新日本プロレスでデビュー1年を迎えた辻陽太と上村優也のストーリーが泣ける
新日本プロレスでデビュー1年を迎えた辻陽太と上村優也のストーリーが泣ける。
こんなことを言い出すと歳を取ったなぁと思う自分もいるわけだが、35歳になっても2人のような関係は羨ましく、眩しく見えるものである。
辻陽太選手と上村優也選手はそれぞれ2017年4月に新日本に入門した。
入寮時期だけでなく、デビューも同日だ。2018年4月10日の新宿FACE「LION'S GATE PROJECT 11」で辻陽太先生は岡倫之選手、上村優也選手は成田蓮選手を相手にデビュー戦を飾った。
また、デビュー戦は2人とも黒星。逆エビ固めという新日本プロレスの歴史が詰まった技の前から、「負けても立ち上がる」プロレスラー生活がスタートした。
僕は新日本プロレスの第一試合で全力を見せ、ライバル関係を築いている2人の試合が大好きだ。
海野翔太選手、成田蓮選手という現代型イケメンレスラーではなく、古き良き昭和の香り漂う“ハンサム”タイプの2人。
「気持ちを伝える」、「ファイティングスピリット」を伝えるのが、新日本プロレスの第一試合として、最も大切なことだと真壁刀義選手は「KUSHIDAのナイショ話」で語っていた。
ともすればここ数年のヤングライオンで最も“闘志”を感じるヤングライオンはこの2人なのかもしれない。
ここからは2人の魅力について考えつつ、今後の展開について考えてみたい。
硬派な雰囲気
辻陽太選手はテコンドー、アメリカンフットボール、野球など様々なスポーツを経験し、新日本プロレスへ入門した。
一方で、上村優也選手は2016年に西日本学生レスリング選手権グレコローマンスタイル71kg 級優勝。グレコローマンスタイル最優秀選手賞を受賞している。レスリングの猛者として、実績を残し、新日本プロレスを目指した。
年齢は辻陽太選手が1つ上。に、見えないのだが、実年齢にほぼ差はない。
「子供が3人おりまして」と言われても違和感の無い落ち着いた雰囲気と包容感を醸し出す一方で、兄貴としての側面も発揮している。
それは、上村優也選手へのコメントを見ても伝わりやすい。
上村! お前と俺の闘いは今日で終わりじゃない。今日は俺が勝った。俺が先に勝ったことは事実だ。でも、まだ終わりじゃない。何年後、何十年後かもしれない。何年かかるかわからなけど、俺とお前で新日本を盛り上げていく。ドームのメインイベントのリングに2人で上がろうぜ
年齢はほぼ変わらない。だが、個人として持っている雰囲気と独特のオーラから出るコメントはある選手を彷彿とさせるのである。「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」の鷹木信悟選手だ。
上から目線の角度
鷹木信悟選手が新日本プロレスに登場して、半年が過ぎた。セルリアンブルーのリングを席巻する新しい龍の存在は、若き獅子たちの感性を刺激した。
新日本プロレス参戦前には全日本プロレスのチャンピオンカーニバルにエントリーし、宮原健斗選手を破った実績を持つ鷹木信悟選手。
無差別級を表明する彼は、髙橋ヒロム選手の穴を埋めるかの如く、ジュニアを主戦場に選択した。
彼の参戦は化学反応を起こした。SHO選手を筆頭に、彼とシングルを戦いたいという選手が複数現れているのだ。リングで魅せるファイトも勿論だが、その魅力はコメントにも現れている。
今回の4月15日の大会で残したコメントは以下だ。
ま、(LOS INGOBERNABLES de JAPONに加入してから)初凱旋で、メインで勝利したことは素直にうれしく思うけど、だけど俺にとっちゃ、リング上では言わなかったが、屈辱だよ、今日は。3月上旬までは、3月頭まではベルト持ってて、(3.6大田区で)3Kに獲られて、今日は丸腰で地元帰ってきたんだから。屈辱だよ。気に入らねぇな。特にSHO。そりゃ、お前のほうが力あるかもしんねぇけど。オイ、それが甘いんだよ。確かにお前のほうが力はある。だが、オレには勝てねぇよ。よく考えろ、SHO……
貫禄のある業界の先輩。上からというよりも高みからライバルへ贈るコメントは、鷹木信悟選手の立ち位置を証明するに至る長所である。
そう、鷹木信悟選手と辻陽太選手のコメント角度に僕は近いものを感じているのである。
ただ、ライバルに激烈するだけでもない。自分の存在価値を表現しつつ、己の目線をファンに伝える。
こんなテクニックを辻陽太選手はいつ見につけたのだろうか。
ライバルという素晴らしさ
ライバルという存在は素晴らしい。特定の選手への複雑な感情があればこそ、リングの上で普段とは異なる熱が生まれる。
オカダ・カズチカ選手と内藤哲也選手。髙橋ヒロム選手とエル・デスペラード選手、ドラゴン・リー選手。
後藤洋央紀選手と柴田勝頼選手。海野翔太選手と成田蓮選手。
彼らが対峙する度に、ファンは湧き、熱狂の渦に包まれる。
辻陽太選手は新日本プロレスの天辺を目指すと語り、その相手は上村優也選手だと言い切っている。
ライバルの存在は自分を相手を強くする。ともすれば、ライバルを刺激することこそが、己の価値を上げることにもつながるのだ。
人生におけるライバルを作る。この歳になると中々湧き上がらない感情ではあるが、そうした気持ちを大切にしたいと思った。