天山広吉は飯塚高史を正気に戻せるのか?
2019年2月を持って新日本プロレスを、プロレスラーを引退する飯塚高史選手。
天山広吉選手との友情タッグを解消し『GBH』に寝返って以降、彼は徐々に理性を失っていった。
「昔の飯塚高史は等々力渓谷のほこらに封印したんだよ!」とコミュニケーションが取れていた時代もあったが、2019年現在では奇声しか発することが出来ないほどに己を見失ってしまっている。
『鈴木軍』のメンバーたちですら会話ができていないほどだ。
では、何がどうなって引退が決まったのか。タイチ選手曰く自分の地元が北海道であることすら覚えていないだけに、疑問は募るばかりではあるが、エックスデーは待ってくれない。
そんな時、友情タッグを結成していた天山広吉選手が「何かが起きる雪の札幌」でマイクを持った。
新日本プロレスの興行で試合前にマイクを持つのはTAKAみちのく選手以外かなり稀なことなので、『新日本プロレスワールド』で観戦していた僕も大きくおののいた。
バックステージでも、まだまだ諦めないという姿勢を貫いている天山広吉選手。
天山広吉選手は飯塚高史選手を正気に戻せるのか?
プロレスに“友情”は存在するのか。それとも存在しないのか。
棚橋弘至選手とオカダ・カズチカ選手。真壁刀義選手と矢野通選手。
様々な人間模様が星座のように展開される新日本プロレスのリングで一つの答えが出ようとしている。
言葉の意味は理解している?
天山広吉選手が試合前にマイクを持ち飯塚高史選手へ“友情タッグ”を再始動しようとメッセージを贈った。
だが、次の瞬間には飯塚高史選手は天山広吉選手を強襲した。
言葉の意味を理解し、蹴りを見舞ったのか。それとも、今日の対戦相手(らしき)存在が、隙だらけだから襲ってしまったのか。
飯塚高史選手の意識、いや知性が残っている復活している場合、何かのキッカケで元に戻るようなことが起こっても変でない。
2019年2月11日に開催される『THE NEW BEGINNING in OSAKA』。
この日の第一試合は新日本本隊VS鈴木軍である。
最後の裏切りはここで起きるのか?
後楽園ホールの大歓声
聖地・後楽園ホールで新日本プロレスが興行を行えば常に満員御礼。対戦カードによっては消防法ギリギリの札止めまでファンは詰めかける。
その様子や盛り上がりは『新日本プロレスワールド』を通しても十分に伝わってくる。
常にいい熱、いい緊張感の中で試合が行われている。
内藤哲也選手や棚橋弘至選手、オカダ・カズチカ選手の入場や試合中は更にファンのボリュームが上がる。
だが、ここ最近の試合で最も大歓声が巻き起こったのは、『ワールドタッグリーグ2019』鈴木みのる選手&飯塚高史選手VSタイチ選手&ザック・セイバーJr.選手の試合だったように思う。
そう、飯塚高史選手がザック・セイバーJr.選手にスリーパーを掛けた試合だ。
あの瞬間、後楽園ホールは揺れた。『新日本プロレスワールド』でも明らかに伝わってくるほどのどよめきと凄まじいまでの「飯塚コール」があった。
怨念坊主が大歓声を浴びたのは一体いつ振りのことなのだろうか。
あの日以来、ブーイングのみを浴び続けてきた男が久し振りに魅せた魔性のスリーパーは、それだけでチケット代以上の価値があるものだったように思う。
正気に戻る勇気
飯塚高史選手は、約10年間怨念坊主として生きてきた。
10年間。3650日。
新卒で会社員になった若者が結婚して、子供が出来て、メンバーも抱えている。
それだけの時間を狂人として生きてきたわけだ。
強いし、上手い。顔もいい。
なのに「何か」が足りなかった。
埋もれたまま生きるという選択や他団体への移籍、違う職業。
様々な道の中で悩み苦しみ、その結果狂ったという経験は飯塚高史選手しか歩めなかったプロフェッショナルであり、パパはわるものチャンピオンの道である。
天山広吉選手がマイクを持つたびに思う。あぁ、引退興行が近づいてきたんだな、と。
外野からなにを言われても、今更引くことなんてできない。そんな覚悟なら、10年間も祠に理性を納めたりなどしない。
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でも、でも僕は“友情タッグ”が見てみたい。
キャリア33年の大ベテランは一度たりともシングルベルトを戴冠したことがない。
ただ、タッグであれば新日本プロレスとプロレスリング・ノアの2団体で戴冠している。
であれば、ラストマッチもシングルではなく、タッグで行って欲しいと思っている。
ただ、最後の花道は飯塚高史選手が一番納得できる形で歩んで欲しい。
「10カウントもいらない!」と狂い続けてもいい。
第3世代や鈴木軍が総出で10カウントゴング中に押さえつけててもいい。
どこかのタイミングで正気を取り戻してもいい。
どれだけ泣いてもいいように、『鈴木軍』のタオルだけは準備済みだ。
最高の引退ロード
人は誰しも仮面を被って生きている。素顔のままで生きている人はそう多くないだろう。
飯塚高史選手はその仮面を付けている時間があまりにも長すぎた。
正気に戻る勇気。正気で人前に出る勇気。
僕の本業でアーティストの方に取材をさせていただく機会があるのだが、年間いくつものステージでパフォーマンスする彼らでも、開演前には凄まじいまでの緊張感に包まれるという。
ただ、勇気を持って踏み出すこと、お客様の歓声、スポットライト、そしてスタッフを含めた仲間たちの存在が自分を強くしてくれると語っていた。
飯塚高史選手には全て揃っている。
友情か信念か。飯塚高史選手は今、最後の日に向けてとことん自由にプロレスを楽しんでいるはずだ。
どんな結果でも、どんな展開でも受け入れる。
僕から新日本プロレスに1つだけ頼みがあるとするならば、その日の実況は野上慎平アナウンサーでお願いしたいというくらいだ。