飯伏幸太は中邑真輔を超えられるのか?

飯伏幸太は中邑真輔を超えられるのか?

現代の新日本プロレスにおいて、最も難しい命題に挑むことを飯伏幸太選手がインタビューで語った。

先輩を超える。言葉にすれば頻繁に見るフレーズではあるもののハードルが高すぎるテーマである。

まず、何を持って超えたと言えるのだろうか。少し日本プロ野球で例えてみよう。数字はまだ分かりやすい。イチローさんや王貞治さんの記録を塗り替えると言えば分かりやすいだろう。

ただし、インパクトやイメージとなると、非常に難しい。長嶋茂雄さんよりも数字が高い選手は大勢いるが、ミスターはミスターであるためだ。

新日本プロレスにおいてもそう。創設者であるアントニオ猪木さんや長州力さん、藤波辰爾さん。

武藤敬司さんや蝶野正洋さん、橋本真也さんの闘魂三銃士もイメージとしては高い壁である。

そこから少し経った時期、総合格闘技が台頭してきた時代に中邑真輔選手はデビューした。

輝かしい功績は後述するとして、現代で過去を超えるのは非常に難易度が高いと僕は思っている。

今と昔では時代が違いすぎるためだ。一言で言えば、インターネットである。

あらゆるエンターテインメントとユーザーの距離を近づけた発明は、人々の価値観を大きく変えた。流行り廃りはリアルタイムになり、興味関心の対象もプロからアマまで裾野が広がった。

そんな時代に飯伏幸太選手は「IWGPインターコンチネンタル」において、中邑真輔選手を超える。イメージを塗り替えると語ったのだ。

このテーマは非常に素晴らしい。流石、飯伏幸太選手である。

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記録という意味でのインターコンチ

新日本プロレスにおいて中邑真輔選手の功績はあまりにも大きい。

総合格闘技での活躍はもちろんのこと、「IWGPインターコンチネンタルベルト」の価値を大きく引き上げたことは歴史的に証明されている。

また、「IWGPヘビー級ベルト」の連続防衛記録はオカダ・カズチカ選手のV12であるが、最年少記録は中邑真輔選手の23歳9ヶ月である。

「IWGPインターコンチネンタル王者」としては、連続防衛記録の8回。最多戴冠記録の4回を記録している。

2016年1月に新日本プロレスを退団し、WWEのスーパースターとなってから3年が経った今もこの記録は破られていない。

ちなみに連続防衛記録の2位は内藤哲也選手と棚橋弘至選手の4回。最多戴冠記録については、内藤哲也選手が3回で迫っている。

記録については、飯伏幸太選手のライバルである内藤哲也選手が迫りつつある。だが、中邑真輔選手のように価値を高めることができたのか。インパクトを残すことができたのか、と言われると非常に難しいのだ。

 

インパクトとは何か

内藤哲也選手が王者として、「IWGPインターコンチネンタルベルト」に最も注目を集めることに成功したのは「IWGP USヘビー級ベルト」新設に対して、不満の声を挙げた時である。

いわゆるベルト破壊だ。

当時から人気絶頂。「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」の大ブームが巻き起こっている時期に起こしたアクションは、「流石にやり過ぎ」という声が集まった。

内藤哲也選手のTwitterには辛辣な意見が届くなど、物議を醸し出した時期である。

もともと「興味がない」と言い切っていただけに、ベルトの価値を上げることについて意識はしていなかっただろうが、チャンピオンとしてのあり方について考えさせられるエピソードとなった。

内藤哲也選手ですらここが「IWGPインターコンチネンタルベルト」で話題を作ったピークだったのである。

では、どうすれば中邑真輔選手を超えられるのだろうか。

何でもやる路線

最初に思いついたのが防衛記録である。8回と言えば、ここから1年間あれば達成できなくはない記録だ。

だが、例え防衛記録を塗り替えても中邑真輔選手を超えたとは言えないとも思った。記録はいつか抜かれるもの。それは歴史が証明している。

次にベルト封印も考えたが、これは中邑真輔選手が何度も行ってきたことの二番煎じになる。

僕が考えたのは試合のインパクトとレアなチャレンジャーだ。

新日本プロレスが「IWGPインターコンチネンタル選手権試合」のみ鎖国を解く。

他団体のエースクラスと飯伏幸太選手が試合を行う。ある種の治外法権を発動し、ベルトと新日本プロレスの看板を懸けて戦うのだ。

これはスリルがある。

負ければ即ベルト流出。世界中のレスラーが飯伏幸太選手をターゲットに試合を挑む展開はとてもエキサイティングするに違いない。

 

違う伝説を作る

中邑真輔選手は新日本プロレスの歴史において、稀代のプロレスラーである。

未だに「IWGPインターコンチネンタルベルト」の話が挙がれば中邑真輔選手の話題が出てくる。これはベルト史に残る伝説だ。

真っ向勝負をして記録で抜いたとしても、超えたことにはならない。であれば、違った角度から伝説を作っていくしかないのだ。

「もうカードがない。ジョーカーが欲しいなぁ」とリングの上で発した中邑真輔選手へ、いきなり背後からジャーマンスープレックスをぶちかましたのが飯伏幸太選手だ。

狂気に包まれているようでリアリスト。それでいて、直感を大切にする。抜群の身体能力と圧倒的な華。

全世界が欲しがるプロレスラー、それが飯伏幸太選手だ。

中邑真輔選手は圧倒的な世界観を作り上げ「キング・オブ・ストロングスタイル」と呼ばれた。

「ゴールデン☆スター」は平成新日本プロレスのレジェンドが作り上げた伝説へどう立ち向かっていくのか。

まずは、令和直前にあるザック・セイバーJr.選手とのタイトルマッチを楽しみにしたい。

まだまだこんなものじゃない。彼の渇いた叫びがいよいよ日の目を浴びようとしている。

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