新日本プロレスファンが仮面ライダークウガを見たら棚橋弘至の顔が浮かんだ話
新日本プロレスファンが仮面ライダークウガを見たら棚橋弘至の顔が浮かんだ話をしたい。
新日本プロレスは「レンスリングどんたく」シリーズの真っ只中。「新日本プロレスワールド」での後日配信はあるものの、リアルタイム観戦が出来ない日々は中々寂しいものである。
そんな中、久し振りに仮面ライダークウガを全話見返してみた。
同作は約19年前から放送が開始された「平成ライダーシリーズ」の一作目に当たる。今では国際派俳優としてその名を轟かせているオダギリジョーさんが主演。従来の特撮という概念を壊し、新生させるというメッセージが込められた意欲作である。
実際に見返してみると、現代の映像技術の進化には驚かされる。たしかにCG周りは明確な差がある。ただし、役者さんたちの演技やカット割り、作品に込められた熱はこの先何年経っても色褪せることはないだろう。
そんな名作を最終回まだ見終わり、オダギリジョーさんが演じた仮面ライダークウガの主役五代雄介について執筆したいと思った。
常に明るく笑顔。誰かの笑顔を守りたいという行動原理で動くキャラクターに僕は自然とあるプロレスラーの顔が浮かんでいた。
MSGでザック・セイバーJr.選手に敗れた後、「レスリングどんたく」シリーズを欠場している棚橋弘至選手である。
その先にいるファン。新日本プロレスという団体のために走り続けてきた彼の背中は五代雄介に通じるものがあるのだ。
主人公とエース
極上の笑顔もサムズアップ(新日本プロレスだとSANADA選手の印象が強い)がトレードマーク。
どんな困難な状況でも「大丈夫!」と言い続け、身の回りの人を笑顔にするとことんいい人がオダギリジョーさん演じる五代雄介だ。
全49話彼の生き様を見ていると、どこまでも自己犠牲の精神が強く、優しい男だと考えさせられる。
仲間たちから「そこまで無理をする必要はないのではないか?と言われれば、「自分がやれる範囲で無茶をしているだけ」と答える。
また、「あなたのいうことは綺麗事ばかり」だとキツい言葉を投げかけられれば「そうだよ、だからこそ現実にしたいんじゃない。本当は綺麗事が一番いいんだもん。暴力でしかやり取りできないなんて、悲しすぎるから」と自分の哲学を伝える。
こうしたセリフ回しの一つひとつに僕は棚橋弘至選手を感じていた。
いや、正確に言えば棚橋弘至という男性が目指している、“プロレスラー棚橋弘至選手”を見たと言った方が正しいのかもしれない。
自分の呼び方に特徴を感じる
矢沢永吉さんは自身のことをヤザワと呼ぶ。元メジャーリーガーイチロー選手は「鈴木一朗とイチローは別」だと語っていた。
つまり、その場にいる姿形を持ったアイコンとその人格は別物として切り離されているという見方があるのだ。
棚橋弘至選手も自身のことを棚橋と呼ぶ。これには単純に俺や僕、私と呼ぶよりも名前を覚えてもらいやすいというメリットがある。オードリーの春日さんも自身を春日と呼んでいるように、一人称を自身の名前にすると浸透はしやすいのだ。
ただ、もう一つの側面もある。
今の自分は「俺」ではない。「プロレスラー棚橋弘至」としての自分を演じているから「棚橋」と呼ぶのではないだろうか。
棚橋弘至選手にはなりたいヒーロー像があった。それこそが100年に一人の逸材であり、新日本プロレスのエースなのだ。
疲れたと言えない男
棚橋弘至選手はオカダ・カズチカ選手との舌戦を経て「生まれてから一度も疲れたことがない」というブランディングが生まれている。
あの日からエイプリルフール以外で「疲れた」と発することはない。そこまで徹底したキャラクターで棚橋弘至選手は生きている。
そんな棚橋弘至選手の生き方と自分の肉体や心を人々の笑顔に捧げて戦い抜いた五代雄介が重なって見えたのだ。
青空と愛
約20年前の作品なので、多少のネタバレは許して欲しいのだが、最後の決戦が終わった後、五代雄介は冒険に出ている。
冒険に出た彼への思いを馳せ、登場人物がそれぞれの場所で作品のテーマである「青空」を見上げているのが、最終回で印象深い点である。
仮面ライダークウガのサブタイトルは全て漢字2文字で統一されている。初回から最終回まで、エンディングテーマの「青空」が流れ続けていたため、最後の2文字は「青空」だろうと当時、多くの方が思ったに違いない。
だが、最終回のサブタイトルは「雄介」だった。
ここで、青空を幸せの象徴だと紐解いてみる。世界を救った五代雄介が多くの人々にとっての青空であり、幸せの象徴になったのだ。
棚橋弘至選手もそう。危機的状況の団体を牽引し、常に笑顔で新しいファンを獲得し続けてきた。
そして、そんな彼が「旅」という名の欠場期間に入っている。
SNSを頻繁に更新する棚橋弘至選手だけに「今、何をしているのだろう?」という気持ちにはなりにくい。
ただ、いつかリングに戻ってきた時には元気な姿で最高の笑顔を見せて欲しい。
役者やタレント姿の棚橋弘至選手もカッコイイが、やっぱり一番輝いているのはリングの上なのだ。
「皆に笑顔でいて欲しいんです! だから見てて下さい!俺の! 変身!!」
第二話。この言葉を持って五代雄介は戦い続ける決意を表明した。
「愛してます」
棚橋弘至選手がまた新しく変身した姿を見たい。
最後に。元々、棚橋弘至選手へ五代雄介役のオファーが届いていたという逸話がある。プロレス巡業との両立ができないため、断ったそうだが、19年経った後にこうしてリンクしたと感じた男が出るということは、素晴らしいことだと思う。
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