鈴木軍によるTwitterでの宣戦布告は現代式の前哨戦だ

新日本プロレスの「鈴木軍」。2017年1月5日にプロレスリング・ノアから帰還後、常に話題を生み出しているヒールユニットである。

ヒールとは仕掛ける存在。その本質を貫く彼らは、これまでリング上やバックステージでその存在感を遺憾無く発揮してきた。

ついにはSNSでも対戦相手やその候補を挑発し、時には140文字で次の物語を暗示させている。

タイチ選手が後藤洋央紀選手と「NEVER無差別級」を舞台にTwitterを含めた舌戦を開始したのは2018年のこと。

その以前から金丸義信選手とエル・デズペラード選手は「ロッポンギ3k」や「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」のBUSHI選手や鷹木信悟選手に対して、辛辣なメッセージを送っていた。

そして、いよいよ鈴木みのる選手が内藤哲也選手をターゲットにTwitter上での侵攻を開始した。

また、タイチ選手と天山広吉選手の飯塚高史選手の「ココロ」を懸けた「天山劇場(仮)」も繰り広げられている。

「鈴木軍」全員のTwitterをフォローし、注視すると今の新日本プロレスがもっと楽しくなるのは間違いない。

そう、鈴木軍によるTwitterでの宣戦布告は現代式の前哨戦だ。

プロレスラーによるSNS活用術

新日本プロレスはブシロード体制となったタイミングで所属レスラーによるSNSの活用を推進してきた。

勉強会を開催するほどの徹底ぶり。これは集だけではなく、個でも情報発信をすることで、インターネット上でのインフォメーションを強めることが狙いだ。

例えばTwitterは基本的にタイムラインで表示されている。Facebookと違いアルゴリズムがないため、配信時間によっては流れてしまった後になる可能性もある。

そこで、選手それぞれでも定期的に情報発信を行うことで、認知を高めることができているのである。

棚橋弘至選手は新日本プロレスの中でも特にSNSの活用が上手い。

TwitterやInstagram、wear。それぞれのプラットファームに合わせて、セルフブランディングを行うことで、プロレスラーとしての自分、俳優としての自分、ファショナブルな自分、健康的な食生活送っている自分を発信してきた。

ただし、ベビーフェイスという特性上、あまりSNSで相手選手に仕掛けるという行動には出てこなかった。

「棚橋弘至のSNSを見たら楽しい気分になれる」

これが、運用に関してのゴールにあるためだろう。殺伐としてしまうことを狙っていないのである。

では、「鈴木軍」はどうだろう。

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ヒールの場外乱闘はインターネットへ

金丸義信選手は「こことここかが違う」と言い放ち、効率的に勝利を掴むことを心情としている。

新日本プロレスは5秒以内の反則がルール上認められている。そのルールを最大限に活用して勝つのはクレバーなスタイルだと言えるだろう。

舌戦も効率的に的確なメッセージを贈るのが、「鈴木軍」の特徴だ。

体育教師やたけし。様々な角度から相手選手を煽る。

そして、いよいよバックステージたまけではなく、SNS上での宣戦布告やメッセージが増えてきた。

ここにはファンの心理的変化があるように思う。

 

常に刺激が欲しいファンたち

現代人はスマホの台頭により、情報を得ることが容易になり過ぎた。

今やTV番組のライバルは他局の番組だけではく、スマホコンテンツとの争いにもなっている。

時間という有限なものに対して、いかにコンテンツをリーチするのか。

この視点で考えると、新日本プロレスのライバルはあらゆるコンテンツになるのだ。

「新日本プロレスワールド」のライバルは別のプロレス団体ではなく、NetflixやAmazonプライム・ビデオビデオなのである。

そこで、「鈴木軍」はインターネットをも侵攻対象に広げた。

これにより、前哨戦の接点が増え、新日本プロレスファンは釘付けになる時間が増える。

事実、2019年2月21日まで新日本プロレスの興行はないが、話題の提供に成功しているのである。

ヒールとは仕掛ける存在。その進撃から目を離すのはあまりに勿体ないことだ。

 

リプについて

鈴木みのる選手が内藤哲也選手に宣戦布告するツイートを行った後、「同調するな」と投稿した。

このエピソードは非常に考えさせられることだと、僕は思った。

以前からタイチ選手は「ハポンファン」について煽ってきた。

世界一マナーが悪い、と。

以前から何度か僕もリプ問題については書いてきたが、今回の一件で合点がいった。

一部のファンの方はそれぞれのユニットの一員に近い立場にあると感情移入し、所属レスラーと同じ目線で発言しているのである。

だからリプが荒れるのだ。

例えばベビーフェイスである棚橋弘至選手のファンやオカダ・カズチカ選手のファンは選手に対しての愛は発信するが、相手選手やファンを煽ることはしない。

これは選手に近い目線でプロレスを見ている、応援しているためである。

では、「鈴木軍」や「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」のファンはどうだろう。

彼らはヒールであり、“制御不能”な存在である。

相手レスラーの痛いところを突くし、反体制として団体も批判する。

そうして仕掛けることで、話題を生み出し、新日本プロレスを沸かせている。

ただ、同じ目線で見ている一部のファンは素直にメッセージを受け取り過ぎて、暴言という形に出る。

ここで僕の所感を書く。

レスラーとレスラーの言い争いは舌戦になるが、レスラーに対してファンが妙な発信をすることは、誹謗中傷なのだ。

自分の推し選手の発言を支持し、応援メッセージを送るのは素晴らしいことだ。

ただ、行き過ぎた発言が出ているのも事実としてある。

中には、内藤哲也選手の古傷に言及をしている方もいた。鈴木みのる選手は内藤哲也選手を倒したいだけで、怪我をさせたいと思っているわけではない。それはプロレスではないためだ。

棚橋弘至選手が「IWGPインターコンチネンタルベルト」を失った後、欠場という結果になった。これは、棚橋弘至選手のタップが遅かったのだ。

プロとして弱点は攻めるのが定石。だが、決して壊したいわけではない。正々堂々、鈴木みのるのスタイルで叩き潰すのがゴールなのである。

選手が今回のツイートで何を伝えようとしているのか。その裏側まで考えながら、Twitterを眺めることで、もっと新日本プロレスが楽しくなるはずなのだ。

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