なぜ、ジェイ・ホワイトは新日本プロレスでブーイングを集めることができるのか

なぜ、ジェイ・ホワイトはブーイングを集めることができるのか。今日はこの点について考えてみたい。

オカダ・カズチカ選手がMSG「G1 SUPERCARD」でジェイ・ホワイト選手にリベンジを果たし、新日本プロレスのど真ん中、「IWGPヘビー級王王者」へと返り咲いた。

2018年6月9日の大阪でケニー・オメガ選手に敗れ、約10ヶ月の月日を経て手に入れた第69代の玉座。ある意味で69の名を欲しいがままにできる立場となったため、田口隆祐選手へコメントも気になるところである。

さて、本題へ入ろう。

MSG「G1 SUPERCARD」のダブルメインイベント第2試合オカダ・カズチカ選手VSジェイ・ホワイト選手である。

2018年以降、新日本プロレスの中心へと躍進し、“4強”の一角へと上り詰めたジェイさんのホワイト選手。

2018のイッテンヨンで凱旋帰国を果たし、「CHAOS」へ加入。世界のスーパースターであるクリス・ジェリコ選手を退けたケニー・オメガ選手を打ち破り「IWGP USヘビー級」王座を戴冠した。

「G1クライマックス」では、オカダ・カズチカ選手を敗るという大きな結果を残し、邪道選手、外道選手を引き連れて「バレットクラブ」を新天地に定めた。

2018年以降、新日本プロレスで生まれたドラマの裏側でジェイ・ホワイト選手は暗躍していた。

更には“ガイジン”レスラーとして最年少の「IWGPヘビー級王座」へと輝くと、初防衛戦がMSGに決定するなど、新日本プロレスの象徴として大きな存在感を発揮していった。

今回はジェイ・ホワイト選手と外道選手にスポットライトを当てつつ、これまでの軌跡を振り返ってみたい。

レインメーカー(星飛雄馬)生みの親である星一徹こと外道選手。

そんな彼がオカダ・カズチカ選手を更に上のステージに引き上げるためにアームストロング・オズマ(ジェイ・ホワイト)を育て上げたのだとしたら。そんな僕の妄想を含めつつ書き残しておきたい。

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ヒールという生き方

ジェイ・ホワイト選手は、ヒールレスラーとしての才能を爆発させている。

日本人VS日本人、日本人VS“ガイジン”、“ガイジン”VS“ガイジン”をどの図式で見てもブーイングを受ける選手はそう多くない。

唯一無二の悪の華「鈴木軍」ですら、声援が飛び交う時代だ。そんな世界観の中でブーイングを一身に集まるのは、簡単なことではない。いや、彼にしかできないことだった。

ブーイングが集まる理由

ジェイ・ホワイト選手にブーイングが集まる理由を紐解いていくと、いくつかの要因が思いつく。

まずは、最速でトップ戦線へと加わった違和感。次に試合中に魅せる独特すぎるほどの間の取り方。最後に邪道外道を引き抜き、勢力図を書き換えたことである。

一つひとつ考えていこう。

 

早すぎた新時代

僕の感想をそのまま書く。ジェイ・ホワイト選手は凱旋帰国試合で評価を大きく落としていたと思っている。

棚橋弘至選手との東京ドームでの「IWGPインターコンチネンタル選手権試合」。直近で髙橋ヒロム選手が同じ道を歩んでいたので、視聴する側としての違和感こそか無かった。だが、ほんの一年半前は黒パンツ一丁のヤングライオンである。

いきなりの大舞台で一気にスターダムへと駆け上がることができればいいが、まだ早いという印象を持たれるケースもある。ジェイ・ホワイト選手の場合は後者だったのだ。

ジェイ・ホワイト選手はまだ早い。この気持ちがブーイングという形につながっているように思う。

全てはブレードランナーのために

2018年の「G1クライマックス」頃にはファイトスタイルも確立され、試合内容で魅せることも当たり前になってきた。

カウント中に肩の一部だけを上げたり、試合の流れをぶった切るように倒れたり。

相手の油断を誘うようなムーブ。まさに姑息という言葉がよく似合う。

散々やられていたとしても必殺のブレードランナーが決まれば、大逆転という結果になる。

つまり、ヒールという立ち位置ながら、水戸黄門の印籠を持っていることになる。最後の最後で相手の必殺技を切り返す。どんな手を使ってもいいから、この技が決まる状況まで持っていく。

また、TTOを中心に関節技にも余念がない。飛んだり跳ねたりをする派手なプロレスはしない。歴代の新日本プロレスを象徴するかのような技も使用する。

「一切ファンに媚びない」このスタンスが我々からブーイングを贈るという感情を生み出しているのだろう。

 

