新日本プロレスは運営妨害する来場者をどう対処するのか
過去最大の32人が参加した新日本プロレスの「ニュージャパンカップ2019」。
決勝の舞台に進んだのは「CHAOS」のオカダ・カズチカ選手と「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」のSANADA選手だった。
激闘続きのトーナメント。一度でも負けたら終わりの試合。疲労の蓄積もあった中で最高の一戦を魅せてくれた。
だが、オカダ・カズチカ選手が勝利を掴み、マイクパフォーマンスでこの感動的な時間を締めるとなった時に事件は起こった。
今回の「ニュージャパンカップ」は従来から優勝後のルールが変更されており、覇者はMSGでの「IWGPヘビー級選手権試合」へのエントリーが確定する。
それだけに、ジェイ・ホワイト選手がメインイベント後に姿を表すことは予想できた。
どちらが勝っても外道選手を引き連れ、憎まれ口を叩きに来るだろう、と。
「ジェイ・ホワイトのクソヤローをぶっ倒して来ます!」
この言葉を受けて予想通り、姿を現したジェイ・ホワイト選手と外道選手。待っていましたと会場中に鳴り響くブーイング。
ここまでも予想通りだった。
見ていて不快になったのはこの後だ。新日本プロレスは運営妨害する来場者をどう対処するのか。今日はこの点について書き残しておきたい。
あの規模でエンターテイメントをしている団体としては、あり得ないほどに観客席の空気が悪い瞬間がある。僕はそう感じでいる。
レギュレーション
最低だった。感動のエンターテインメントをモニター越しに見ていたのに、いきなり現実へと引き戻され、台無しにされた感覚があった。
前日にSANADA選手が「でも、やっぱり日本で一番好き」だと告白した会場はメインイベント後一部の人間が原因で魔窟と化した。ブーイングという限度を超えた迷惑行為の連続。
おそらく実況、解説陣はレギュレーションで、ファンについては余程のことでなければ、触れないような決まりがあるのだろう。
会場の一部から飛び出す問題行為に目と耳を背ける形で進行が続いていった。
ここからは僕の所感を書く。興味のない人はここで離脱して欲しい。
この団体はどうなってしまったんだ
僕が新日本プロレスにハマったのは2017年の1月。ここから2018年の後半まで、一部、 棚橋弘至選手に心無い罵声が飛び交うシーンがあったものの、運営を妨害するほどのヤジが飛んだことは無かった。
だが、ジェイ・ホワイト選手の台頭以後の新日本プロレスは「新日本プロレスワールド」で観戦していても会場の様子がおかしい。
あれだけ感動して、何度も何度も繰り返し見たいと思っていた試合が、一部の人間がキッカケで台無しになる瞬間が度々見受けられた。
2019年に入ってからは特に顕著であり、今回は過去最低だ。
オカダ・カズチカ選手による最高の切り返し、柴田勝頼選手との握手、バックステージでのコメントがなければ、色々な意味で冷めてしまったかもしれない。それほどに、衝撃的だった。
ここからは更に本音を書く。新日本プロレスのスタッフにはぜひ、目を通して欲しい。
退場、出禁レベル
この日、ジェイ・ホワイト選手が喋ろうとすると、大ブーイングが巻き起こった。ちなみに一度目は問題ない。
ここまでブーイングを浴びる存在になったのだと、嬉しくもあり、僕自身も心でブーイングを送っていた。
これは、ジェイ・ホワイト選手が稀代のヒールとして存在感を発揮しているということの証明でしかない。
ヒールでいながらベビーのような振る舞いをすると話がややこしなくなる。ここまで貫く、ジェイ・ホワイト選手は敬意を示すべきプロレスラーだ。
だが、2回目以降は問題行為だ。
日本語で浴びせた礼儀を欠いたな罵声の数々。流石に知っていると思うが、ジェイ・ホワイト選手は日本語をある程度は理解できる。
海外遠征前には気持ちのこもった日本語でファンに挨拶もしているのだ。
つまり、おおよそは伝わっていたということである。
僕が言いたいのは一言だけだ。英語は母語、第2言語習得者を合わせると8億4000万人以上が使っている言語である。これはグローバルで考えると2位にあたる。
マイノリティーな言語しか理解できないのであれば、黙っていればいいのである。
脊髄反射的な反応は、学のなさや思考能力の低さを伝えているに過ぎない。
酒が入っていたのか。そこまで低レベルなのか。事実は分からないし、知りたくもない。
