新日本プロレスのリングで本間朋晃と邪道が2年振りに戦う意義

2019年2月27日、新日本プロレスが「NEW JAPAN ROAD」沖縄興行を開催する。

沖縄。

2017年3月3日に本間朋晃選手が緊急搬送された土地である。あれから2年が経った。

ただ、棚橋弘至選手が語ったように、けっしてプロレスは悲劇になってはならない。沖縄が新日本プロレスにおいて、悲しい場所であってはならないのだ。

本間朋晃選手、邪道選手がそれぞれの壁を乗り越えるため、新日本プロレスはメインイベントにこの対戦カードを組んだ。

棚橋弘至選手&真壁刀義選手&本間朋晃選手VSタマ・トンガ選手&タンガ・ロア選手&邪道選手である。

「バレットクラブ」移籍後、一度もリングに上がっていなかった邪道選手が、沖縄で本間朋晃選手の対角線に立つ。

本間朋晃選手の隣には「GBH」として2人になっても活動を続けてきた真壁刀義選手と同じ歳であり、自分の頑張りを見てイッテンヨン「レッスルキングダム13」でケニー・オメガ選手から「IWGPヘビー級ベルト」を奪還した棚橋弘至選手が並び立つ。

新日本本隊と「CHAOS」の越境タッグが多くなってきた今、新日本本隊だけでメインイベントを飾るのは久しぶりの光景でもある。

それほどに今回の沖縄興行には価値があるのだ。

新日本プロレスが今大会で伝えるメッセージは一つ。

恐怖心と向き合い、乗り換え、成長することの大切さに違いない。

新日本プロレスのリングで本間朋晃と邪道が2年振りに戦う意義。しっかりと公式サイトと週刊プロレスで公開されるレポートで受け止めたい。

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内藤哲也の愛情

本間朋晃選手のリバビリはどれほど過酷だったのか。この点については多くを報じられていないため、記載することは難しい。

であれば、彼が戦線に復帰した、「一歩踏み出す勇気」を持った瞬間のことから書き残したい。

本間朋晃選手の復帰戦、内藤哲也選手は普段使わない技を一つだけ繰り出した。

プロレスラーが繰り出す技には一つひとつメッセージがある。

つなぎ技やダメージを蓄積する技。フィニッシュとなる必殺技。掟破り。そして、過去の必殺技。

例えば、後藤洋央紀選手の昇天・改や内藤哲也選手のスターダスト・プレス。棚橋弘至選手のスタイルズ・クラッシュ、飯伏幸太選手のフェニックス・スプラッシュ、高橋裕二郎選手の東京ピンプス。

過去の必殺技は試合の雰囲気をガラッと変えらる。それほどに価値のあるムーブだ。

では、これまでに使っていない技を繰り出すのはどうか。新技として今後組み込まれるかもしれない。局面を極めるような技であれば、観客にも伝わるだろう。

「今の技は何だ!?」

ただ、内藤哲也選手が本間朋晃選手に繰り出した技はこの類のものではなかった。

彼が大怪我を負った「グリーンキラー」。過去、内藤哲也選手には縁のなかった技だろう。

 

超人として生き続けるために

相手のトラウマに直接訴えかける一撃。

破壊力以上に精神的なダメージは計り知れない。

それを復帰戦で内藤哲也選手は繰り出したのだ。

だが、本間朋晃選手はプロレスラーとしてリングに復帰したのである。

リングに立っていれば「グリーンキラー」はいつ飛び出されるのか分からない。

それが先延ばしになればなるほど、恐怖心は肥大化する。

本間朋晃選手が復帰後に乗り越えなければならない大きな壁。試合中にしか現れない壁を真っ先に内藤哲也選手は示した。

そして、決めた。この時、本間朋晃選手は「恐怖」の表情を浮かべていた。

だが、耐えきった。受けきったのだ。

「みんなのこけし」が魅せる試合は常に会場の空気を明るくして、元気を与えるものでなくてはならない。

いつまでもそこに恐怖がチラついては、プロレスラーとして本格的に復帰したとは言えない。

だがらこそ、内藤哲也選手は心を鬼にして技出した。

怪我をさせてしまうリスク。ここから立ち上がれないかもしれないというリスクを全て背負って、だ。

本間朋晃選手は内藤哲也選手の技を受けきった。

アニマル浜口道場の絆は“制御不能”になった今でも失われていないのである。

 

もう一つの復帰戦

邪道選手も怪我の影響でしばらく試合から遠ざかっていた。「CHAOS」の一員として、一度は復帰したものの、再び欠場へ。

そして、試合に出ないまま「CHAOS」を離脱し、「バレットクラブ」へと寝返った。

外道選手がジェイ・ホワイト選手と離反した時にも「どうした兄弟!?」とツイートしていたものの、その後には「やるじゃない」と、以前から裏切る方向にあったことを公言した。

そこからは姿を変え、「バレットクラブ」の試合に竹刀を持ち介入する日々が始まった。

エアボーンフーリガンには過去の面影はない。

本間朋晃選手に対して「グリーンキラー」未遂とも言える行動にも出た。

プロレスラーとはこんなに辛く厳しい道を歩まなければならないのか。

Twitterでも悲痛な声が飛び出していた。

そして、邪道選手の正式な復帰戦とも言える試合が沖縄で組まれた。

「何かが起こらない沖縄」

この日、「新日本プロレスワールド」の中継はない。

日頃、サプライズを待っている僕たちにとって、何事もないことを祈る日になりそうだ。

願わくば「グリーンキラー」を受けきり、こけしで勝利を掴むという展開を期待したい。

プロレスラーは超人。本間朋晃選手ならばきっとできるはずだ。

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