タマ・トンガの“グッドガイ”アピールは一体何を意味しているのか?

2019年のイッテンサン「大プロレス祭り2019」以降、タマ・トンガ選手の様子がおかしい。

“バッドボーイ”を名乗っていた『BULLET CLUB』オリジナルメンバーは、自身を“グッドガイ”と称し、ラフなスタイルなスタイルから一転、クリーン過ぎる戦いに身を投じている。

新日本プロレスではヒールユニットである『BULLET CLUB』に籍を置きつつ、フェイスターンを成し遂げようというのか。

その変化は言動だけではなく、ファイトスタイルにも影響を及ぼしている。

プロレスにおいて反則は切っても切り離せないところに位置している。

何故ならば、ルール上「5秒以内の反則行為」は認められているためだ。

レフェリーの見ていない隙を突いて、相手にダメージを与えることは日常茶飯事である。

ただ、グッドガイはそれすらも否定した態度を示している。

これまでヒールとして行ってきたことを振り返ると、簡単に信じることはできない。

当然、極悪非道のヒールから敏腕プロデューサーへと華麗なる転身を遂げた矢野通選手からも「ノー!!ユー!!バッドガイ!!!」と、リング上で指摘されている。

その度に「グッドガイ!!!」と言い張る様は珍妙なようで非常に有意義な時間である。

現在の新日本プロレスで繰り広げられているトラッシュ・トークで僕はこの1シーンが一番好きだ。

ただ、タマ・トンガの“グッドガイ”アピールは一体何を意味しているのだろうか?

その答えを紐解いていく思考の旅に出てみよう。

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ジ・エリート離脱というチャンス

ケニー・オメガ選手が『G1クライマックス』で初出場・初優勝を果たし、Cody選手が新日本プロレスマットに登場した頃から『ジ・エリート』の勢いが止まらなくなっていった。

タマ・トンガ選手とタンガ・ロア選手は2017年以降、『ワールドタッグリーグ』で3年連続の決勝戦進出という快挙を成し遂げている。

にも関わらず、注目が集まるのは常に『ジ・エリート』側だった。

当然、オリジナルメンバーとして非常に歯がゆい思いをしていたのだろう。

つもりに積もった鬱憤はあの『バレットクラブ』分裂騒動へと発展した。

悪事の限りを尽くした2018年の『G1クライマックス』ではメイ社長が直々に退場を申し出るなど、本来の『バレットクラブ』としてのあるべき姿を追求していたようにも思う。

そして、2019年『ジ・エリート』は新団体『AEW』を旗揚げし、新日本プロレスからは離脱した形となった。

するとどうだろう。悪事を働いていた“バッドボーイ”が“グッドガイ”を宣言し、自らを大きく変えてきた。

人気レスラーの離脱に伴う変化。僕は2つの印象を受けている。まずは、内藤哲也選手が『ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン』を作った時に近いということ。

次に『バレットクラブ』が『CHAOS』のように様々な個性がぶつかり合う混沌としたユニットへと生まれ変わろうとしているのだはないか。ということだ。

現在のリーダーはジェイ・ホワイト選手。クールで猟奇的な魅力は圧倒的なヒールとしての存在感を放っている。

リーダーはユニットの顔だ。一番分かりやすいのは『鈴木軍』だろう。統率の取れたバランス感を常に感じさせるヒールユニットである。

では『バレットクラブ』はどうだろう。

KUSHIDA選手のラストマッチという感動的な場面をぶち壊したリーダーと「キープオンジャーニー」で弄られている男が同じユニットいるのだ。

そして、田口隆祐選手から辱めを受けている石森太二選手は現在ユニット内で唯一のベルトホルダーである。

クールな“ガイジン”ユニットを枠を『バレットクラブ』として越えようとしているのではないか。

『ジ・エリート』ではなく、自らの手で。

 

バレットクラブ メンバーの変化

バッドラック・ファレ選手は“ジ・アンダーボス”から“ジ・ローグジェネラル”へと2つ名を変えた。

直訳すると悪党の将軍。用心棒から始まったキャリアがここまで上り詰めたと考えれば味わい深いものがある。

邪道選手もレスリングマスターからフーリガンへと変貌した。

ミラノ・コレクションA.Tさんが愛するチェーズ・オーエンズ選手も「最近、態度が変わった」ということである意味ジェイ・ホワイト選手が発する『BULLET CLUB』らしさが波及していると言えるだろう。

それぞれのメンバーが勝利を最優先し、悪に手を染めることを辞さないといった状況の中、タマ・トンガ選手は浮いた存在になりつつある。

 

グッドガイが目指すもの

タマ・トンガ選手はグッドガイとなることで、ケニー・オメガ選手ら『ジ・エリート』が埋めたアメプロらしいエモーショナルな路線を再現しようとしている。

ただ、『BULLET CLUB』にはそんなキャラクターは必要ないと他のメンバーは否定的で噛み合わないという立ち位置を取っている。

タンガ・ロア選手は「昔のタマ・トンガ選手であれば、『NEVER無差別級6人タッグ』のベルトも落とすことは無かったとバックステージで語った。

「ゲリラズ・オブ・デスティニー」はこれから矢野通選手&真壁刀義選手とのタッグマッチも控えている。

2019年、グッドガイを志すタマ・トンガ選手はこれからどう戦い抜いていくのだろうか。

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