人の道を外れた男

そして何よりも新日本プロレスの勢力図を塗り替えたのが外道選手の離反だろう。

“レインメーカー”の歴史に外道あり。前人未到の「IWGPヘビー級王座」V12を成し遂げた後に事件は起こった。

「G1クライマックス」の最終戦。オカダ・カズチカ選手はバックステージでこう告げたのである。

「外道さん僕のとマネージャーとしての関係が終わった」

つまり、この時点でオカダ・カズチカ選手の試合中にエプロンをバンバンと叩く外道選手の姿は二度と見れないことを意味していた。

だが、この別れは本格的な離反への布石だったのだ。

オカダ・カズチカ選手は「自分が強すぎるからブーイングが起こる」と語った。

その横にはレインメーカーを勝たせ続けてきた外道選手の姿があった。

そして、ここからジェイ・ホワイト選手の勝率はとんでもないことになっていく。

負けない男。強すぎる“ガイジン”レスラー。「ファンの顔色を伺って、キャラを変える」ということを一切しない。哲学的にスイッチブレイドとうキャラクターを貫く。

そんな彼だからこそ、新日本プロレスの会場に不足していた熱を生み出すことができているのだ。

 

これからのスイッチブレイド

「IWGPヘビー級ベルト」を奪還され、丸腰となったジェイ・ホワイト選手。

次なる相手は「CHAOS」後藤洋央紀選手である。

2018年末に飯伏幸太選手に敗れ、イッテンヨン「レッスルキングダム」では第0試合へ。MSGでも同じく第0試合。このところビッグマッチに縁がなかった荒武者が満を辞してメインイベントに帰ってくる。

この試合は後藤洋央紀選手にとって大きなターニングポイントとなるだろう。

ジェイ・ホワイト選手への期待は高まり続けるばかりだ。

フィクサーのココロ

ここからは僕の完全なる妄想である。外道選手はオカダ・カズチカというプロレスラーに対して、今どんな想いを浮かべているのだろうか。

岡田かずちか選手と外道選手が共に作り上げた最高傑作“オカダ・カズチカ”。

新日本プロレスの歴史に名を残す実績を作り上げたことで、難題が浮かんできてしまった。

敵がいない。そう、ライバルがいなくなってしまったのだ。

新日本プロレス所属で「IWGPヘビー級ベルト」に挑戦できる選手はV12中に“一人を除き”全員倒した。

オカダ・カズチカ選手の新しいライバルを作ることでしか、彼自身を成長させることはできない。

そう、ジェイ・ホワイト選手の未来に懸けた。「オカダは型にハマった」と煽りPVで語っていたが、「型(敵が居なくなるほどの強さ)にハマる状況」を生み出しのは彼自身である。

「またオカダが勝つんでしょ?」

強すぎる存在はある意味で緊張感を薄くする。絶対王者の存在は必要ではあるのだが、予定調和が過ぎると、刺激がなくなってしまうのだ。

このままでは金の雨が“小雨”になる。そのためにも最強のライバルが必要だったのだ。

そこで白羽の矢が立ったのがジェイ・ホワイト選手だったように思う。オカダ・和周選手とほぼ同じ体躯とプロレスセンス。そして、何よりも新日本プロレスという場所で成り上がろうという気持ち。

新日本プロレスをこよなく愛するからこそ、変な色気を出さず自分の立ち位置、居場所を貫くことができるのである。

そんな人物だからこそ、オカダ・カズチカ選手最大のライバルへと育てることができると感じたのかもしれない。

凱旋帰国から1年数ヶ月。ジェイ・ホワイトは外道選手をマネージャーに従え、“打倒大リーグ養成ギブス”を装着したかのように、急成長を果たし、新日本プロレスで唯一無二のヒールレスラーへと成長いや変貌した。

もしも、ジェイ・ホワイト選手がいなければ今回のMSG「G1 SUPERCARD」はここまでの盛り上がりを魅せなかったかもしれない。

2018年のシングルマッチでオカダ・カズチカ選手と外道選手の物語は終わりを告げている。過去の因縁は関係ない。ジェイ・ホワイト選手のセコンドという関係に収まった。

だが、僕は試合後、無表情でオカダ・カズチカ選手のレインメーカーポーズをリングの“外”から見ていた誰かのために“外の道”を歩むことを決めた男の胸中にはどんな想いがあったのだろうか。

「ひときわ輝くでっかい明星となれ! オカダよ…。 栄光の星を目指すのだ!!」

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