田口隆祐の「ニュージャパンカップ」出場に見る、ヤングライオンのアピール不足

新日本プロレスで唯一無二の輝きを放つ田口隆祐選手が「ニュージャパンカップ2019」にエントリーすることが発表された。

肩の負傷により出場が見送られたデビット・フィンレー選手は「タグチジャパン」のメンバーだ。

彼の空いた穴は自身が塞ぐと公言していた田口隆祐選手が選ばれたのは、監督として選手の責任を取るという判断もあったのだろう。

また、ジェイ・ホワイト選手が棚橋弘至選手から新日本プロレス至宝「IWGPヘビー級ベルト」を奪取したことにより、次のチャンピオンが第69代王者となる。

田口隆祐選手は「第69代IWGPジュニアヘビー級王座」に輝いたことで、それまでの地味なキャラクター性から一新した。

同期や先輩、後輩までをオマージュ。“ガイジン”レスラーとジュニアで結果を残す身体能力抜群の名レスラーは69という数字を手に入れたことで、CDデビューを果たし、「タグチジャパン」監督となり、YouTubeでも冠番組を持った。

それだけに田口隆祐選手には期待せざるを追えない。一方でこうも思った。

少々辛辣な意見になるが、ヤングライオンの3人は何をしているのか、と。

69という数字が懸かっているということで、アピールしまくっていた田口隆祐選手以上に「自分がそこに出たい」というアピールを新日本プロレスに対してできていたのか、と。

事実、現在頭一つ抜けたところにいる海野翔太選手は「ニュージャパンカップ2019」にも出場するし、Twitterでアピールを重ね、「タカタイチハウス」にもエントリーする。

田口隆祐の「ニュージャパンカップ」出場に見る、ヤングライオンのアピール不足。これが今回の発表で感じた僕の感想だ。 

特に、成田蓮選手。彼には稀代のヤングライオンである、髙橋ヒロム(当時、髙橋広夢)選手の姿勢を改めて、学んでみて欲しいと思った。

f:id:yukikawano5963:20190305003355p:plain

髙橋広夢という稀代のヤングライオン

現在、復帰への調整を行っている髙橋ヒロム選手はとてつもないヤングライオンだった。決して勝率が高いわけではない。卓越したテクニックがあるわけでもない。体の大きさで目立つわけでもない。

にも関わらず、将来のスターは髙橋広夢だと言われ続けてきた。その裏にあったのは、圧倒的なアピール力と行動力だったように思う。

2012年の「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」前日会見に姿を現し、ブラック・タイガーの欠場に対して空いた穴を自分が埋めると菅林会長に直談判した。

デビューから2年が経っていないヤングライオン。新日本プロレスジュニアは世界一とも称されるレベルの高さを誇る。経験を積ませるという意味もあるが、レベルを下げるのはどうか?という見方もある。

それでも髙橋広夢選手は選ばれた。本気の熱意は周囲を納得させる力があるのだ。

ヤングライオンには謙虚な姿勢も必要だ。ただし、プロレスラーはあくまでも個人で生きていくしかない。周囲を認めさせなければいつまで経ってもスターになることはできない。

天然のスター性を持った髙橋ヒロム選手と比べるのは、流石に分が悪い気もするが、ヤングライオン、特に成田蓮選手にはもっとアピールして欲しかった。

なぜならば、今の新日本プロレスのテーマは「NEW ERA」と「REBORN」。「IWGPジュニアヘビー級選手権試合」に敗れたばかりで、“ジュニア”の田口隆祐選手がエントリーするのであれば、未来への番狂わせを見たかったのである。

 

成田蓮に足りなかったもの

今回、僕は成田蓮選手のエントリーに期待していた。というのも、大番狂わせが2回連続で起きれば海野翔太選手と戦う可能性があったためである。

海野翔太選手は棚橋弘至選手と一回戦を戦う。そして、トーナメント表を見ると2回戦でぶつかるのは天山広吉選手とデビット・フィンレー(今回の発表で田口隆祐選手)だったためだ。

