポンファン”を侮辱したタイチ選手に対して、内藤哲也選手は何かアクションを起こすのか?それとも起こさないのか。
今回も『鈴木軍』と『ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン』の前哨戦が楽しみである。