ライバル同士が揃い立ったシーンを台無しにした。この罪は重い。
煽りPVでは編集で声を消す必要がある。消したら消したで編集したと言われる。厄介極まりないとはこのことだ。
なぜ、ここまで書くのか
僕は仕事上でエンターテイメントの現場に行くことが多い。そこではアーティストやアイドルたちがファンへの感謝、想いを伝えたいという意味で客席の近くまで行くことが珍しくない。
触れば届く距離に憧れの人がいる。
だが、近づいたり変な声を掛けたりする人を僕は一度も見たことがない。あくまでも僕が見ているエンターテイメントの範囲で、だが。
ファンサービスをしてくれてありがとう。近くでパフォーマンスしてくれて嬉しい。
そんな気持ちが伝わってくる会場は素晴らしく、こちらも襟を正さねばと思う。
また、MCの時は基本的に黙る。
面白い時に笑ったり、声を出せと言われれば声を出す。
主従関係がシンプルであり、この時間を楽しむという方向にだけ目を向けられる時間になるこのだ。
ちなみに万が一迷惑行為を働いた場合は即座に退場、ことによっては出禁、警察沙汰になる。
スタッフの力が問われる時
話を戻そう。
今回の件は、MC中に訳の分からない日本語を大声で叫び、エンターテイメントの現場で進行を妨げ、会場のファンたちを不快な気分にし、その先にいる「新日本プロレスワールド」の会員にも呆れさせた。
「こんな人がいるならファンやめるわ。同類に見られたくない」
そんな人が出ても全くおかしくないのである。僕自身、軽く頭をよぎったのだ。
品がない人たちと同じ趣味ってどうなの?と。
「プロレスは楽しみ方が人それぞれ」という言葉だけが一人歩きし、一般常識を忘れていないだろうか。
興行の流れを悪い方に妨害した問題行為。僕の予想だとこれから更に増える気がしている。
昭和の時代にあった数々の暴動に比べれば可愛いものだと思うかもしれないが、もはやそんな時代でもない。
コンテンツの量自体が肥大化した現代で、次の趣味を見つけることは容易なのだ。
これしかない。そう思うのは少数派であり、マイノリティーだ。大多数は違う波が来ればそっちに乗る。
そうなる前に新日本プロレスは運営妨害のレベルにまで発展した来場者を、なんとかしなければならない。
金を払っているから客なのではない。こういった輩は現場にいる悪質な来場者だ。
敬意あるブーイングこそ、新日本プロレスの会場に相応しい。レスラーをリスペクトすることで、もっとプロレスが楽しくなるはずだ。
あの瞬間
オカダ・カズチカ選手は複雑な表情を浮かべていた。絶妙な切り返しで完璧に興行を締めたものの、もしも機転が利かなかったら完全なBAD ENDになっていた。
つまりは、スタッフの仕事を試合を終えたばかりのレスラーがフォローした形である。
助け合い、支え合いはとても大切なことだ。ただし、まだまだできることがあるはずなのだ。
こんなところで僕が何を書いても変わらない。新日本プロレスが動くしかない。
社長に言っても無駄である。トップダウンで動くならとっくの昔になんとかなっている。
今、現場を仕切っているマネージャーさん。あなたが今、この状況を適切に対処できれば、社内での株も上がるし、「コト消費」の時代で必要不可欠な人材になることができる。
最後に、僕は新日本プロレスが大好きだ。だからこそ最近溜まっていた鬱憤を膿をここで吐き出し、明日からはまた楽しい話題だけを書きたい。
カメラマンが気に入らないと盗撮してSNSにアップしたり、資本を投下しているスポンサーが設けている席に不満を言ったり、脊髄反射的に観戦マナーを守らなかったり、特定の選手へ悪態をつき続け、ファン同士が揉めたり。
最近、SNSを見ると興行が終わる度にゲンナリする。
以前はこんなことなかったはずなのになんでだ。一体、何が起こったんだ。
新日本プロレスにお願いがある。僕はこんな素敵なコンテンツを、極々少数の人間が原因で離れたくない。
プロレスは長く見れば見る程楽しくなる。だがらこそ、興味の糸を切りたくない。
試合、選手に関しての魅力は変わらない。あの頃も今も輝いている。
だが、敢えて言おう。
今の新日本プロレスの客席状況であれば、あの日の僕は好きになっていなかったかもしれない、と。
プロレスラーと客席が一体感を持ち、圧倒的に盛り上がる空間。新日本プロレスだからこそできる極上のエンターテイメントをこれからも期待している。