新世代の闘魂三銃士というブランドは、八木哲大さんの退団により潰えてしまった。そして、海野翔太選手の躍動がはじまった。

同期のライバル

海野翔太選手は吉田綾斗選手とタッグを結成し、「ワールドタッグリーグ2018」にもエントリーを果たした。

勝利こそ掴むことはできなかものの、確かな爪痕を残したのは事実としてある。団体の枠を超えた次世代を担う2人の選手。タッグチームを結成しているものの、距離感としてはライバル関係を保ち続けている。

「吉田!」

「いけ!海野!!」

こういった声が飛び交う2人の関係は見ていて、清々しい気持ちになる。

こうした実績を買われて、海野翔太選手は「ニュージャパンカップ2019」に初エントリーを果たした。

一方で、成田蓮選手はこのコメントを残したのみである。

成田「悔しい……。あいつ(海野)は『NEW JAPAN CUP』に出て、俺は出れない。なんでだ? 悔しい……」 

出典:新日本プロレス

新日本プロレスで躍動しているライバル。新日本プロレスとは違う道を歩み始めたライバル。

この2人に挟まれる中で、プロレスラーとして一歩踏み出すためには、アクション、アピールを起こすしか無いのだ。

キレイな技をリングで披露するもの一つのアピール。ただし、その先にある存在に噛み付くことが最も効果的なアピールであることは歴史が証明してきた。

長州力さんは藤波辰爾さんに。天龍源一郎さんはジャンボ鶴田さんに。

中邑真輔選手はアントニオ猪木と総合格闘技という世界に。内藤哲也選手は新日本プロレスという団体と木谷オーナーに。

自分の枠を超えたところ立ち向かう生き様。ここにプロレスファンは目と心を奪われるのだ。

 

最後までアピールするしか無い

最後の手段が一つだけある。

以前、天山広吉選手は小島聡選手から「G1クライマックス」の出場権利を譲渡されている。つまり、大会の違いこそあれ、選手間での権利移動は黙認された前例があるということだ。

成田蓮選手が本気で「ニュージャパンカップ2019」にエントリーしたいのであれば、田口隆祐選手に譲って欲しいと猛アピールすることだ。

「田口さん僕の(心の)穴を埋めて下さい。なんでもします」と。

元々の性格もあると思うが、必要な時には己を変えるのがプロレスラーという生き方である。

棚橋弘至選手や内藤哲也選手。トップレスラーはそれぞれリングの上の自分を持っている。

成田蓮選手はもっとアピールしてもいい。だって、試合面白いんだから。

監督のサプライズと猛牛の意地

2008年以来の「ニュージャパンカップ」へ出場を果たすことになった田口隆祐選手。この時点で「大田口コール」が起きるのは確定である。

つまり、登場した時点で田口隆祐選手には分がある。ただし、百戦錬磨の天山広吉選手がどう“ファンキー・ウエポン”を受け止めるのかが見ものなのだ。

そして、天山広吉選手はタグチジャパンのメンバーではない。ここにも何か理由があるきがしている。

この試合を通じて新しい友情が生まれるのか。それとも“猛牛”が意地を見せるのか。今後の展開が楽しみである。

新社会人へ

新日本プロレスを見ているファンの方で新社会人となり、これからデビュー戦を飾る方へ、老婆心ながら僕からメッセージを贈っておきたい。

謙虚な姿勢を持ったアピール。そして、謎の自信。

この2つがあると非常に出世が早く結果が付いてくる。

髙橋ヒロム選手はとにかく自分を売り込むことでスターダムへと駆け上がった。

海野翔太選手は選ばれたチャンスで結果を残し、じわじわと地位を高めた。

新日本プロレスは試合や物語を楽しむだけのものではない。その先にあるメッセージを受け取り、実生活に活かすことでよりよい人生を送ることができるのだ。

→人気プロレスブログはここからチェック!

→NJPW FUNのTwitterフォローはこちら