飯伏幸太とザック・セイバーJr.!第2ラウンドの行方
「ニュージャパンカップ優勝のは誰ですかー?」
2018年、TAKAみちのく選手が突如始またマイクパフォーマンスを受け、新日本プロレスの春を駆け抜けた男ザック・セイバーJr.選手。
一回戦で内藤哲也選手。そして、二回戦で飯伏幸太選手を敗った。
その後、「G1クライマックス」でリベンジを果たしが2人の戦績は1勝1敗のイーブン。
あれから一年後の春に再び二回戦で雌雄を決する時が来た。
2019年3月16日、再びこの飯伏幸太選手とザック・セイバーJr.選手が激突する。
この二人の試合は非常に面白い。
相手の長所を徹底的に消すザック・セイバーJr.は、飯伏幸太選手から翼を奪う。
ハイフライヤーとしての側面もある飯伏幸太選手、普段と違うリズムで戦わなければならない。
まずは相手レスラーをリズムに乗せないこと。自分のリズムを徹底すること。その矜持が英国の匠にはある。
だが、「ゴールデン☆スター」も負けるわけにはいかない。
「僕は新日本プロレスに残ります」
この一言の裏側には、上を目指すという意味が含まれる。
2018年の「ニュージャパンカップ」優勝者が意地を見せるか。それとも決意を決めた男が本気の本気を魅せるか。運命の一戦を追っていきたい。
それぞれの個性
打撃やスープレックスでは飯伏幸太選手。関節技、グラウンドではザック・セイバーJr.選手。
2人の長所が分かれているだけに、どちらがペースを握るのかで結果は大きく変わる。
事実、内藤哲也選手が「完封」負けを喫した「ニュージャパンカップ2018」は終始主導権を握られていた。
だが、リベンジを果たしたスペシャルシングルマッチでは、ロープ間際で試合を進めるなど、徹底したザック・セイバーJr.対策を取っていた。
徹底的に研究することで勝機はある。もちろん勝機があるだけで、そんなに甘い相手ではないのだが。
恐るべきスキル
飯伏幸太選手がリベンジを果たした「G1クライマックス28」公式戦。開始早々、ザック・セイバーJr.選手がグラウンドで魅せたテクニックにミラノコレクションA.Tさん、そして獣神サンダー・ライガー選手が驚愕の声を上げた。
いつもの「すげーーーー!!!」ではない。何だこのテクニックは?というリアクションである。
21世紀のランカシャースタイルを体現する英国の巧みは、“1000のジャベを持つ男”と“世界の獣神”の予想すら超える業を持っているのだ。
ゴールデン☆スターの脳内
飯伏幸太選手はプロレス脳が非常に高い。
ザック・セイバーJr.選手にリベンジを果たした試合では自分のペースに引きずり込むことを念頭に置き、グラウンドと打撃を中心にしたスタイルで試合を組み立てた。
一瞬の隙を見て蹴りを見舞う。ロジカルに試合を組み立てるサブミッションマスターに対して閃きでリズムを掴む。
そして、一度手に入れた主導権は逃さない。
閃きと計算のハイブリッド。これがゴールデン☆スターの強みである。
それでは、本題に入ろう。「ニュージャパンカップ2019」後楽園ホール大会のメインイベントだ。
予期せぬ結末
正直に書く。僕は飯伏幸太選手が勝利すると思っていた。
「僕は新日本プロレスに残ります」
この言葉と揺るぎない決意。この裏側には自分の人生を新日本プロレスに捧げるという揺るぎない気持ちが感じられる。
もしかすると、これから先を見据える気持ちが今回の敗戦を導いたのかもしれない。
「ニュージャパンカップ2019」二回戦の結果は飯伏幸太選手のタップアウト負けである。
フリーランスという立場でとにかく実績を求める。一戦、一戦必ず勝利を掴む。フリーランスだからこそ後先を顧みず、結果にこだわる。
このスタンスであれば、タップアウト負けはなかったのかもしれない。当然のように優勝後の肉体については保証がないわけだが。
これから先も長期で新日本プロレスで自分自身の価値を発揮し、プロレスの素晴らしさをより多くの人に伝えていくと決意した清々しい気持ちは負けてはいけない勝負での負けを招いてしまった。
僕は確かにそう受け取った。
研究という名の勝利への方程式
この試合、ザック・セイバーJr.選手と飯伏幸太選手の実力は拮抗していた。どちらが勝利を掴んでも全くおかしくない。それぞれのストロングポイントで勝負を仕掛けるというスタンスが感じられた展開だった。
また勝負を分けたのは断固たる執念。この言葉に尽きる。“ガイジン”レスラー初となる「ニュージャパンカップ」の二連覇。ここき懸ける思いが飯伏幸太選手の未来をぶち破った。
アームバーからの三角締めなど細かいテクニックは以前から分かっていたことなので、今更説明する必要はないだろう。
最終的に勝敗を分けたのは執念、未来に向けて身体を案じるのか、この一戦に全力を尽くしたのか。小さな、小さな差が勝敗を分けた。
ザック・セイバーJr選手は準々決勝で棚橋弘至選手と激突する。これは、2018年の「ニュージャパンカップ」と同じ対戦カードである。
棚橋弘至選手がリベンジを果たすのか。それともザック・セイバーJr選手がディフェンディングチャンピオンとして歴史に名を刻むのか。決戦の日は近い。